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05 安全な場所



おかしい、おかしい


「何がおかしいの?」


だってほら!俺はいま!喋ってない!!




白い布袋に半身浴状態で入れられ(壺おじならぬ袋おじ状態)

腕は…いつの間にか吊り上げロープと共に固定されていた


身動きが取れない



「ちなみに〜さっき思ってた排泄物とか、そのまま垂れ流しても問題ないからね♡どーせ異空間に消えるだけだし」


変な汗が出てきた、足掻く、もがこうとも下半身の感覚は無いし、上半身も身じろぐことしか出来ない


「あら、銀貨になっちゃった」

『まぁ、さすがに気付くか、そのフルフェイスは思考を筒抜けさせる、まぁ会話もできるしいいだろ?』


いやいやいや!これじゃまるでジンモ…

「尋問だけど」『尋問用だが?』


「元々、犯罪者に付ける奴をうちのクローバーが改造したヤツだからね」


な…



「銀貨は勿体ないな〜ほら、イイコトしてあげる」

目の前のハートが何も無い空間を触った



次の瞬間、突如として溢れ出した、存在しない記憶


目の前のハートといい雰囲気になり、デートし、イチャついて、一夜を過ごす


脳は処理出来なかったが、貨幣は嘘をつかず、金貨をジャラジャラと吐き出し始めた


「あはは!やばーい!すっごいキモイ!」


ものすごい屈辱的なのに、ハートを見ると先程の光景がフラッシュバックする


「ぐ…」


せめて抵抗しようとこの貨幣排出を止めようとする


『ふ、魔法の魔の字も知らない世界から来たのに、原理を知らない魔法を止めれるとでも?』

「魔法制御は一生教えないから〜ね?ジャックくん♡」


「ぐ、あぁ…!」


情けなくもハートに甘く囁かれ、宝石までこぼれ落ちる始末だ


初めてMPが80になったが、直ぐに100に戻ってしまった



『ちなみに、スペードもクローバーも女だ』

「あ、反応した、きも」


『私たちは…まぁ悪い人種だからな、趣味はテロだ』

「私は男狩り、殺す意味でね?」


「はっ…はっ…」


やばい、ヤバいやつらに捕まってしまった

もしかしたらゴブリンの方がマシだったかもしれないくらいに、つまり死んだ方がマシ


「あー、さっきのボロ男は死んじゃったしー、苗床女と追放女、デミヒューマンは見逃したよ〜

あたし、女の子には優しいから♡」


そしてハートは空間を触ると

再び脳内に溢れ出すハートとの甘い生活


悔しいが、魔法は正直なようだ


「あはっ、また宝石!これなんだろ、透き通るようにキレ〜」


ハートが手元にある白布袋から、自分が今生み出した宝石をだした



「ふふ、ジャックくんとなら、あたし結婚してもいいよ?」

『アハハハハハハ!あのハートが男と結婚!?めでたいなぁ!』


次の瞬間、脳に溢れ出したのは

ハートが男にやってきた殺戮の数々


そして、ハートとの結婚式の様子、アフター


「がっ……あぁ!!」


目の前でニコニコとコチラを見ているクソ女

男を生き物として見ていない悪魔

もはや男として、この女は生かしておけないと本能が叫ぶというのに


「ざーこ♡」

溢れるハートとの幸せな光景に、涙、金貨と宝石を流すしか無かった





それからも尋問…拷問?は続いた

あらゆるプロフィールを筒抜けにされ

ハートに骨抜きにされ続けた


「やー、それにしてもダイヤちゃんナイスだね〜」

『最初は道路を舗装したてのキラキラかと思ったからな、ニホンエンなんか知らないし』


ゴブリンに引き摺られた時も貨幣を垂れ流し続けた結果、この女達に見つかったらしい


『と、そんなわけでアジトに着いた』

「ん、ジャックは大人しくしててね♡」

「…あぁ」


疲れ果て、そう返事を返すとフルフェイスにくもりがかかった


うっすら見える向こうの様子

ハートが立ち上がり、出入口へ、運転手側からぴっちりスーツ…フルフェイスのダイヤが来て、自分をジロジロと見たあと出入口へ行った



足音も遠ざかった





逃げ出す、ことは出来ないだろう、何せ体が自由に動かせない

舌を噛み切って…発想だけだ、実際それをできる程の度胸は無い

それにハートの言う通りなら自害防止機能がこのフルフェイスにはついているらしい



…このフルフェイスヘルメット、どんな機能がついてるんだ?


疑問に思うと視界にメニューが現れた

嫌に高性能だ


音楽、映像、本…

この世界の娯楽は余裕で使えるらしい

同時に、それらを情報としてスキャンすることも可能

ひぇ…


試しにこの世界の常識〜的な本をスキャンしてみると

一瞬気絶した感覚に襲われたあと、本の内容を全て理解していた


すごい機械だ…


「すごいのは君かもだけどね〜」

その声は現実の方から、ハートではなく、通信越しのダイヤの声でもない


しかしまぁ思考は筒抜かれている


「私はそれの開発者、クローバーだよ」


フルフェイスの視界がクリアになるとそこには背の低い白衣の女性が立っていた

アホ毛が可愛い緑…黄緑…いや、落ち着いた明るい緑って何色だよ?な髪色




「や〜、普通の人ならスキャンなんてしないよ、恐ろしい」

「…まじ?」

近未来なこの世界だと常識だと思って普通に使ってしまった


「うん、常識をインストールした今ならわかると思うけどそのフルフェイスヘルメットはかなりのお金をかけて作った僕の自信作でね

そんな法外なものを作れるのはこんな組織だけなんだ」


「…」



なるほど、博士枠とでも言ったところか

このロリ幼女博士は発明家らしい


「僕みたいな発明家ならゴロゴロいるんだけどね、あとはどれだけ理性を飛ばせるか、あと金」


剣と魔法、ならぬ銃と魔法

化学もしっかり発達している地球よりも高次元なイメージ、それがこの世界だ


「見た感じ治安は雲泥の差があるけどね」


この世界にはゴブリンがいたように、ダンジョン、闘技場など、武力で解決する事態も割とある

警察みたいな機関もあるらしいが頼るほど市民も弱くない


「ある意味では君は安全だよ」

「まぁ…否定はしないですよ…」


もしもゴブリンに見つからず、歩いてレーザーライトがビカビカした町にたどり着いたとしても

ちょっとした流れ弾で死ぬ可能性があった


そういう意味ではこの状況は安全、安全な場所で安全な状況だ、精神以外

でも認めたくない、当然だろう

読んでくださりありがとうございます

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