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四十二章 レアナ

オークション会場に戻ると人々が挙手して入札を繰り返していた。

「55ラディール!!!」

「1ファディール!!!」

「1ファディール10ラディール!!!」

「なんだありゃ??」ウィルがステージ上の奇妙な文様が刻まれた青白く輝く螺旋状の立体構造物を眺めて疑問を口にする。

「さあ・・呪術を増幅する何かかしら??メビウスの輪、円環、螺旋・・いずれも古代より高度な呪術に必要とされた呪具として知られているわ。現在の巻物はそれらを簡素化したものよ。まぁ少なくとも私達には関係の無い代物ね。」

「1ファディール45ラディール!!!」

リザーディアンの女性が高値を示した。

「素晴らしい1ファディール45ラディール出ました!!!他に挙手する者は!?居ませんか!?」

司会者は入札者席を嘗め回すように一望するとッゥターーンッゥ!!オークションハンマーを叩いて

「落札ですっぅ!!!尚、繰り返しますが絶大な破壊力を秘めた禁呪の触媒ですので悪用はご控え下さい。当クリスヴァリアーズは一切の責任を負いませんので。」澄まし顔で語り一礼する。急いでスタッフが落札物を運び去ると舞台が暗転した。

「では・・いよいよ第9番・・本オークション最大の目玉、レッドダイヤモンドが埋め込まれた純金製の宝飾品でございますっぅ!!!!ここまで巨大なレッドダイヤモンドは希少でありしかも匠の技でカットされています・・間違いなくこの世に2つとない逸品!!!!」

ステージに我が手中に収めんと心の底から渇望する王家の財宝が運ばれて来て・・司会者の熱弁が会場に響き渡る。

ライトに照らされ燦然と輝くそれはこの場に居る人々を魅了するのに十分な魅惑的な外見をしていた。

「来たな・・」ウィルがゴクリと喉を鳴らし、「ええ、いよいよね・・可能な限り競るわ。」私も緊張感が走る。

「この品だけは制限時間無しとなっております!!!皆様よろしいでしょうか!?開始価格2ファディールから・・さあ入札スタートぉぉおおっぅ!!!!」

「2ファディール30ラディール!!!」

「2ファディール45ラディール!!!」

「3ファディール!!!」

「・・俺達が手を挙げないウチに早くも3ファディール行ったぞ??」

「関係無いわ。10ファディールまで吊り上げて何人残るか見物ね。」

「3ファディール25ラディール!!!」

「3ファディール40ラディール!!!」

「4ファディール!!!」

それから数分間・・買い手が小刻みに競り合うのを傍観した後、「10ファディール!!!」満を期して私は挙手して高値を明示した。

一瞬場が静まり返るが「10ファディール25ラディール!!!」すぐに他の者が抜き去る。

「10ファディール30ラディ-ル!!!」

「10ファディール45ラディール!!!」

応酬を繰り広げながら私は残りの人数を確認した。未だに挙手する者は4人か・・問題は何処まで時間稼ぎが出来るか。

「11ファディール!!!」

「11ファディール10ラディール!!!」

「16ファディール!!!」とうとう席に座る全員が沈黙した。

「16ファディール出ました!!!誰か挙手ありませんか!?」

「16ファディール!!!誰か他に挙手する者は!?」

「・・どうすんだよ??」ウィルがじれったい口振りで訊いて来る。

「これ以上は流石に無理だわ・・」

両手でお手上げのポーズを取って首を振ってみせる。

ッゥターーンッゥ!!!「落札ですっぅ!!!過去かつてないミューンズドヴルメ支部の最高落札価格達成となりましたっぅ!!紳士淑女の皆様、お疲れ様でした。今後もクリスヴァリアーズをご贔屓にっぅ!!!」司会者は満面の笑みで恭しく礼をすると舞台から去り姿を消した。

