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第24話 ある記事にて(3)
今回の事件の真相を伝えるためにアイクは協会の建物の最上階であり、ステイの部屋へときていた。
「フーベルトとの勝負は俺の勝ちだ。奴は俺の許可なく魔法は使えず、お前は大儲けだな」
笑って言ったアイクとは反対に、ステイは深刻な表情だ。
「一応聞いておくわ、ことの真相は?」
アイクはそのことを気にしながらも、少し声のトーンを落として言う。
「関わった奴には戒厳令を敷くべきだな」
そのことで全てを悟ったのかため息と共にステイが顔を俯かせる。
「もう手遅れよ」
そう言ってステイがアイクへと見せてきたのは火事の原因と聖地である精霊の森を焼いた犯人が魔族であるということが扇情的に書かれていたある新聞記事だった。
それが意味するのは長い歴史の中で何度目かもわからない魔族の種族的危機だった。