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転生陰陽師は呪詛をしたくない【仮】  作者: こうつきみあ(光月 海愛)
六 サヨナラ second
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愛と呪縛 6

 俺は、いくつかある竹森浩介の写真から、絵画を背景に写ったものを霊視してみることにした。

 注意深く見れば、霊能のない者でもわかりそうなほど、写真に様々な霊の顔が写り込んでいる。

 まず。

 この前もあった、父親である竹森隆の生霊。

 やはり、肩あたりに服のしわの窪みと一緒に嘆きの表情を浮かべている。どうせなら悪行ができなくなるほど、息子を追い詰めればいいのに。

 他に、何らかの被害を受けて亡くなった子供や女性の死霊。

 よほど恨まれているのだろう。

 怨念のこもった呻き声がこちらにまで伝わってくるようだ。

 しかし、本人は薬中。

 空耳や幻聴なんて日常茶飯事で起きてるはずの霊障も気付いていないのかもしれない。


「あなたは、どうやって亡くなったの?」


 一番訴えかけてくる霊に話しかけてみる。

 若い女の霊だ。

 頭の中のスクリーンを白くし、送られてきたイメージを具体化する。


 アトリエの奥にある大きなベッド。

 拘束された裸体。

 それに次々と欲を吐きかける男達。

 男の手にのせられたラムネのようなピンク色の錠剤。


「……薬?」


 この女性は、どうやら、竹森との性行為中に薬物の急性中毒で亡くなったようだった。


「あなたは、そこにどうやって連れてこられた? そして、そこはどこにある?」


 霊から送られてきたイメージは、時系列がぐちゃぐちゃになってるのかもしれない。


 何かの肉。

 7。

 船。

 白い粉。

 海。

 マンションの一室。

 人魚の像。

 数人の男が写った音楽のポスター。

 外人の男。

 それは有名人なのか、俺は見たことがあるな、と感じた。

 竹森浩介。

 ライブ会場。

 大きな冷蔵庫。

 血だらけの子供。

 撮影用のカメラ。


 一つ一つを並べ替えていくと、こうだ。


 女はある音楽グル―プの熱烈なファンだった。

 会員番号7番。

 ファンクラブ会員限定のライブに行った日、特別にメンバーに会えるとスタッフに打ち上げに誘われ、飲酒した。

 会場にはお目当てのボーカルがいて、記念写真まで撮影した。

 しかし、そこで記憶が途切れ、起きた時は見知らぬマンションの一室に見知らぬ男たちがいた。

 そこで薬を打たれレイプ。

 悪夢はさらに続いて、女は船でどこかに連れていかれ、途中、人魚のオブジェのある浜辺を見て、行き着いたのが竹森のアトリエ付き別荘だった。地下には撮影できるスタジオもある広大な建物。

 竹森以外にも政界の男や有名人が多数いた。

 

 奥の部屋には拘束された数人の少年少女がいて、麻薬や虐待の被害に遭い目の前で死んでいった。

 女もSM行為の際中に薬で死亡。

 遺体は男達に機械で切り分けられ、骨まで砕かれ、内臓だけは残して海に流される。

 内臓は儀式用と売買用とに分けられ冷凍されていた。


 全てを視たあと、俺は吐いてしまった。

 トイレで吐ききり、部屋に戻ったあと、滋岡にその写真を添付してメールを送った。


 ――やはり、【ゴールド・スター】の会員である竹森浩介と【エデンの勇者】は繋がっていた、と。







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