生と死 14
覚えてる範囲、犯人のこと訊いてみようと思ったけど。
拉致された時にスマホとられたか?
それとも、今後犯罪に巻き込まれないためにアカウントを削除したのか。
どっちにしても、直接、話を訊くしかない。
明日、彼女は登校してくるだろうか?
まだ痛む足を冷やしながら、俺は、浅い眠りの中、夢を見た。
いや、夢、なのか、それとも現実なのかわからない状態の中で金縛りのようになった。
珍しいことだった。
半分眠った状態で、部屋に異変を感じた。
――なにか、いる。
金縛りというのは、おおまか2種類ある。
1つは身体が疲れ、筋肉が緊張して起こるもの。
もう1つは霊的なものだ。
霊的な金縛りの場合は、いくつか原因が考えられる。
よくあるのは、その家に彷徨っている霊。
または自身に憑いているもの。
これもよくある話で、自身がネガティブな考えばかりを持ち、人の悪口ばかり言うと波動の低い霊を呼び寄せることもある。
だが、俺が今、身体が動かないのは、呪詛をかけられているからに他ならない。
呪詛で夢に入りこみ、恐怖を与えて相手を精神的に狂わせる。
これはプロの仕業だ。
呪詛の戦い=呪いあい。
恐怖を感じ怖気ついたら負け。
そうなれば、相手の飛ばしたものに精神や内臓を喰われてしまう。
結末は廃人か死。
俺の半分起きた状態の夢に現れたのは、平安時代の恰好をした男数人だった。
下をうつむいているので、誰なのかはっきりわからないが、動けない俺に何やらブツブツと呟いている。
呪文か?
「ノウマクサンマンダ・バザラダセンダ・マカラシャダ・ソワタヤ・ウンタラタ・カンマン……」
よく聞いたら、それは不動金縛り法だった。




