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転生陰陽師は呪詛をしたくない【仮】  作者: こうつきみあ(光月 海愛)
五 サヨナラ
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生と死 19

 “呪詛返し”。

 これを恐れずに滋岡は何度も呪いを送ってくる。

 呪詛合戦は想念バトルであり、防御が弱いと負ける。

 昔は、神道系と密教系との闘いだった。

 滋岡は前者だ。

 これに勝つには……――


 俺は長野朝美に呪いをかけた悠里の件を思い出した。

 悠里は家に彷徨う霊の影響を受けていたとはいえ、呪術師でもないのに、ターゲットを呪い通り自殺未遂にまで追い詰めた。

 念が強かっただけじゃない。

 きっと、ネットのSNSを通してその効果を高めたに違いない。


 生霊や霊と、電磁波は波長が合うと言われ、電話で恨みを何時間も話しただけでも、怨念が音波を通じて聞く方に伝わっていくらしい。

 マイナスのエネルギーはマイナスに働く。

 それに電磁波は「波」だ。人の脳や体に影響を及ぼすともいわれている。

 俺が滋岡に勝つにはこれを使うしかないような気がしていた。


 俺は無残な姿になったスマホを見て、果たしてそれをどう実践しようかと考えた。


 ――帰ってからパソコンでやるか。


 でも、時間が惜しい。

 頭に、堀の姿が浮かぶ。一刻も早く呪詛合戦を終わらせて捜索に進みたい。

 そういえば、パソコン室って休み時間も開放されてなかったけ?



 普通科の俺は月に数回あるかないか立ち入るだけだけど、情報処理科やパソコンクラブに入ってる者は、頻繁に出入りしている。

 昼休み、弁当も食べずに向かうと、教室に40台ほどあるパソコンは半数以上埋まっていた。

 皆、プログラミングやゲームを作ったりしてるわけではなさそうだ。

 ネットで遊んでる生徒が大半だった。


 俺は、隅っこのパソコンを立ち上げたものの、電波を使った呪詛なんて検索しても出て来ず、次第に疲れてきて滋岡道中のホームページをボンヤリ眺めていた。


「へぇ、橋本くんみたいな人でもオカルトに興味あるの?」


 一つ空けた席のメガネをかけた男子が、無表情な顔で訊いてきた。俺は見たことがない生徒だ。

  オカルトって言葉で括られると不快に感じたが、世間ではそうなのだろう。


「調べたら出てきただけ」


 無愛想に答え、改めて検索画面に戻る。


「陰陽師のそいつ、インチキだって叩かれてんな、5チャンでもテレビでも」


「ふうん」


 興味ない。他人の評価など。

 奴は本物だ。


「歴史は改竄かいざんされる。安倍晴明の五芒星が魔除けで蘆屋堂満や滋岡川仁の六芒星が悪魔の象徴なんて嘘で、後から出来た歴史だって知ってた?」


 突然、己に関係したことを言われギョッとしてそいつを見る。


「あ、俺、オカルト研究部の部長してる三年の原田っていうんだ」


「そんな部活あったっけ?」


 原田は薄い唇をにいっと開けて笑った。


「部員、三名。学校非公認。でも俺は一年の時からオカルトのあらゆる分野に足突っ込んでるよ。陰謀論から心霊、魔術、都市伝説、電磁波まで」


 ここで思わぬ単語が出てきて、俺はツイてるな、と思った。


「なんで電磁波がオカルトなのか教えてくれよ」




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