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転生陰陽師は呪詛をしたくない【仮】  作者: こうつきみあ(光月 海愛)
五 サヨナラ
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生と死 12

 あいつは、俺とバイクを衝突させて怪我を負わせる呪いをかけた。

 ゾッとした。

 スズメ蜂の時もそうだけど、これ、下手したら死ぬって。


 けれど、あいつの呪いのお陰で山城を助け出せた。

【ゴールド・スター】の安易な拉致が警察をも動かす事故に繋がったことで、俺は、半分滋岡に感謝していた。



「君が見た黒のハイエースはこれかな? 事故後にこっちで撮影したものと、後ろの車のドライブレコーダーに残ってた画像だけど」


  山城が病院で検査を受けている間、警察に画像を見せられるまでは――


「……確かに黒のハイエースだけど、これじゃないと思います」


 待合室に俺の低い声が響く。

 救急病院なので、一般患者はいない。医療従事者だけが忙しく院内を歩き回っていた。


「……なんでそう思う?」


「消えてる……車のバックに貼られてた赤い蛇のマークが……」


 写真の差し替え、もしくは画像処理されたものを見せられた。


 やっぱり、【赤い蛇】の事に関しては関わらない暗黙のルールがあるようだ。


 警察が、「見間違いじゃないかな?」と、ひきつった顔をした時、検査室から山城が出てきた。


「頭、打ったのか?」


  拘束により、かすり傷を負った手首には包帯が巻かれていた。


「MRIとか念のために撮ったんです。むち打ちしてるかもって」


 看護師に付き添われた彼女に、警察の男がゆっくりと寄っていく。


「この度は災難だったね。保護者の方が来たら、一緒に話をしたいんだけど」


 気遣う表情で言った矢先、「リリ!」彼女の父親が血相を変えて駆けつけてきた。


「山城リリさんのお父様ですか?」


 警察がスマホの警察手帳を見せて、形式的な挨拶をする傍ら、彼女の父は俺を睨み見た。

 

 ″また、お前か″

 と心の声が聞こえてきそうだった。


「橋本くん、次は君の処置ね、診察室に入って」


 医師が俺の背中を押して促す。

 転倒した時の傷を処置するためだ。

 診察室に入りながら、歩くたびにズキン、と足首に痛みが走った。

 これを治さないと部の試合には出られないかもしれない。

 ヒーロー気取りで無茶をした自分を恨む。


 俺の両親が迎えに訪れ、レントゲンまでの診察が終わった時には、山城は家族ともども居なくなっていた。





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