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転生陰陽師は呪詛をしたくない【仮】  作者: こうつきみあ(光月 海愛)
六 サヨナラ second
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愛と呪縛

 あれから何の音沙汰もないってどういうこと?


 拉致されそうになり、その犯人たちが乗り捨てた車もあるというのに、警察から事件に関しての報告はなかった。

 スマホだって奪われたのに。

 普通、警察の権限でスマホの現在位置特定できると聞いた事あるけど、それに関しても情報なし。

 お父さんの送迎で学校へ行き、当然、部活も行けず、私は窮屈な生活を強いられることとなった。


「じゃ、りり、四時過ぎに駐車場で待ってるからな」


「そんなに早く来なくていいよ」


 と、言ってはみたものの、きっと四時前には待機してるに違いない。


「おはよ、りり! パパの送迎つき?」


 校門前で加奈に声をかけられる。


「過保護すぎるよね」


「しかたないよ、声かけ事案の当事者だもん」


「にしても、部活もダメっておかしいよね……」


 つまんない、とぼやいていたら、横を自転車がスッと通り過ぎていく。


「あ! 橋本先輩!」


 私の声に気が付かず、サラサラとした髪をなびかせてながら、相変わらず風のように自転車置き場に向かっていた。


「加奈、ちょっと先輩んとこ行ってくるね!」


「グッドラックー」


 親指で励ます加奈を置いて、駆け足で寄って行く。

 今、話さないとチャンスがない。

 昨日渡した犯人たちの似顔絵や【シュピルマン・エンターテイメント】というヒントから、堀先輩の居所分かってないか確かめたかったのだ。


「はし……」


 見つけて声をかけようとしたら、また邪魔が入る。

 女子ではない。

 何となく、橋本先輩とは合わなそうなオタクっぽいメガネの男子が、「よぉ」と親し気に話しかけていた。

 先輩、近頃、交遊関係広げすぎ!

 いけない、と思いながらも聞き耳を立てた。


「昨日、橋本くん、陰陽師のライブ配信で何かやらかしただろ?」


 え、今、なんて?


「原田くんも見てたのか」


 橋本先輩がちょっとバツが悪そうに答えている。


「電磁波での洗脳、まさか陰陽師相手に試みたんじゃないだろうね?」


「実はそう、ありがとう。効果あったよ」


「マジ!? え? その話詳しく聞かせてくれない?」


 メガネくんがぐわっと先輩に近寄り食いついている。


「わ、私にも聞かせてください!」


 つい声を張って二人の背中に投げると、驚いた顔で振り向いた。


「山城……いつからそこにいたんだ?」


「そんなことより、橋本先輩ってば、ちゃっかり滋岡道中のYouTube番組に出たりしたんですか?」


 何いってるんだ、とちょっと冷ややかな目をした先輩の横で、原田というメガネくんが頬を赤らめている。


「……どうした、原田くん、日射にやられたか?」


 橋本先輩が太陽を見上げるも、メガネくんは口を開けたまま首を横に振っていた。


「ち、ちがうんだ」


 なんかどもってるし。


「や、山城りりさん、弓道部ですよね? じ、じつは、かなり好きなタイプの女の子で」


「え」「は」


 橋本先輩と顔を見合わせる。


「あの、誰かと勘違いしてませんか? たとえば悠里とか」


 可愛い友人の名前を出してみるも、


「あ、俺、美人には興味ないので」


 そこは、メガネを指で引き上げながらハッキリと言った。


 それ、どういう意味!?








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