三十二章 事件解決への糸口
「なあ起きろって、もう朝だぞ。」
「う~ん・・もう少し・・ムニャムニャ・・」
「ヨハン殺害の容疑者が逃げ出した!!!任務失敗だっぅ!!!」
「え!?」ラグナブレードを片手にガバッゥと跳ね起きた私に「ハハハッゥ、良い目覚ましだったろ?その物騒なモンしまえよ。」ウィルが笑い飛ばしながらラグナブレードをチョイチョイ指差す。
「心臓に悪い冗談は止してよね・・」どうやら全員準備は整っているようだ。
「エリューヴィン、洗濯済みの服だ、着替えてくれ。」
シンがいつもの私の服を手渡して来る。
「ありがと・・シン、アンタのちゃんと臭い取れてるわね。」
「ああ、少なくとも洗濯だけは一等級の宿屋らしい。助かったな。」
「ほっほっほ・・ワシのダンディーな香水がいつもの匂いを取り戻したぞい。」
「爺さん身嗜みに拘るのねぇ・・」ダンディーを通り越して干乾びて皺くちゃな総白髪の糞ジジイが何を言うか・・と本音を心の中で叫びつつ「みんな二日酔いとか大丈夫??」着替えながら尋ねてみる。
「おう、頭はいつもより冴えてるぜ?」ウィルの粘土のような脳味噌ならば冴えていて常人レベルだろう。
「問題ない。」シンは上手な酒の嗜み方を知っているから心配無用か。
「オイラ酒は強いからね!伊達にホビットじゃないよ!」ズクラッドも問題なさそうだ。
「ワシャ酔っぱらった時の方が呪術はより軽やか滑らかになるぞい。まぁ酒は抜けておるが。」ナッセルの冗談めいた口ぶりに「酔っぱらって呪術だなんて年寄りの冷や水も良いトコだわ・・言っておくけど禁止よ。」私は念を押して警告しておく。
時計に目をやり「朝8時・・か。丁度良い頃合いね・・全員良い?今からA-3号室へ向かい容疑者を捕らえるわ。余計な荷物はこの場に置いて武器と必要最低限の携帯品だけを所持する事。容疑者が抵抗する場合は傷を負わせずに無力化が最優先だから。逃げ出す可能性もあるからその時はおチビちゃん追跡のガイド役よろしく。気合を入れて行くわよ!!!」号令を発した。
「へへ・・もちろん気合なら入ってるぜ!!!」
「任せてくれ。」
「ワシの呪術で動けなくしてやるわい。」
「成功報酬の為なら手段を選ばないよ!」
決意を固めると全員で2階のA-3号室前へと出向いた。
「・・で、どうやる??」
「こんな木製のドアなら壊すのは容易だな。」
「私に任せて頂戴。」
コンコンコン・・ドアを軽くノックしながら「お食事をお持ちしましたわ!」
「気色悪い声を出すなよ・・」
「シィィーーッゥ!!!」
・・・まるで反応は無い。思い切ってドアノブを捻ると鍵が掛かっている。
「誰かが居るのは確かだわ・・」
「ビビッて出て来れねえんじゃねえか??」
「そうだな・・俺なら窓から逃げ出すが。2階だしな。」シンの発言に「!!!」私は慌てて数歩下がると「みんな退いて!!!やるわよっぅ!!!」
ドカァァアアーーーンッゥ!!!ドアを盛大に蹴り破ると部屋の中へ雪崩れ込む。
室内には誰もおらず・・窓が全開に開いてカーテンが揺れていた。
「しまった!!」慌てて窓から外を見回すと左手側に灰色のフードを被った人物が走り去る後ろ姿が見える。
「左手側!!灰色のフード!!!急いで追い掛けて!!!私はこの場を何とかするから!!!」
「おう!!!」「任せろっぅ」
「へへっぅ4ラディール!!!」「ひょっほっほ・・」
全員が次々に窓から飛び降りて行くのを尻目に部屋から出ようとすると「なぁっぅなんて事をするんだオデもう許さないぞ!!!」ボンペニが階段をドスドスと歩いて上がって来る・・
「あ~ら来たわね・・口止め料でも貰って良い思いをしてたんだろうけど、それもこれでお仕舞よ。」
