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第二模様「色とりどりの思惑」

屋上へと続く階段へと僕らは歩みを進める。

コツコツと不規則な2つの足音がやけに脳裏に響く。

階段は昼間だというのに薄暗い。折々の休息を取っている生徒達の喧騒は、どこか浮世離れしているように思えた。

僕はそれらを聞き流しながら、鉄のドアノブに手をかける。

手のひらで無機質な冷たさを感じながら、一思いにドアを開けた。

瞬間、昼間の太陽の輝きと冬の冷たい空気が飛び込んできた。


冬の屋上は広々としていて、誰のものでもないといったようだった。

「ひゃー、やっぱり冬は寒いねぇ。」

「教室で食べたほうが良かったかな。」

「いや。私は柳生くんと二人きりが良いから、大丈夫だよ。」

「そっか。」

そんな事をさらりと言ってしまう彼女は、やはり綺麗で。愚かで。

屋上の雰囲気が彼女の純粋さをより一層搔き立てていた。


お腹が空いていた事もあり、僕は彼女に腰を下ろすように促し、愛妻弁当にありつく。

いや、僕らは婚約もしていないし、ましてや結婚もしていないから

愛妻ではないのではないか?

百歩譲って、「夫妻」という関係になったとしても

僕の彼女に対する愛とは何なんだろうか。

わからない。

「…ぎゅうくん、柳生くん?大丈夫?咳出る?体調悪い?」

あ、またやってしまった。どうやら無意識に口元を覆っていたようだ。

「うん、大丈夫だよ。ちょっと考え事をしていてね。」

「なら良かったぁ。あんまり考え過ぎて頭パンクしないようにね。」

「ああ、気を付けるよ。」

やはり、この癖は直さなければならないらしい。

彼女に思考が漏れるのは、最悪の事態なのだから、どうしても避けねばならない。

焦りを抑え込むようにお弁当箱の蓋をそそくさと開き、ざっとおかずを見る。

あ、から揚げか。悪くないな。

「今日のも美味しそうだね。いつもありがとう。」

「ううん、柳生くんのためだから。」

「今度、ご馳走させてよ。君に何かお礼がしたい。」

「え、でも悪いよ。」

「良いから。何かご要望は?」

「…じゃあ、駅前に出来たカフェ、行きたい!

 日本初上陸のお店で、パンケーキが有名なんだ!」

初上陸って、台風かよ。

女子はパンケーキが好きってよく言うけど本当だったのか。

にしても人多そうだな。

なんて毒づきながら、二つ返事で承諾した。

適当に日にちやら、諸々を決め、僕らは冬の寒さから逃げるように自教室へと戻った。


授業までの時間が迫っており、教材を取り出すため、ゴソゴソと鞄を漁っていると、

肩に何かがのしかかってきた。

またお前か。

「やあやあ、毎日お熱いですなぁ。」

「なんだよ、褒めたって何も出てこねーぞ。

 というか重い。退け。」

「やーだー、つーめーたーいーハルトくぅん♡

 俺らそういう仲じゃなーい。」

「え、なに。こんなオネエみたいにキモいやつと幼馴染をやってきた覚えないんだけど。

 それとも、ソッチ系に目覚めちゃったわけ?」

「なわけないだろ。冗談だよ、冗談。」

「で、何の用。僕、忙しいんだけど。」

彼、小鳥遊 陸の長い話をまとめると、

今日の帰りに相談に乗ってやるから、なんか奢ってくれとの事。

僕は渋々それを認めた。

授業開始のチャイムと共に飄々と席に戻っていく背中は、

どこか憎たらしく思えた。



お久しぶりです。

前回の投稿からだいぶ日数が空いてしまいましたね。

いくら環境が整わなかったとは言え、反省しております。

もっと早く投稿を行えるように努力していきますので宜しくお願い致します!

ではまた次回お会いしましょう。アデュー

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