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転生陰陽師は呪詛をしたくない【仮】  作者: こうつきみあ(光月 海愛)
五 サヨナラ
103/225

生と死 15

 陰陽師?

 天皇?

 それとも貴族?

 三人以上はいると思われる高貴な衣に身を包んだ平安男が、下をうつむいたまま動けない俺の周りを呪文を唱えながらぐるぐると回っている。


 異様な光景に恐怖を感じないわけがなく、俺は瞼を閉じて視界から消そうとしたが、その動きさえも封じられている。



 ――怖くない。


 怖くない、これは滋岡が作った念による呪詛だ。

 そう思おうとするが、なんだか男の一人に見覚えがある。

 衣装は平安だが、



「“千……尋……”」



 と、俺の現世名を呼ぶ男は、よく見たら俺の現世の父親だった。



「“出……過ぎた真似……をするな”」



 口を開けてしゃべらなくとも、インスピレーションでなんと言ってるのかわかる。



「“貴様は……ずっと眠っていればよい”」



 これは、滋岡道中からの警告――?


 それとも、千年前の呪いの続き?



「“さもなければ……”」



 小さく呟いたかと思うと、父さんらしき男が急に顔を上げた。



「あっ……!…」



 文字どおり声にならない悲鳴をあげたのは、父さんが白目を剥き、赤黒い舌をだらりと垂らしていたからで、その首には縄が巻かれていた。


 他の平安男たちの首にも同じように縄が巻かれ、彼らはいつの間にか天井からぶら下がっていた。


 下を向いていたのは、処刑されたのか自殺なのかわからないが、首つりをしたからかもしれない。


 こんな呪詛がずっと続くのかと思うとゾっとした。

 取り合えず声も出さず、体も動かさないまま簡単にできる解呪を試みる。


 これで大抵の呪詛や低級の霊を打ち破ることができるといわれている。 


 エナジースポットであるへその下の丹田にエネルギーを溜め、塊を作り、身体中に回っていくイメージをした。

 光を発しながら、段々と体が熱くなっていくイメージ。

 すると、硬直して動かなかった体が、急にスッ……と楽になった。

 呪詛が解けたようだ。

 安堵からか、瞼も重くなってきた。でも、また夢を見るのが嫌で、絶対に閉じまいと、目全体に力を入れる。


 ……それにしても、一体、どんな手を使えばこんな恐ろしいものを相手の夢に出せるのか?

 大体なんで平安の霊なんだ?


 やっぱり、あの霊視で俺の前世を知ったのか?

 まさか、俺にかけられた呪いも?

 俺の父安倍晴明と滋岡の先祖が呪い合ってたことも――


 滋岡の本当の狙いがわからないまま、日付は7月14日になった。

 朝のニュースで人気ミュージシャンのファンの後追い自殺者が7人になったと言っていた。





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