「おいおい、普通に落札されちまったぞ・・・」

「ハハア・・さては・・」

オークション参加者が次々に席を立ち談笑しながら出口へ向かう中、私とウィルは座ったまま会場の端でスタッフと契約書のサインをしている中年の男性を眺める。

「何か思い当たる節でもあんのか??」

「あるわ。黙って付いて来なさい。」

「ご婦人、レッドダイヤモンドを狙っていたようですが残念でしたな。」

先程のパリティリッツ総督が声を掛けて来た。

「あら、ありがとう。良いですの・・田舎貴族には手が出せない品だって分かってましたもの。」

「私は今回はめぼしい物はありませんでしたなぁ・・とはいえオークションに参加するのは見聞を広めるのに役に立つ。」

「今回は??では過去にいくらか落札された経験がございますの??」

「オウガのミイラにドラゴンの武具等・・色々なコレクションを揃えては居ます。ナルルカティアに御用があれば歓迎しますよ。ではご機嫌よう。」

「えぇ、ご機嫌よう・・失礼しますわ。」

大勢のオークション参加者が帰途に付く流れに身を任せてクリスヴァリアーズから出ると少し離れた街路樹の前で立ち止まった。

「で、どーすんだよ??」「待つわ。ウィル、落札者は覚えてるわね??」

「あぁ・・髭を蓄えた大柄な中年の男だった。」

「そう、身長と体格はアハリルと一致する・・つまりそういう事よ。」

「それで・・奴はどうやって16ファディールもの大金を用意したんだ??」

「そんなの私が知るワケ無いじゃない。偽造通貨でも作ったのかも。」

しばらくそのまま待つと建物から目的の人物が使用人を引き連れ姿を現した。

「さ、行くわよ・・」「おう・・」

私は彼等の進路を塞ぐように駆け寄ると開口一番、

「フフン・・アハリル、貴族に化けるだなんてやるじゃない。さあ、王家の財宝を寄越しなさい。」

カムカムと人差し指を前後に振りながら約束の品を求める。

「何だお前達は・・??おい、バドゥラッチ!!!」

使用人が中年の紳士の彼を護るように前へ出て鋭い眼光で威嚇して来た。

「しらばっくれるのは止めて頂戴。もう仕事は終わりよ。その宝飾品は第13騎士団が預かるわ。」

「ハァ??何を言っとるんだ・・新手の強盗か、これだから田舎は・・」

「もう、そういうのは良いから・・さっさと寄越すのよ!!!」

私が使用人を押し退けて手を伸ばし赤い宝石を奪おうとした瞬間、

「衛兵!!衛兵!!!強盗だっぅ!!!」彼は大声で叫んだ。

すぐに数名の衛兵がやって来て、何事かと我々を見守るように状況を把握しようと尋ねる。

「何事ですか!?強盗ですって??」

「このならず者達がワシの貴重品に手を付けようとしたのだ・・酷い盗人だ、現行犯で逮捕してくれ。」

この時になって私は青ざめて気が付いた。コイツ・・アハリルじゃないっぅ!!!

「失礼ですが御身分は・・??」

衛兵が一応は服装や身なりで判断してか慎重に、しかし疑惑の目を向けて来た。

「待ってくれっ、決して怪しい者では無い!!!俺・・いや我輩はここミューンズドヴルメ、トリアルガ地方の貴族だ。突然妻が錯乱してしまって・・申し訳ない、謝罪する。妻はオークション中に倒れて現実を見失っているんだ。」必死にウィルが弁解をしてくれる。この男がいざという時に頼りになるとは。

「え・・えぇ、そうなの。私、何か勘違いしていたようで・・御免なさい、重ねて謝罪致します。」

私は必死に頭を下げてその場を取り繕った。逮捕されるなんて冗談じゃあない。

「勘違い・・ですか。謝罪と反省の色は見せてますが如何致します??」

衛兵も私達が自称貴族と聞いて逮捕に二の足を踏んでるようだ。

「フン、田舎貴族が・・今回は許す。が、二度とそのツラを見せるな。次は無いと思え。」中年の紳士は尊大な態度で捨て台詞を吐くと、使用人を引き連れて通りを去って行った。

「誤解が解けたようで何よりです、ですがくれぐれも問題事は起こさないで下さいよ貴族様。」

衛兵達は忠告と共に解散して私達は取り残された。

「ふぅ・・肝が縮むかと思ったぞ。冷や汗モンだぜ。王家の財宝はありゃ帝国本土行きだな、どうすんだよ。」ウィルが投げやりな物言いで問いかけてくる。

「どうもこうも無いわっぅ太守の館へ戻るわよ。アハリルのクソ野郎っぅ!!!」

私は怒りをにじませながら足早で帰途に就いた。

「あっぅおい待てって・・上品な婦人はそんな大股歩きしねえってば!!!」

慌てて追いかけて来るウィルに構わず先を急ぐ。

どうなってんのよ・・話が違う・・とんだ無駄足も良いトコだわ。ドレスコードを仕立てて貰ったのが馬鹿みたいじゃないっぅ!!!!