「こっぅこのクソアマぁあああーーっぅ!!!!」両手を突き出して突進してくるボンペニを巴投げで豪快にブン投げた。
ドスンっぅ!!!「んぐぁっぅ・・」
「ボンペニ!!!畜生よくもぉっぅ!!!!」階段からアレファレニカが絶叫して鞭をしならせる。
バチンッゥ!!!私は側頭部を打たれて少し首を捻ると「・・それが何か??良いオモチャ持ってるじゃない。」
「ばっぅバケモノか!?」信じられないといった顔をする彼女に「今なら罪に問わないわ。私達の邪魔をしないでくれるかしら。」毅然とした態度で言い放った。
次の瞬間、ガバッゥ!!!「ニヒャッゥ・・捕まえたぁぁ・・」後ろからボンペニが抱き着くように私の身体を押さえてニヒニヒと笑う。
「良くやったボンペニ!!!流石はアチキの弟よ。」アレファレニカは剣を抜刀すると舌なめずりをしながら「なぁに、殺しはしない・・顔に一生モノの傷を残してあげる・・さあプレゼントを受け取りなぁぁあああーーーーっぅ!!!!」
剣先が届く直前に私はボンペニの巨大な腹を後方に蹴り上げガッシャァァーーンッゥ窓ガラスが粉々に飛び散り・・ドォォオオーーンッゥボンペニが路地に落ちたと同時にラグナブレードを一閃させてバキャァンッゥ!!!!アレファレニカの剣を真っ二つに砕いた。
「あ・・アンタ・・何者・・??」震える彼女をビターンッゥと廊下に叩きのめして無力化すると「さて・・行くか。」私は窓から飛び降りた。
「あの野郎どっち行った!?」
碁盤目状の街路でウィルが前後左右を見渡しながら苛立ちの声を上げる。
「ん、一旦別れるぞっぅ!!!ウィル、一つ右の通りを頼む。俺は正面、爺さんとホビットは左2つだっぅここで逃すワケには行かん!!!!」
「分かってらあっぅ!!!」
シンが指示を出してすぐに分散して追跡を再開した。
走ってると灰色のフードを被った人物が物陰で俯いている。ウィルはすかさず駆け寄りながら「おいコラてめぇぇーーーっぅ!!!!」後ろから思いっきり後頭部を殴りかかりフードを剥ぐと・・よろめきながらリザーディアンが「ゲロロッゥ・・ギャァアーーッ」と叫び声を上げて威嚇した。
「あぁ、悪い悪い・・人違いだ・・ハハハ・・じゃ!」謝りながら去ろうとするも「何だ貴様は!?ススス・・ブチ殺すぞシュゥゥーーッゥ!!!」言うや否や抜刀したリザーディアンが追い掛けて来る。
「ちぃっぅ・・すまねえって言ってるだろっぅおめえに構ってられねえんだ!!」そう言いながらも剣を抜き対峙した。
正直剣の腕前には自信が無いが降り掛かる火の粉・・いや火の粉を散らしたからにはどうにかしなければ・・「すまん迷惑料だ、3ディールでどうだ??」
すぐに交渉を開始する。無用な殺し合いなんて冗談じゃあない。
「ススス・・良いだろう無礼も非礼もディール次第だ。」リザーディアンは片手を出して催促をして来た。「ほらよ3ディール、悪かったな!!」銅貨を3枚渡すと急いでその場を後にする。
「ちっぅ・・無駄に時間を取られちまったな・・」
走れど走れどそれらしき者は居ない。明らかにまずい兆候だ。
「くそっぅ・・完全に見失ってしまったぜ・・なあ!?アンタ知らないか??灰色のフードを被った怪しげな・・」目の前のヨハンに喋り掛けたウィルは硬直すると「みっぅ見つけたぁぁあああーーーーっぅ!!!!」あらん限りの大声で叫んだ。
脱兎の如く逃げ出すヨハンの紛い者を全力疾走で追いかける。程なくして声を聴いて駆け付けたシンとズクラッドも合流した。
「兄ちゃん!!!1ブロック先で右折して先回り!!!」「あいよぉっぅ!!!」ズクラッドは走りながら器用にハーモニカを吹くと左側の全ての路地の地面が隆起して通行を遮断した。
「この先は行き止まりさっぅアイツは右折するしかないんだっぅ!!!」
