第2章 マギア・カースト
緩い話なのですが応援ありがとうございます。
「信じられない!」
ハヅキはプリっと両頬を膨らませながら、七袖と共にマギア聖学院の豪華絢爛な門をくぐる。
「いいなあ、ミツキ。私もサピエンティアにすればよかった。」と七袖が呟いた。
七袖が他人に嫉妬するのは珍しい。
「どうせ、向こうの方が剣術の稽古にちょうどいいとか思ってるんでしょ。」とハヅキが突っ込む。
「そうだな。校風も私にあっているし、それに魔術においても秀でている者が多い。」と七袖が頷いた。
「フンッ、何よ。ナナちゃんまでお姉ちゃんみたいな事いってさ。せっかくみんなで同じ学校に通えると思ったのに!」とハヅキが食い下がる。
「まったくお前は...。ミツキは将来のことを考えてだな..」
「まあ、七袖様!ごきげんよう。」と後輩たちの挨拶が2人の会話を遮る。
「キャー!七袖様よ!」と周囲が騒めき出した。
羨望の眼差しと共に贈る後輩や同級生たちの挨拶に、七袖は爽やかな微笑みで返す。
陽王朝への留学から初めての七袖の登校に女生徒たちの黄色い声が華やぎ、その様子はマギア聖学院でのスクールカーストを如実に表している。
そのトップに君臨するはずのセレステの帰国の目途が漸くたった事を、コルトバより聞かされたのはつい最近のことだ。
つまり暫定カースト1位は七袖。マギアでの人気を一手に担う。
もちろん七袖はそんなこと全く気にも留めてないのだが。
「まあ、またあの影の薄い貧相な娘も一緒ですのね。」と陰口が当然のように聞こえてしまう耳が疎ましいハヅキ。
ハヅキがカナン王の義理の娘であるにも関わらずカースト底辺組なのも、留学前より変わらない。
少なくとも「プリンセス」と言う扱いはこれまでも全く受けた事はない。それは恐らくマギアの貴族主義によるものだ。そもそもハヅキは奴隷階級の出であり、七袖は小国ではあっても王族の出身者である。
その気高さと凛としたオーラは隠せるものではない。
「じゃあ私はここで、ハヅキ。剣術の稽古があるから放課後は先に帰っていてもいいぞ。」と七袖は高等部の校舎へ向かった。
中等部のハヅキは別々の校舎へ向かう七袖の後ろ姿に別れを告げると、下を向きながらトボトボと教室へ歩き出した。
(なによ。お姉ちゃんも、ナナちゃんも、みんな気にしてないみたいに...)とハヅキはがっくりと肩を落とした。
(このままじゃ、続・ぼっちじゃない。)とそんな上手いことを言っても聞いてくれる友達のいないハヅキ。
独りには慣れていたけれど、留学中いつもみんなといた頃が、悔しくも恋しく思えるのだった。
すると、校舎の窓から清々しい朝の風がハヅキの前髪を揺らした。
「帰ってきて全く連絡をよこさないなんて、なんて冷たいのかしら!」
それはひどく懐かしく思える、ハヅキの小さな胸を躍らせる声だった。
ハヅキが顔をあげると、そこには少し背が伸び、艶やかなプラチナブロンドの髪をツインテールに結んだ、あの少女が仁王立ちして待っていた。
その透き通った蒼色の瞳は、まるでこれからのマギア中等部での最後の一年を表すかのように、キラキラと輝いていた。
いきなりミツキなしってどゆこと?ってSyも思っとります。