アハリルに裏切れらた思いと手が届く寸前で失われた王家の財宝への想いでギリギリと歯を食いしばりながら路地を歩む。

太守の館に戻ると大広間でシンとナッセルが迎えてくれた。

「エリューヴィン、えらく時間が掛かったな。その表情からすると結果は思わしくない・・か??」

相変わらず察しの良い男だ。シンは私の機微を汲み取るのが上手い。

「詳しくは言えないけど・・そう、任務は多分失敗。」

「なんじゃ、ここぞという時にチャンスを逃すとは騎士の名折れじゃのう。恥とも言う。」

ナッセルの爺さんがここぞとばかりに責め立てるが反論する気にもなれない。

「それよりもよぉ、途中で我らが騎士様がぶっ倒れてなかなか目を覚まさないから心配の余りオークションなんかどうでも良くなったぜ。」

「何だと!?大丈夫なのかエリューヴィン。」

すぐにシンが血相を変えて訊いて来る。

「ちょっと体調不良になっただけよ・・ところでおチビちゃんは??」

「いつの間にか居なくなった。外出したんだろう。」

素っ気なく答えるシンはズクラッドに何の関心も抱いてない様子だ。

「ヤクを買いに行ったのね・・まぁ良いわ今はそれどころじゃないから。」

「それどころじゃないって・・何かまだ策があんのかよ??」

ウィルのいつにも増して間の抜けた質問に

「アハリルの奴めに会いに行くのじゃな??」

ナッセルの爺さんが代弁する。

「そう。一体どういうつもりなのか問いただすわ。」

「おぉエリュー!!!愛しき我が娘よ、無事任務は成功したか??」

「ランツィ!!!」

大広間に姿を現したランツィに私は駆け寄ると

「お願いがあるの・・飛空艇をもう一度使わせて!!!」

両手を合わせて頼み込んだ。

「そりゃ別に構わんが・・じきに帝国本土へ向けて出航するぞ。急げば間に合うかも知れん。」

「本当!?こうしちゃ居られないわっぅすぐ着替えの準備をお願い!!!!」

私は居ても立っても居られなくなったがランツィの手前、ドレスを引き千切るワケにも行かない。

「うむ・・おい!!!我が娘のドレスを着替えさせてやってくれっぅ!!!大至急だ。」

すぐにメイドが2名慌ててやって来てドレスルームへと案内される。

急いでチャロアイトパープルのドレスを脱がせて貰うと普段着に着替え、ラグナブレードを両腰のホルダーにセットすると部屋を飛び出した。

「俺も行こうか??奴はどうにも危険な感じがする。」

客間を通り過ぎざまにシンが懸念と共に助力を申し出る。

「いいえ。必要以上に刺激したくないわ。それに奥の手はあるからっぅ!!!全員ここで待機!!!じゃあね!!!」

私は断りの文句と指示を飛ばして玄関へと急行して行き・・

「そそっかしいねえ・・我らが騎士様は。」未だ白いタキシード姿のウィルの声が見送った。


太守の館を出ると全速力で通りを駆け抜けてアラファント地区を目指した。広場で新聞の売り子が何やら叫んでいて人だかりが出来ているが知った事では無い。

荒い呼吸を吐きながら全力疾走をする私をすれ違う人々が奇異の目で何事かと視線を浴びせて来る。

途中で衛兵が「そこのっぅ止まれ!」と怪しんで命令するも「はい、コレ!!緊急事態!!!」腕の紋章を見せ付けると有無を言わせずその場を後にした。

何物であろうと今の私は止められないっぅ止められて堪るかっぅ!!!!

すぐに遠目に飛空艇が見えて来る・・間に合った!!!