「・・土地勘が効いてるな、全力で追跡するぞっぅ!!!」右折したヨハンを二手に分かれて追い掛ける最中、シュゴォォオオオーーーーッゥ「ひょぉぉぁーーっぅハッハハァァアーー!!!!」物凄い勢いで魔法の絨毯が背後から駆け抜けて行き直角に曲がるとナッセルの奇声と共に過ぎ去る。何やら爺さんも本気のようだ。
ズドンッゥ!!!大きな音を立てて衝突したかと思うと、ナッセルが宙高く円弧を描いて飛んでいき・・
「うっぉおおお捕まえたぁァアアーーーーッゥ!!!!」ウィルが倒れたヨハンの紛い者の足にしがみつき雄叫びを上げる。角を曲がったシンも上から覆い被さった。
後を追いかけていた私が現場に到着するとヨハン殺害の容疑者は完全に制圧されていた。
「やったね!」傍でズクラッドが両指をパチパチと打ち鳴らし小躍りしている。
「随分と手こずらせてくれたわね・・ヨハン・ミシェル殺害の罪で逮捕する。何か弁明したいことは??」見れば見る程にヨハン瓜二つでそっくりだ。
「ヨハンは俺だ!!!俺が殺したのは偽物だ・・俺が本物なんだっぅ・・」
「はいはい後でいくらでも言い訳することね・・どっちが本物か知らないけど殺人を犯したのは事実だから。」
「あ・・あんた等は、ヴェイルド教授の寄越した追っ手か??」そう言う彼は酷く怯えているように見える。
「何をワケの分かんない事言ってんの・・まぁ、アンタには訊きたいことが山ほどあるの。ヴェイルド教授の安否やどうやってヨハンに成りすましたのか・・色々とね。」
途端に彼は壊れたような表情で笑い出し「安否!?安否だって!?ふひ・・ふへへへ・・り・・リシャーヴはもう終わりだ。俺を殺したって無駄だっぅ強大な悪魔が復活するぞっぅ!!そう、ヴェイルド教授が生贄を待っている・・逮捕する人間を間違えたなっぅ俺は何も知らない・・知るもんかっぅ」
私は黙って彼の顔をつねると「・・本物の皮膚ね。爺さん、解呪の呪文をお願い。化けの皮を剥がしてやろうじゃない。」
「ほい来た、任せんしゃい。」ナッセルはヨハンの頭に手をやると接触呪文で解呪を発動させたその瞬間ジュワァァアァアア・・パサッゥ・・チャリンチャリン・・身体全体が空気に溶け滲むように消滅して彼の服と荷物だけが地面に落ちた。
「き、消えた・・」「ほわ!?何じゃと!?」
「・・こりゃ、何の冗談だ??」「馬鹿な・・有り得ん。」
全員が今起きた現実を理解出来ぬまま想定外の事態に唖然とする。焦燥感に駆られて私はすぐに尋ねた。
「爺さん・・何か考えられる事は??」
「むぅ存在自体が呪術によって成り立っていた人間・・としか言いようがない・・解呪は呪術にのみ作用する。本物の人を消す力など無いからの。つまり本来は実在しない人間じゃ。呪術であたかも身体や意志があるかのように感じられていた・・言わばドッペルゲンガーか。」
「ねっぅねえ!!!お・・オイラの報酬は??まさかノーギャラ??」
「おチビちゃん悪いけど後にしてくれる?シン、ウィル、荷物を調べて。赤い宝石の付いた宝飾品・・王家の財宝を持ってたハズよ。」
そうだ、手掛かりさえあれば謎も解明出来る・・まだ焦るには早い。
「駄目だ、ディールしか持ってねえぞコイツ・・」
「ああ。手荷物はラディール銀貨とディール銅貨だけだな。」
「はぁ!?」私はショックで真っ青になった。ここまで来て任務失敗は絶対に許されない・・だが手掛かりは・・
「そうよ!!!急いで宿屋に戻るわよ・・あの部屋に、何か手掛かりになりそうな痕跡が残されてるかも知れない。」
「何も残されてなかったら??」
ウィルの問いに「・・そうね・・良くて私の首が飛ぶわ。」
「良くてそれなら悪い方は考えたくも無いな・・」正にシンの言う通りだ。
