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序章

 一つ、また一つと消えてゆく。

 消えた命など数字でしかない。

 戦争とはそういうものである。


「主よ、ご加護を」


 どこかでよく聞く言葉。しかし、そんなものはウジムシにも劣る。

この世界でそんなもの何の役に立つ?祈る暇があるなら生きる為に行動をしろ。

 轟音が鳴り響き地は揺れ、灰燼と化した戦場の空に彼女らはいた。



「状況は最悪だな」

「はい……味方の部隊はほぼ壊滅ですね」

「まともな兵装が見当たらん。的になる寄せ集め、捨て駒だろう」

「そんな……」

「こんな戦争早く終わらせよう。魔導砲撃斉射用意! 放てぇ!!」



 天より幾数もの光が戦場に降り注ぎ、あらゆるものを焼き尽くす。

 あるものは言う。戦場に舞い降りた天の使い。またあるものは死神と。


 








中世ヨーロッパの町並みに似た場所、カルス共和国のとある執務室に彼女らはいた。


「だるぅ……」

「シノア隊長、仕事してください。」



 シノアは書類の山に囲まれた机に平伏しうな垂れていた。

 それに比べ、透き通る様に綺麗な長い銀色の髪、端整な顔つき、とても軍服が似つかわしくない彼女は黙々と書類を整理している。


「スー!この書類の量はおかしいだろぉ! なんでこんなにあるんだ!! うわぁっ!?」

 

 勢いよく起き上がり、両手で机を叩いた衝撃で書類の雪崩に彼女は埋もれてしまった。


「ぷはぁ!! くぅ、なんで私がこんなことを……」


 跳ねた栗色の髪が愛らしい少女は涙目にぼやいている。それを横目にスーリは深いため息をつき言う。



「シノア隊長、誰のせいでこうなっていると思っているんですか? この前の戦闘で、いくら味方部隊が壊滅しているからとはいえ、前線にあった味方の拠点もろとも纏めて吹き飛ばしたからですよ。」

「しかし、生き残っていたやつらに人的被害は出なかったではないか!!むしろあれだけの砲撃をして人的被害を出さない指揮を褒めてもらいたい!!」



 膨れている彼女を見ると、どこにでもいる可愛い普通の少女である。そんな彼女を不意に抱きしめる影がひとつ。



「そやなぁ、しーちゃんはなぁ、いつもがんばってえらいもんなぁ? うちはそんなしーちゃん大好きやもんなぁ」

「そうであろう! そうであろう! さすがリーシャ!!」

「リーシャ、隊長を甘やかしてないであなたも仕事して下さい。」



 赤髪に独特のイントネーション、なんとも間延びした喋り方の彼女に嬉々として抱きしめられるシノア。そんなやり取りをしている彼女らを見つめ興奮している者がいた。



(はうぅぅうぅ!! シノア隊長とリーシャがまたくっついている! 美少女が二人絡みあっていちゃいちゃと…………た、たまらん!!)



 深緑に髪に綺麗な目、考えている事とは裏腹に明るい性格の彼女、横には桃色の髪に端整な顔立ちの女性とクセっ毛のある小さい黒髪の少女。

 


「エーファ、よだれが出てるよ……そろそろこっちの世界に返ってきて」

「はっ!? エリィ!? い、いやぁ、つい」

「ついじゃないのですよ。さっさと終わらせて帰って寝るのです。」

「メイ、いつも思うんだけどペンも持ってないし手も出てない袖でどうやって文字書いているんだよ」

「ふふふ……企業秘密なのです」



 いつもの風景。戦場では死神とまで言われている彼女達も書類整理にばかりは勝てないらしい。




ほのぼのしつつも殺伐としていきたいかなと思ってます。


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