愛と呪縛 15
見せてもらった滋岡のTwitterのプロフィール画面に、
【アカウントが凍結されています】
【――Twitterルールに違反するアカウントは凍結されます――】
と表記されている。
「すげーな、ますます匂う」
原田が鼻を蠢かせて呑気に笑っていると、部員の一人が急に「うぅ」と、呻き始めた。
「どうした?」
「……なんか、俺の裏アカにDM来て、それ見たら腹が痛くなった」
「誰に何送られてきたの?」
「さっきフォローした“大和魂・日本大好きデマ制裁アカ”ってやつ……」
「もう名前が捨てアカだもん」
「“おかしなデマを流したお前は呪われる” ってメッセージに、ほら、この有名な写真……あ、てて」
本気で脂汗を額に浮かべた部員が見せてくれたものは、オカルト界隈では過去に出回った、【見るだけで呪われる心霊写真】だった。
俺も、以前、ネットで見たことあったが、確かに本物の心霊写真だった。見た途端、ぞくっと寒くなりすぐに除霊をした。
まさか、またこれを見ることになるとは。しかも、これを呪いに使うって……。
「滋岡を攻撃してる奴らが、低級の呪いかけてきたっぽいな」
これくらいの呪いなら、俺でも返せる。
この前、滋岡からの呪いを解いた時と同じ呪歌を、腹痛の部員に言わせてみる。
般若心経を唱えてからの、
「死霊を切りて放てよ梓弓、引き取り給え経の文字」
で、簡単に廻向されるはずだった。
「やば、もう限界、トイレ……」
でも、効かない。
部室を出てトイレに駆け込む部員を見ながら、滋岡が、『返せない呪いをかけられてる』と言っていたのを思い出す。
きっと、これだけでは終わらない。
「う、わ、俺んとこにも呪いのDMきた――っ!」
もう一人の部員も恐怖メールに悲鳴を上げた。




