仲良しグループの出来上がりですわ!
髪が触れ合う距離で目と目が合うビスキュール男爵令嬢とアルフレッド第二王子殿下。
周りが凍りつく中、黒髪の侍従はなんとかアルフレッド王子殿下を起こそうとするが、身体の震えが止まらない。
あらあらまぁまぁ、ビスキュール嬢はお目々キラキラさせてて動く気ないし、王子殿下は王子殿下で離れる気がありませんのね。仕方がありませんわ。
野次馬集団から一歩進み出て、アホ二人に声を掛けます。
「まぁ、王子殿下お怪我はありませんか?さぁビスキュール様、お手をどうぞ。事故とは言えあまり異性と触れ合っているのはよろしくありませんわ」
私が声を掛けると、アルフレッド王子殿下はそそくさと動き出しますが、ビスキュール嬢は何してくれんだこの野郎って目をなさっておいでですわね。優雅にサッと腕を取って、ご老人の身体を持ち上げるテクニックでよいしょと立ち上がります。
ビスキュール嬢も周りの雰囲気は感じ取っているのか、目は敵意をバシバシと叩きつけながらも口ではお礼を述べます。
「ありがとうございます!えっと……」
「ペネロニース・ディ・アルティザンですわ。フローラ・ディ・ビスキュール様」
「ペネロニース様ですね!すみません、私まだ全然皆さんのことを覚えられなくて…」
なるほど、最近ビスキュール男爵家に引き取られた落とし胤っていうのは隠す気がありませんのね。
弱さと健気さのアピールでプルプルしていらっしゃいますが、ディミトリ先生がお見えになったのでこの茶番もお開きですわ。それにしても、黒髪の侍従の方の様子おかしかったですわね……。
廊下を歩いてこちらに向かうディミトリ先生が何も言わずとも、生徒達はそそくさと教室に入っていき何事もなかったかのように着席している。
教壇に荷物を置いてから、落ち着きのある渋い声で一言。
「おはよう諸君」
「おはようございますディミトリ先生」
サッとクラス全体を見渡して、一人一人の様子を確認してから話し始めます。
「何やら朝から騒がしかったようだが、この歴史ある王立ユメルティア学園の名に恥じぬ振る舞いを心掛けるように。ではホームルームを始める」
あぁぁん、ダンディなボイスに癒されますわぁぁぁ。
やっぱりディミトリ先生は出来るお方ですのね。フローラ嬢の問題行動も第二王子の品行も、この短い間で把握なされた上での発言。す・て・き♡
私転生して精神年齢が高くなっているからか、ストライクゾーンがとてつもなく広くなっているのを実感していますの。
10代20代30代はもちろん、40代50代もバッチコイ。現代日本に比べたら皆様引き締まった身体付きをされていますし、その環境において贅肉駄肉でプルンプルンな方もそれはそれで大層美味しそうに見えます。じゅるり。
少々トリップしながらディミトリ先生の話を聞き流します。
現在の授業は地理・歴史・算術・言論・外国語の基礎科目のみとなっていて、来週から選択科目が始まる。
選択科目は、剣術・魔術・社交・音楽・芸術・薬学・馬術・戦術・魔獣学・侍従学などの中から二科目以上を選ぶ。今週中にどれを希望するか決めて用紙を提出しなければならない。
ちなみにディミトリ先生は戦術を担当なさるみたい。
各々考えておくようにと締めくくって、授業に移るようね。
ディミトリ先生の地理の授業が終わって、次の授業までの休憩時間になりましたわ。
「アルフレッド様!アルフレッド様は選択科目何になさるんですか?」
「私は剣術と魔術と戦術だな。お前は何にするんだ?」
「私は────」
何やら懲りずにピーチクパーチクしている方がいらっしゃいますが、私のターゲットはズバリ!ルナマリア様と紫髪のリアム・オーキッドくんですわ!早速お隣から声掛けてみましょう。
「ルナマリア様は選択科目何になさるんですか?」
「私は音楽と社交にするつもりだったのですが、魔術もいいかなと考えておりますわ」
私にだけ分かるようにふふと笑ってみせるルナマリア様。朝使ったアクアスケイルの魔術で興味を持って頂けたようで嬉しいですね。
ペネロニース様は?と尋ねられるので私も答える。
「私は魔術と社交と薬学、それに侍従学を選択致しますわ」
「まぁ、侍従学も取られるのですか?それ程にお美しいとお相手は沢山いらっしゃるのではなくて?」
確かにそうなのだけれども、男爵家ですものと話を濁します。
残念ながら私お嫁さんにはなれないから、仕方がありませんわよねぇ。
ルナマリア様と選択科目についてお話していると、昨日の式典でご一緒した侯爵令嬢のお二人が話に参加してきました。
酪農が盛んなコーベット侯爵家のシルヴィア様は小麦の穂のような優しい金色の髪に豊かなお胸をお持ちの方で、鉱石採掘が盛んなイヴェール侯爵家のナターシャ様はオレンジの色味が強い艶やかな赤毛でそばかすがキュートな方ですわ。
「シルヴィア様とナターシャ様は何を選択されるのですか?」
「私は音楽と社交と魔獣学に致しますの。魔獣による家畜の被害は我が領の悩みの種ですから」
「私は剣術と馬術と社交を。趣味の通じる殿方を探してこいとお父様から言いつけられておりますの」
「まぁ、お二人とも素敵でいらっしゃいますわ」
昨日から引き続き今尚あははでうふふなお話をなさっているアルフレッド王子とフローラ嬢を横目に、私達は仲を深めてシルヴィア様とナターシャ様もお名前で呼ぶことになりました。
ルナマリア様ったら、魔術を選択するって話の流れで今朝私が使った魔術のことをあっさり話してしまうものですから、お二人にも食いつかれてしまいましたわ。
「もうっ、二人の秘密だと思っておりましたのに!共有する人が増えたら益々楽しくなってしまいますわね」
「怒ってしまわれたのかと思いました。ペネロニース様も人が悪いわ」
キャッキャしながらお話できて、思いの外距離を縮めることができましたわ。
楽しく過ごしていたら休憩時間もあっという間に終わって、次の授業です。
さて、リアム様にはどうアタック仕掛けようか授業中に作戦を練りますわよ!
金髪豊胸のシルヴィア・ドゥ・コーベット
そばかす赤毛のナターシャ・ドゥ・イヴェール
取り巻き令嬢のキャラも結構気に入ってます。
紫髪の平民、リアム・オーキッド
ちなみに平民は苗字を持たないので、入学の際に適宜適当な苗字を付けられます。苗字持ちの平民は公式に名乗ることを許され、ただの平民から1ランクアップしたような感じになります。