生と死 18
――またか。
低級の霊を使った呪い。
滋岡の仕業だ。
でないと、この低い波動の霊を跳ねのけもせず、俺の持つ護符が発動しないなんてあり得ない。金縛りにこそなってないが、まさか学校にいる時もかけられるとは思ってもなかった。
真っ黒い顔をした霊は男か女かもわからないが、俺の足元から上を見上げ、何か呻いている。
「ここは、あんたの来る場所じゃない。去れ」
心の中で話しかける。
しかし、陰陽師に飼われた霊は、言葉も理解できないようで、俺の足やスマホを触る手に這い上がってきた。
ヌルッと冷たい感触。
呪文を唱えようとしたその時、濡れた手が俺のスマホを握ろうとした。
「やめろ」
思わす声を出したら、ミシッとスマホ画面にヒビが入り始め、パリン! と大きな音を立てて、破裂して割れた。
「どうした?!」
担任とクラスメート達が一斉にこっちを見た。
割れたガラスの破片が頬に当たったのか、チリっとした痛みが走る。
「熱もって割れました……」
答えながら、散らばった破片を集める時にはもう霊はいなかった。
「そら不良品だろうな。電話会社に交換してもらわないとだな、あー素手でやるな!」
担任が道具入れからホウキと塵取りを持ってきてくれた。
雑然とする教室。
こんなことで人の注目を浴びた事なんて一度もない。
これでネットを使った捜索もできなくなった。
滋岡に腹が立ち、このまま、いたずらに翻弄され続けることに抗いたい気持ちが芽生えた。
あいつに、どう呪詛をかければ勝てるんだ――




