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転生陰陽師は呪詛をしたくない【仮】  作者: こうつきみあ(光月 海愛)
六 サヨナラ second
120/225

愛と呪縛 8

【そこ、地元っす】

【なんで、そこ?】

【芸能プロの養成所がそんなとこあるわけないじゃん】

【その養成所がどうかしたんですか? 悪霊でもいるんですか?】


 チャット欄は、滋岡の来園目的がわからず質問が相次ぐ。


「”誘拐事件の犯人が、被害者の関係者に、ある芸能プロダクションの養成所のことを漏らした。それを検索したら、何回やっても地図にはここがピン止めされて出てくる。おかしいよね?”」


 俺が滋岡に話した事情。

 表情を険しくした山城リリが、隣で固唾を飲んでいる。

 どんなに気丈に振る舞っても、拉致されそうになった恐怖は直ぐには消えないだろう。

 そんな中でせっかく山城が描いた犯人像も活かすことができなかったし、今は秘占術で行方不明者の捜索をする滋岡に頼るしかない。

 俺は向き直って動画を見守る。


「“確か式占ではこっちに吉が出てたんだ”」


 昨夜、ホテルで六壬りくじんを使ったという滋岡は、スタッフと話しながら園内の広大な遊具広場を歩いている。

 土曜日なので家族連れの客が多く、すれ違いざま、彼に気が付いて黄色い悲鳴を上げる主婦もいた。


「“これ、なんだろな”」


 滋岡が足を止めたのは、草スキーとロング滑り台がセットになった小高い丘の裏側。鬱蒼と茂った草は長い間放置されてるようだ。

【立ち入り禁止】の貼り紙と、赤いロープが張られたそこは、崖の入口のようなところに重厚な鉄製のドアがはめられていた。


【それ、防空壕の跡じゃね?】

【KIDSパークなんだから、裏側も綺麗にしとけよw】

【従業員専用の隠し扉じゃないの?】

【そこ、なんかいますよw】


 コメント欄がまた賑わってきた。 

 黙って見ていた原田が、腕を組んだまま鼻をうごめかせる。


「くっさいな、これ、地下通路への入口じゃね?」


 オカルト研究部員他二名もうんうんと頷いている。


「掃除用具入れとか倉庫か何か?」


 堀が地下に閉じ込められている、と何回かそんな話をしたのに、山城は遊園地とそれがピンと繋がらないのか首を傾げた。

 それでも、俺は口を出さずに滋岡の行動を見つめる。

 本音、俺も行きたかった。そこで霊視して、堀の救出に協力したかった。

 なんで誘ってくれなかったんだと思った。


「”橋本くん、君には何が見える? このドアの向こうを視てみてくれないか。俺も霊視してみるから”」


「え?」


「今、橋本くんてこの人言わなかった?」


【出た! ハシモト!】


【キタ――――】


【今度は霊視だって】


 突如、滋岡から名指しでその協力を要請され、視聴者もオカルト研究部も、騒然となった。









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