中学校に行けていない主人公の小春が、担任の先生に「北海道の高校に行きたい」と伝える物語です。
夏休みが終わり、涼しくなってきた。
頭痛のない日は、少しずつ別室登校もできるようになっていた。
そんな頃、進路調査票が届いた。
進路調査票には、
「北海道の高校へ進学希望」と書いた。
そして三者懇談。
担任の先生は「北海道は……さすがに、ね」と反対したが、
私はこの高校に行きたいと強く伝えた。
数日後、四者懇談の案内が届いた。
そこには、進路指導の先生も同席すると書かれていた。
その先生は野球部の顧問だ。
中1の頃、その先生がクラスに入るだけで
ざわざわしていた教室がピタリと静まった。
問題児からも恐れられている先生だった。
正直、怖かった。
反対されて、叱られる気がして、
できれば話したくなかった。
それでも、自分の気持ちは伝えようと思った。
四者懇談の日。
それまであまり意見を言わなかった母まで、
先生たちの話に影響されて
「やめたほうがいいのでは」と言い始めた。
三対一だった。
それでも、私は自分の考えを曲げなかった。
懇談が終わったあと、
担任の先生は通信制高校の合同説明会のチラシをくれた。
「冷房の効いた部屋で過ごせばいいんじゃないか」と言われた。
進路指導の先生は「夜間高校はどうだ?」と言った。
「夜は日中よりも気温が低いし、毎日学校があるから実質全日制だぞ」と言われた。
皆、良い人すぎて辛い。
もっと怒られると思っていたのに、
誰も私を責めなかった。
それでも私には逃げ場がなかった。
だからこの悔しさを、どこにも向けられなかった。
――ああ、やっぱり無理だったのか。
そう、心のどこかでは分かっていた。
それでも私は、意地になって
「北海道に行く」と自分に言い聞かせていたのだ。
もう中学三年生の秋。
そろそろ、現実を見なくてはいけない。
そうして私は、
自分の住んでいる都道府県の通信制高校と
夜間高校について調べ始めた。
今度こそ、自分の気持ちが
ちゃんと届いてほしいと、祈るような気持ちで歩き出した。




