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第25話 漏洩(4)



「どうするつもりだ?」


入室早々にアイクが不機嫌そうに呟く。

彼自身は誰に話しているわけでもない、独り言のようなものだと思っているが聞いている側はそう思ってはいないようだった。



「・・・俺じゃない」



アイクの言葉にフーベルトがそう答える。

彼の顔にはいつもの傲慢さは薄れ、危機感と罪悪感が残っているようだった。


「お前が魔族排滅論者とわかっていたら採用はしなかったな」


嫌味がこもったアイクの言葉にフーベルトだけではなく部下全員が険しい顔つきになる。



「・・確かにフーベルトは魔族の犯行だと決めつけていたが、それは俺が止めました」


そんなフーベルトを見ていられなくなったマイクが会話へと入る。

フーベルトをこれ以上責めても意味がないことをアイクに気づかせるためだ。


「人間が獣人に戦闘で負け、その上に庇われるとは。時代は変わったんだな」


「・・・護衛隊から漏れた可能性もあると思いますが」


フランも話を無理やり変える。


彼女は彼らの喧嘩に途中参戦した身なので詳しいことを知っているわけではない。


だが、彼女と血を同じくする種族が絶滅の可能性があるとなれば黙っていることはできない。



「魔族が疑われ始めたのは事件の権限が俺たちに移動したからだった、そも護衛隊ならこんな回りくどくない」


フランが言う、情報源が護衛隊という説をアイクが真っ向から否定する。


「つまり、考えられるのは目先の利益しか見えていなかったガキ以外いない」


アイクがそのバカな子供を見る。

フーベルトが口を開くことはなく、上の空だ。


「誰に言ったんだ?」


アイクがフーベルトとの距離を縮める。

殴りかねないアイクと詰め具合に、フランが間に入ろうとするがマイクがそれを止める。



だが、フーベルは口を開かない。


彼にそれ以上に守りたいものがあるのか、それともアイクへの嫌がらせなのか。

だが、それが通用するのは学生までだ。


「・・今すぐに決めろ。言って軍の道を諦めるのか、言わずに大虐殺の下手人になるのか」



苛立ちを隠すこともせずにアイクがさらに詰める。

彼らの距離はもう間に人一人入ることはできない。


だが、苦い顔をしたままフーベルトは動かない。



アイクは呆れたように振り返り、再びフーベルトと距離を取る。


そしてその距離が縮まることはもう無かった。


「2度とこの部屋に入るな」


そう言ってフーベルトを部屋から追い出したのだった。


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