飛空艇の前まで辿り着くと傍に立哨している見覚えのある老ドワーフに声を掛ける。

「ハァハァ・・ゼアトルべ艇長!!!都市ラミューダまでお願い!!!」

「また貴様か・・悪いがラミューダ行きの要人は居ない。帝国本土へ帰還する貴族達の為の便だ。」老ドワーフはムスッゥと不機嫌な顔をしてこちらを見向きもせずに鼻であしらった。

「そこを何とか・・お願い致します。ランツィ公の許可も得てるわっぅ!!!!」

「駄目と言ったら駄目だ。飛空艇の運航計画の権限はワシにある・・帝国の貴重な財産を何だと思っとる??」

「ですがっぅ!!!一刻を争う緊急事態なんですっぅ!!!!」

「・・リシャーヴョンの緊急事態なんぞ帝国からしたら鼻糞未満じゃ。国賓待遇を何か勘違いしておらんか貴様。」

「その鼻糞がとてつもなくデカイのよ!!!!スイカ並み・・いや、エパティマとアマルテアよりも!!!!」

「ふむ・・便秘のドラゴンがアマルテアを産み出すと故事にあるが一度も見た事が無い。くだらん信憑性の薄い法螺吹きにワシの飛空艇は好きにさせんぞ。」

「揉めてるところ失礼、ナルルカティアへ帰還の便で合ってるかしら??」

突然後ろから声が掛かった。

振り返ると綺麗なアップスタイルで編み込まれた赤髪の女性が顔色を窺うように、こちらを見つめている。

「おう同志よ。都合が良ければ乗ってくれ。ナルルカティアは最終到着地じゃ。」

それまでの私への態度と打って変わってゼアトルべは歓迎の意を表した。

「良かった・・月夜の宴樂祭に間に合ったわ。私達の在るべき所に帰還する日よ・・ところでこちらの方は??」

赤髪の女性は私を興味深げに視線を隠そうともせず露わに凝視しながら口にする。

「ラミューダへ行きたいと願う、ワシの飛空艇の運航計画を狂わそうとする頑固な厄介者だ。ランツィ公と関係があるらしいが知った事か。」

「待って。私・・ラミューダで降ろして貰って構わないわ。」

「なんじゃと!?降ろしたらナルルカティアにはもう戻れんぞ。宴樂祭はどうする!?」

赤髪の女性の思いがけない申し出にゼアトルべは慌てふためいた。

「大丈夫、私が欠席してもカラルド伯が居るわ・・皆が心配するかもだけど、私の尻尾を掴めるのは皇帝だけよ。」

「そうか・・良かったな、ユンフィニスとやら。同志レアナのついでにラミューダに連れて行ってやる。」

思わぬ助け船に私は歓喜の表情で喜びを爆発させる。

「本当に!?ありがとう!!!見知らぬ方!!!」

赤髪の女性に一方的なハグをすると急いで搬出口から飛空艇へと乗り込んで行った。

そのまま客室へ登って行くと、如何にもな貴族や上流階級の出で立ちをした人々が雑談に興じている。

私はコソコソと隠れるように隅の席へと辿り着くと椅子に座った。

「ふぅ・・ガラじゃないのよね。居場所に困るったりゃありゃしない・・」

水筒を取り出すと一口水を飲み、心を落ち着かせて今後について思案する。

アハリルは失敗したのか??それとも何らかの方法で今から王家の財宝を奪取するのか・・彼は可能な限り時間稼ぎをしろと言った。その役目は果たしたが今手元に王家の財宝は無い・・騙されたのだろうか??欺瞞の騎士という二つ名を持つ彼を信用したのは間違いだったのかも知れない。

「失礼、向かいの席よろしいでしょうか??」

先程の赤髪の女性が私の顔を覗き込むように問うてきた。

「どうぞ!さっきは助かったわ・・何てお礼を言ったら良いか・・」

「お気になさらずに・・困ってる人を助けるのも私の責務だわ。特に、ここ帝国においては。」

彼女は一定の断りの文句を言いつつ椅子に座る。

「そう・・それで、貴方は貴族には見えないけど・・」

私は彼女の身なりを判断してある種の疑問を口にした。

「私はレアナ。帝国の要職に就いているわ。帝国各地の実情を査察して報告するのが表向きの仕事と言えば宜しいかしら。」

「私はエリューヴィン。ユンフィニス・リア・エリューヴィンよ、よろしく。」

片手を差しだすとレアナも応じてグッと握手を交わす。

「帝国各地の実情を査察って言ってたけど・・ミューンズドヴルメはどう感じたの??」

私の質問にレアナは少し憂鬱そうな表情をして口を開いた。

「・・まだまだ貧しい土地柄としか・・統治を任されているランツィ公は帝国本土からの投資を促しているようですが、リシャーヴ王国からの長年に渡る搾取は尾を引いている。繁栄の道のりまで数十年は掛かるでしょう。」