宿屋に戻ると衛兵が6名程集まっていた。流石に通報したか・・だが構うものか。
私の顔を見るなり「あぁコイツだっぅ!!!設備を破壊してアチキ等に暴力を振るった無法者っぅ!!!!」「うぅぅ~オデ、尻が痛い・・」アレファレニカが叫びボンペニが呻き声を上げる。店主もムスッゥと渋い顔だ。
「あら元気そうじゃない。安心したわ。」
「失礼ですが・・被害届が出ています。心当たりがあるならご同行を願います。」衛兵がザッゥと私達を囲むが私は腕の紋章を見せ付けるようにして「緊急案件に付き、止む負えずの処置を行ったまでの事・・私はランツィ公の親戚にてこの紋章を与りし国賓。損害賠償なら即決で応じましょう。」凛とした平然な物腰で対応した。
衛兵達は紋章を見るなり「こっぅこれは失礼!まさかランツィ公の縁者とは知らず・・損害賠償だけ見届けさせて我々は解散します。」と下手に出る。
「えぇ!?」「ぶひっぅ!?」
アレファレニカとボンペニは目を白黒させて泡を喰った顔を見せた。
店主が急に笑顔になってもみ手で「へへへ・・そのう・・誠に言いにくいのですが当店は高級宿屋でして・・一応はそれなりの金額になるかと・・」こんなボロ宿屋で高級なんてどの口が・・そう思いながら私は黙ってヨハンが持っていたディールの袋をドシャッゥとカウンターに置いた。
「釣りは要らないわ。」
「15・・17・・24ラディールも!?」店主の驚きの声に「彼が泊まっていた部屋を今から徹底的に捜索するけど文句は無いわよね??」
「文句なんて・・いくらでもご自由にお調べになって下さい、へへへ・・この度は私どもの不手際を謝罪致します。」
「あは!今回はアチキ等が悪かったよ・・太っ腹だねぇ気に入ったよ。」
「オデ友達・・んがぐぐ。」途端に用心棒もニコニコと笑顔になる。どうも、この姉弟はディールに正直のようだ。分かり易い性格をしている。
「さ、行くわよ。」
私達は階段を上がりヨハンらしき人物が泊まっていた部屋の捜索を開始した。
「クローゼットには何も無いぜ・・」
「トイレも問題無しじゃ。」
「オイラの4ラディール・・」ズクラッドは先ほどからそればかり呟いている。
この子の報酬も考えなければならないが後回しだ。
「タンスはがらんどうね・・」
「ん!?机の引き出しに鍵が掛かってるようだ・・」シンの言葉に私は引き出しを手に掴むと「シン、押さえておいて・・ディールは払ったんだから遠慮なく、と。」バカンッゥ・・力づくで破壊して引っ張り出す。
中にはノートが1冊入っていた。「日記か。そんな趣味の人間には見えないが。」シンの私見を気にも留めずノートを手に取ると急いでページを捲る。乱雑な文字で殴り書きのように色々と書かれてあるが・・最後のページに辿り着くとその内容に戦慄した。
【ヴェイルド教授は完全に狂ってしまった・・悪魔を召喚するのに生贄が必要だと通りすがりの者を殺しては違う、コレも違うとワケの分からない事を叫び仕舞にはリシャーヴ王家に生贄を捧げるよう連絡を取れと俺に命じた。もはや正気の沙汰ではない。俺は隙を突いて金目の物を持ち出し逃げ出した。約束のディールさえ確保できれば後の事は付き合ってられない・・それも俺の偽物が全てを奪って去ってからは話が変わった。俺はただ報酬さえ貰えればそれで良かったんだ。精巧に出来た偽物を殺しディールを取り戻すと逃げ出すように出国したがヴェイルド教授の魔手が忍び寄って来る気配がしてならない。昨日は街中で俺の指名手配のポスターが至る所に貼り出されてあるのを見て腰を抜かした・・帝国にまでリシャーヴの、いやヴェイルド教授の呪いの手が追いかけて来るなんて思いもしなかった。全ての元凶はあの赤い宝石だ。気味が悪いので処分したが・・俺は・・俺はもう破滅だ。いや・・明日の夜にでも最後の望みをかけて山越えをしてみよう。自分を信じるんだヨハン・・あの占い師は開運の扉はすぐそこに、吉兆の予感がヒシヒシと感じると言っていた・・ラ・メディス・アルティーナの加護があらん事を・・】
