狐の嫁入り
お天気雨の日に起こる、不思議なお話。
突然、雨が降ってきた。
雲がないお天気雨だ。
どこか雨宿りする所はないのかと、走っていたら、見知らぬ路地に差し当った。
こんな路地ないはずなのに……。
ちょっとした好奇心で、足を踏み入れてみた。
まだ夏でもないのに、風鈴の音も聞こえてくる。
走っていたはずなのに、いつの間にかのんびり歩いている。
路地に立ち並ぶ家々は、とても古く感じた。
こんな家は見たことない。
けれど、雰囲気は好きだ。
この路地を歩くのに、雨も悪くない。
シャラン……、シャラン……、と、不可思議な音が聞こえてきた。
音に引き寄せられるように、足が進んでいった。
「……狐の、嫁入り」
狐が行列を作っていた。
そして、一匹の狐は白無垢を着ていた。
「綺麗だ……」
思わず行列の前に出ようとした瞬間、裾を引っ張られてしまった。
「ダメだよ。そっちに行ったら」
「え?」
裾を引っ張ったのは、狐の面を被った小さな少年。
「ほら、雨も止む。帰ろう」
「……雨?」
空を見上げると、雨が止んでいた。
そして、先程までの路地が無くなり、いつものコンビニ裏の駐車場にいた。
「……さっきの、幻?」
足元にある水溜りに、先程の少年が写っていた。
「またね」と、呟くと少年は去っていった。
狐の面を被った子が出てくるお話、もっと書きたいな^^