ひとを呪わば穴ふたつ 3
「なんかね、近頃、投稿に批判コメントつけられるんだって」
誰かに訊いたのか、加奈が朝美の暗いワケを教えてくれた。
「批判て、どんな?」
私は、インスタをやっていないので、友達が見せてくれたモノしか知らない。
加奈が声をひそめて教えてくれた。
「″リア充自慢してんなよ″ とか、″ウザイ″ とか、″友達よりイイねの数が多いのへん″ とか」
「……誰がつけてる分かるんでしょ? それでもそんなコメントする人いるの?」
それ、リアルな知り合いだったら嫌だな。
「捨てアカでやるからね、そういうの。だから内容も時には ″即刻死ね″ とかもあるみたい」
「……こわ……」
でも。
朝美のあの暗さって、SNSの中傷だけが原因じゃない気がするんだけどな。
いつも華やかで、クラスの中心にいる朝美が、教室の隅で死んだような顔をしてひっそりとしてる姿は、やはり違和感があった。
その後も、朝美の落ち具合はますます加速していった。
この数日は、なんとか学校に来てるような状態で、とうとう誰とも口をきかなくなっていた。
私は、朝美とはそんなに仲良くしてなかったけれど、やはりその変わりようは気になった。
それとは別にもう一つ気になる事が――。
同じクラスではないけれど、弓道部の悠里が同じように元気がなくなっていたこと。
「悠里、どうしたの? そろそろ着替えないと三年生来るよ?」
朝美ほどではないけれど、陽キャの彼女は動きもきびきびとしているのに、今日はまだ帯も結んでいない。更衣室は狭いため、学年ごとに順に使うから、先に入った方は素早く着替えないといけないのだが。
「ん―……。なんかやる気がしなくて」
悠里は、はぁ、と溜息をついたあとも気だるそうに袴を着けていた。
「ひょっとして、風邪?」
「違うと思う。風邪引いたら、まず喉と鼻にくるから」
射場に向かう時も、足取りは重そうで心配だったが、案の定、だらしがないと先輩や先生に注意を受けていた。
弓道は特に姿勢や礼儀もきちんとしていないといけないからだ。
「あの子、神棚に神拝しなかったよね?」
いつもちゃんとしているのに。
この時の悠里はおかしかった。
朝美と同じように目が虚ろだったのだ。




