E 霧のサミスティア 共通①
「はい、白スミレとカトレアのブーケよミセス・ケイク」
今日は近所のケーキ屋のおばさんの娘が誕生日で祝うというので、彼女の好きな花を使った。
「まだ若いのに偉いねぇ」
「そんなことないわ」
幼い頃に両親をなくし、13才の私は一人でこじんまりとした店をやっている。
「最近は物騒だから気を付けるんだよ」
「ええ」
怪盗アセスルファムが出たり、洋菓子屋の使う粉にヤバイ粉が混入したり何かと危険だ。
「若い娘を狙った殺人事件もあるらしいし……」
「まあ、それはこわいわ……」
●●
仕入れた花も売れて、店じまいをする。
「サウスさん」
「ああ、店はもういいのかいミスティア」
後見人として10年前からサウスさんが面倒を見てくれている。
彼は22才ということで、家族から私の面倒を見ることは反対されていたそうだ。
「いつもは数本あまるのに、今日は全部売れたのよ。なにかいいことでもある暗示かしら」
カフェのマスターである彼は花屋と同じくこじんまりとした雰囲気の店を一人でやっている。
「あら、雨?」
いいことどころか、暗雲だなんて不吉だ。
「こんにちは」
久しぶりに幼馴染みが姿を見せる。その手に傘はなく雨宿りにきたようだ。
「やあテスタ」
「久しぶりね」
テスタはゴーストを祓う仕事をしている。
「ああ」
「あのね、近所のケーキ屋の娘さんが誕生日なんですって」
「そうか、僕は昨日16の誕生日だった」
「祝ってほしいならなんで来ないの」
飽きれていると、またもや来客だ。
「どうも」
「あ、デイタミンさん?」
彼は警察をしておりとても正義感があって慕われている。
「今日は非番なので散歩をしようと思ったらこれだ」
ため息をつきながらカウンターに座る。
「ふー店は今、あいていますか?」
「はい、どうぞ」
店に入ってきたのはまるで探偵のような服装の男性。
「どうも天才探偵ジダリギスさん」
「おお、ヤードのエースと名高いデイタミン殿ではないですか」
なんだかピリピリした雰囲気ある。
「まあまあ、せっかくですしブレンドコーヒーでもいかがです?」
サウスさんはコーヒーを作る用意をする。
「ではワタクシはマスターにおまかせしますよ」
「自分はブラックを」
「僕はミルクパウダーを湯に溶いたので」
見事に好みはバラバラだ。
「ついでだから君もどうかな?」
サウスさんが私に何か飲みたいものをたずねる。
◆なににしようかしら?
[ブラック]
[おまかせ]
[ミルク]