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第11話 会話(2)



「部下たちの前では吸っていないのか」


ここはこの建物内にある一般開放されている食堂だ。アイクは入った時にワシントンを見かけたので迷いなく向かいの席に着き、ありがたく彼の目の前の皿に乗っていたサンドイッチの半分をもらった。


「部下たちの前では吸っていないのか」

そのことについて何も言わず、以前相談していた煙草について尋ねた。


「当たり前だ、あいつらに受動喫煙はさせられないからな」


アイクはサンドイッチについていたコーヒーすらも飲みながら答える。


「俺は違うのか?」


ワシントンは笑いながら尋ねる。


「お前の気に入っているところはその解毒体質だけさ、気にしなくていい」


サンドイッチの中に入っていた生の魚の刺身だけを抜き、皿へと戻す。


「お前と友人の条件は解毒体質であることか」


「あと、金を貸すことも忘れるな」


アイクがワシントンに金をせびる。

彼はポケットから財布を取り出し、札を二枚ほど渡した。


「いつまでも隠し通せるものでもないだろ」


アイクはもうバレてしまったことを言うか迷ったが、結局何も言わないことにした。

そしてワシントンがらしくなくアイクの身を心配したことに疑問を覚える。


「やめられたら困る、俺が吸えなくなるからな。通報されないようせいぜい首輪をつけておけ」


ワシントンは心配しているのは自分のことだけだと言う。

こいつは何があっても自分本位、そこが変わることはないし、それを変えられるものはこの世界にはいない。


アイクはポケットに入っている銀色の箱から二本の煙草を取り出し、一本はワシントンに、もう一本は口に咥えてそのまま食堂を去った。




 *



「グッドモーニング、いい朝だ。顔色がよくないぞ?」


アイクはあれから何の連絡もなかったのでオフィスに変えることはせずにすぐに家へと帰り就寝した。

そんな元気百倍のアイクとは正反対に、若い部下たちは徹夜で調べ物をしていたので。憔悴しきっている。


「戸籍ともに生まれた病院は確認できました、ですが成績表の方はまだわかりません」


腕に顔をうずくめながらフランが答えた。

マイクも寝落ち寸前の顔だ。


「三人でやってまだとは。もしかして途中で寝てたのか?」


「あんたは快眠のようだな」


なぜかあまり機能と顔色が変わらないフーベルトがアイクにそう問いかける。


「寝つきはいい方なんだ」


だが彼がサボっていたと言うわけではないだろう。

アイクはフーベルトにも少しだけだが疲労の色があるのを見逃さなかった。


「ワットという成績表を書いたと思われる教師がいる学校のことですか、見つかったのは見つかりました。ですが彼はカイトのことを知らないというんです。なので、未だ見知らぬワットを捜索中です」


途中から眠ってしまったフランに代わりマイクが徹夜の成果を代弁する。


「・・いや、もういいぞ。それ以上は意味がない。では、解決への一歩を踏み出すとしよう」



そうやってアイクが議論を開始しようとしたら、彼専用の連絡ネットワークに魔力を感じた。

そのメッセージを確認し、するべきことの優先順位を入れ替える。


「時には現場の声を聞いてみよう」


そう言って、アイクはオフィスから出た。


 *


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