第5話 光る森
再び小麦畑にでた2人だったのですが・・・
次の日の夜、小麦畑で二人は、まず何から始めるかを考えました。
「とりあえず、歩ければいいよね?君には足がないから、足を作ろう。そうだな?とりあえず太めの枝を4本とつる草を探そう。どこかにいいのがあればいいけど。」
リドルはどんな風に足を作ろうかウキウキしていた。
「あそこに森がみえる。君にも見えるかな?」
ストックの指さす方向に薄く霧がかかった森がみえました。
二人は、森に向かうと、入り口らしきところで立ちすくんでいました。
入り口から見た森の中は、木が月の光をさえぎるほどおいしげっていました。
「せえので一緒に入ろうか?」
リドルが目をつむりながら、手をつなごうとしましたが、とおりぬけてしまいました。
「うん。」
ストックは、そんなリドルを見てクスッと笑い、透りぬけたリドルの手に、自分の手をかさね目をつむりスーっと息をすいました。
「せえの」
二人は、大きな掛け声とともに一歩ふみだしました。
目をあけるとさっきは見えなかった一つぶの星のような光と、風もないのに木々がざわざわっと葉をゆらしました。
「こわがってる場合じゃない。枝とつる草を見つけないと。ここらへんの木は大きすぎる、もっと奥に行ってみよう。光の方へ行けば怖くないし。」
リドルは、光の方に何があるのか気になっていました。ストックは、木々のざわめきに驚いて、また目を閉じて立ち止まってしまいました。リドルは、ストックに
「大丈夫。行くぞ。」
と、いうと歩き出しました。ストックも怖いながらも目を開けてリドルについていきました。
良い木とつる草のどちらも見つからず、どんどん歩いていくうちにまばゆい光を放つところに二人は出ました。
そこは太陽のような光がさんさんと輝き、木たちが喜んでいるかのように葉を揺らしていました。
「あ、ちょうど良さそうな木があった。」
リドルはストックに木の横に立ってもらい、ストックの身長より少し高いところで木に印をつけました。
すると、木が急に真っ赤に染まり、枝をぶんぶんとふったのです。
「あなたたちズーラにいったい何したの?」
2人が後ろをむくと、一人の女の人が立っていた。とてもきれいな人で、白いドレスを着ていて、見たことのないような宝石を身に付けていて、きれいな緑色に光る石のついたステッキを持っていた。2人はとまどいながらもその人に何をやったのかを話した。女の人はうなずくと、空に向かってステッキをふりあげました。すると、たちまちその木の上だけ雲がもくもくとあらわれ、やがて雨がザーザーと降りました。雨にぬれた木は落ち着いたのか赤みがきえて、元の木に戻りました。女の人は木にニコっと笑うと
「ズーラ。落ち着いた?この子たちは悪気はないみたいだから許してあげて。ほら、あなたたちも謝りなさい。」
女の人に言われて2人はわけもわからないまま木に謝りました。
「さてと一件落着。あ、ごめんね。遅れたけど私は、このルーアス森の番人のリーフル。よろしくね。ちなみにこの木はズーラよ。なんか言いたそうな顔だけど言わないでいいよ。全部答えるから。」
リーフルはそう言うと、2人の考えていた質問の答えを全部言ってくれました。2人はリーフルは心が読めることにビックリしました。ルーアス森は木の楽園であること。木たちには全部に心があり、名前があることを知りました。
2人はリーフルに森に入った理由を話しました。するとリーフルは
「木たちにいらない枝やつる草がないか聞いてみるわ。」
リーフルはまたステッキを空にかかげると、今度は先の石の光がパーッと飛び散ると森の木たちの上に落ちました。2人がそれを見て口をあけてボーっとしていると、リーフルがステッキをおろして耳をすますと
「ちょうどいい枝があったみたい。風に乗せて送ってもらうわ。」
ドッスーンっと枝が4本ストックの体を通り抜けて落ちた。
「あぶないじゃないか。」
ストックはびっくりして言った。
「ごめん。ちょっと落とすところを間違えたわ。つる草じゃないけどひもなら家にあるわ。そろそろ外の世界は日が昇るころよ。よかったら送るけど?」
リーフルの言ったことに2人はあせりました。
「まずい。気付かれる前にベッドに戻らないと怒られる。」
リドルは怒られることを想像しておびえました。
「僕もそろそろ帰らなくきゃ。」
ストックは眠くなっていました。
「じゃあ決まりね。2人ともここにたって。あとは風に身をあずければいいから。じゃ、さようなら。」
リーフルは2人にそう言うとステッキを2人の足に向かって振りました。すると、風が2人の体を高く高くもちあげました。2人が別れを言おうと下を見たときはもうリーフルの姿も、きれいだった光も見えなくなっていた。2人はいろんなことにとまどいながらも楽しい気分で風に乗っていました。リドルは町に帰る途中で眠ってしまいました。
ゴーンゴーンっと町の時計が12時を指したとき、リドルは起きました。
「いつまで寝てるんだ。もう昼だぞ。」
ビングの声にリドルは安心しました。
「昨日のは全部夢だったんだ。」
リドルは急いで着替えていつものようにビングの手伝いをしました。
夜になり、自分の部屋のドアをドキドキしながら開けたが、ストックはいなかった。
「やっぱり夢だ。」
ふーっとため息をついてリドルはベッドに入り眠りました。
久しぶりの投稿です。お待たせしました。