さり気無くリシャーヴを罵る彼女に少し反発感を抱くが事実なのだろうから致し方ない。

「そう・・いずれ帝国の華々しい栄華に染まっていくのね、この土地も。」

「ええ。そうでなければミューンズドヴルメの民に申し訳が立たないわ。」

申し訳が立たない??さも当然のように心にもない事を・・まるで帝国を代表するかのような物言いに私は心の中で毒付いた。

ギュゥゥンン・・ゴゥウゥン・・振動と共に飛空艇が離陸を開始する。

「貴方・・混じってるわね。いつからなのかしら・・??」

「混じってる??いつから?何の事??」

突然の意味不明な指摘に私はオウム返しで答えた。

「自覚が無い・・良いわ、見逃してあげる。貴方は決して悪い人では無い。」

「待って!!!もしかして私の何かを知ってるの!?教えなさい!!!」

椅子から立ち上がると声を荒げて彼女に詰め寄る。

「知っているとしたらそうであるし・・知らないと言ったらそうでもあるわ。」

レアナは冷静に受け応えると「でも・・今ここで私が教えるのは気が咎めるしナンセンスかも知れない。貴方の今後の人生を考えるのであれば。」意味深な含みと共にその気は無いと遠回しに伝えた。

「私は本当の自分を知らない・・実の両親さえも。その苦悩から解き放ってくれるなら何でもするわ。お願い、教えて。」

諦めずに言い寄る私に彼女は視線を逸らし窓から外を眺めながら、「ところで・・帝国の統治について貴方はどう思ってるかしら??」唐突な質問をしてきた。

「は??さあ・・それが私と何の関係が?悪いけど帝国なんてあまり縁が無いの。あぁ・・仮に戦争になったら困るかも。領土的野心は不穏に感じるわね・・でも、別に内政や統治が気になるかと問われると・・正直よく分からないわ。」曖昧かつ適当な返事をしつつ何故このような質問をするのかその意図を案ずる。

「それでは皇帝に付いて何か不信感や不満点などは??俗に言われるファテシアは帝国の統治者として現在も歓迎されるべきか否かについては??」次の質問で私は彼女の真意を悟った。

「レアナ・・貴方は帝国の隠れた反政府的立場の者と考えて良いのかしら。皇帝に疑念を抱いてるとしか思えない発言ね。」

レアナは黙って頷いて肯定すると口を開く。

「皇帝は・・既に拡大し過ぎた帝国の統治者に相応しくない。少なくとも現時点において。ユンフィニス・リア・エリューヴィン・・何でもする、と仰られましたね・・我々の組織ナルルカティアン・リヴァイヴに招待します。加わって頂ければ真実を話しましょう。」

「結構よ。実は私は帝国の人間では無いの。帝国内部のゴタゴタに付き合うつもりは無いわ。」

即答する私にレアナは若干の沈黙の後、「なるほど・・だから駆除されていないのですね、腑に落ちました。良いでしょう、異国人に無理強いはしません。ただ・・忘れないで下さい、貴方はきっと我々の協力を必要とする日が来ます。その異形な力が貴方の辿るべき運命を物語っている・・かつて迫害を受けた者の末裔を我々は愛し育み共存する・・あらゆる人種の揺り籠としての帝国を真に機能させる為に。」

ジジジ・・

「もうすぐラミューダへ到着します。繰り返します、もうすぐラミューダへ・・」

アナウンスが流れ会話が中断した。

「・・残念だけどお話はここまでね。急ぎで個人的な用事があるから、これ以上は付き合えないわ。興味深い話だったけど・・もう会う事は無いと思う。反政府活動頑張って。」私は彼女に別れの挨拶をして立ち上がると

「一応貴方も降りるんでしょ??」と尋ねる。

「私は降りないわ。貴方を一目見て勧誘がしたかっただけ。そして何らかの手助けが出来れば、と・・」

「ラミューダ行きを手配してくれてありがとう。さよなら、レアナさん。」

ドゥウゥン・・すぐに着陸した飛空艇の搬入口へと歩き去り私はラミューダの地を再び踏んだ。あのアハリルのクソッタレに事情を追求せねば。



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