「ヴェイルド教授が狂った??精巧に出来た偽物・・そして赤い宝石は・・処分した・・」にわかには信じ難い内容に私は我を忘れて茫然自失として立ち尽くした。何か考えられる事は??ヴェイルド教授は何を企んで遺跡の発掘に??悪魔を召喚するって??生贄が必要・・彼はヴェイルド教授を恐れていた。王家の財宝である赤い宝石が全ての元凶とは??様々な思考が脳裏を駆け巡っては消えていく・・とても理解が追い付かない。
「なあ、とりあえず・・その日記を持ち出してここを出ようぜ。」ウィルの提案に「賛成だ。ここにはもう手掛かりは残されてない・・行こう、エリューヴィン。」シンも私の背中を押して促す。
私達はモーニングジョーを後にすると路地を歩きながら話し合った。
「で、今後の展望は??我らが騎士様よぉ・・」
「ともかく・・赤い宝石を探さなきゃ・・」
「どうやら・・最後に出会った人物は占い師のようだな・・」シンの一言に私は「そう!!!それよっぅ知ってたのねあの婆さんっぅ!!!!」あらぬ声を上げて捲し立てる。
「あの婆さん??知ってるのか。」
「いや、我らが騎士様はなぁ深い深い理由があって昨日占い師にディールを貢いだばかりなんだぜ。驚くな、50ディールもだ。」ウィルの説明に「そりゃまた・・何故??」シンが疑問を呈するが「俺が知るかよ・・脳味噌ブロッコリーじゃねえんだからさ。」意味不明な返しに「そうか・・」彼は沈黙した。
街路の角の占い師のもとへと急行したが、老婦人はもとより机も椅子も全て忽然と消え失せていた。
「確か・・ここで合ってるわよね??」ズクラッドに確認を取ると「うん、そうだよ・・今日はやってないみたい・・珍しいね。晴れの日は必ず営業してたのに。」不思議そうに語る。
「流石に自宅は分からない・・わよね??」
「知らないよ。お姉さんオイラがストーカーに見える??」どうも彼は成功報酬を有耶無耶にされた事が不満そうだ・・無理も無い。私だって快く支払いたいが手掛かりを得るまではお預けだ。
占い師について道行く人々に訊いてみると・・
「ああ、占い婆さんならとうとう死んだよ。98歳だってさ・・」衝撃の話に絶句しつつ「・・・死んだって・・いつ!?」驚きの声で問いかける。
「昨日だよ。昼過ぎに泡を吹いて倒れてるのが見つかった。天涯孤独の身なのに、ディールを相当溜め込んでたみたいで税務署の連中が喜んでたよ。」
あの直後には既に死んでいた・・私は血の気が引くのを感じて青ざめた。
「かぁぁーーっぅどうなってんだよ王家の財宝の呪いだってか??」ウィルの言葉尻に私は反応して「呪い・・確か・・アレは魔光が確認された呪符石だって爺さん言ってたわよね・・」
「うむ、間違いなかったぞい。」
「悪魔・・ルの者の呪い・・ヴェイルド教授が狂ったのも・・全ての元凶は・・」話が繋がったような気がしてくる・・
「エリューヴィン、赤い宝石は処分したとの事だが・・古物商を探ってみるべきではないか??」シンが真っ当な意見を打診してきた。
「そうね・・そうよね、宝飾品の売買なら古物商が常識的に考えて妥当かしら・・おチビちゃん、サンスフィアの古物商まで案内お願い出来るかしら??」
「良いよ!それが成功報酬の4ラディールに関わるなら喜んで!!!違うなら困るけど・・」
「・・違わないから。」
そうして私達はズクラッドの案内のもと古物商へと出向いた。




