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三章 騎士団会議

チャランチャラン・・・扉が開く音を聞いて私は本を閉じた。時計を見ると朝8時過ぎ、結局昨夜は来客が無かった。夜番のシンも暇そうにくつろいで居る。

「よぉ我等が騎士様お迎えに来ましたぜ。」ウィルが部屋の前まで来ると行こうぜ?と指をカムカムさせる。

「ん、丁度良い時間ね・・・じゃあ城までエスコートお願い出来るかしら?」私は立ち上がると片手を前に出した。「お任せあれって。」私の手の甲にキッスをする振りをするとウィルは乱暴に手を引っ張った。

「シン、寝てていいから留守番よろしくね!!!」「了解だ。」外へ出るとウィルがぐいぐいと引っ張るのを振り払う。

「ちょっと、もうイイから。独りで歩けるわ。歩調を合わせてくれない?」

「なんだよ寝不足か??夜に事件でもあったのか。」

「そうじゃないけどアンタが元気過ぎるのよ。」

「ハハッゥ、元気だけが俺の取り柄だからそこは譲れねえよ。」ウィルが笑いながら答える。皮肉もこの男には通用しない。

「ったく・・ところでアンタ今年で何歳??」「何だよ??」「良いから。」

「19だ。17の時に従者となって約2年経ったぜ。俺も熟練の第13騎士団員ってワケだ。我等が騎士様はさぞかし鼻が高いだろうってな。」

「自分でそこまで褒めれるなんて大したモンだわ。でも私の顔を立てるつもりなら剣の腕をもう少し上げてからにしてくれる??」「それはシンに任せた。俺は俺のやり方で貢献してるんだぜ??」キッパリと言い放つウィルに「ハァ・・」どうしてここまで自信満々なのか頭を悩ませた。

詰所から城へ向かう道は城下町とは外れているので人の往来も少なく私達の会話を邪魔をする者は居ない。「ねえ、アンタなんで第13騎士団に入ったの?」ウィルがキョトンとした顔をする「何でって・・そりゃ食い扶持を稼ぐために決まってるだろ。」「稼ぐだけなら他でも出来るわ。2年前のアンタを採用した時の溢れんばかりの熱意の根源を知りたいの。」

ウィルが少し溜息を付いてから顔を向けた。「そっか・・俺はな、城下町で育ったから王都への愛着は人一倍高いんだ。この都を心の底から愛している・・・それを守りたい。それじゃ不満か??」

「いえ不満じゃない・・きっと良い考えなのだと思うわ。」意外なところでまともな事を言う男だ。

「それ言ったらおめえこそ何で騎士になったんだよ?生粋のリシャーヴョンじゃないだろ??」「!」想定外の返しに私は言葉を詰まらせつつもポツポツと答える。

「成り行き・・・かしらね、私は孤児だったからロンシャイアとランツィ、そしてナターシャに育てられた・・でも10歳頃までの記憶が無いの。そして城下町の誰もがそれ以前の私を知らない・・・気が付いたら王都で教育と剣の手ほどきを受けて16歳の時に従者となり18歳の誕生日にその3人から騎士への推薦状を書いてもらって国王陛下から騎士に任命された。推薦状があったとはいえ何で出自が不明なリシャーヴョンでも無い私が騎士になれたのか正直よく分からないわ。」

「・・俺には分からねえけどよ、育ててくれた3人に聞いてみれば子供の頃の記憶が蘇るんじゃねえか??」

「もちろん聞いた事はあるわよ。でも遠くの国から連れてこられたとかリシャーヴ王国外の出自だとかしか答えてくれない。結局私が何処で生まれて幼少期を育ったのか・・そもそも人種からして不明ね。この肌だし。」

「ハッゥ、違いねえ・・よっぽど辛い過去だから記憶障害になってて思い出せないのかもな。」「辛い過去・・ね、まぁ過去は過去だわ。気にしても仕方ない。大事なのは今よ。」

「あの隠居暮らしの我等が騎士団長様はおめえが騎士になったと聞いてさぞや喜んだんじゃないか??」「別に。出世祝いだとかビールを頭からぶっ掛けられて終わり。呆然として声も出なかったわよ。」

「ハハハッゥそりゃ見てみたかったな・・・」いつでも馬鹿みたいに明るいウィルに悩み事を打ち明けても笑って済まされるだけなのだが気分は悪くない。

城の前まで辿り着いた私達は門番に軽く挨拶をすると城内へと入った。目指すのは宮廷会議場。

「あら、もう他の騎士団連中は到着してるみたいね。」会議場の外でたむろしている従者達が暇つぶしの雑談をしている光景に私は「ウィル、あんたも親交を深めておけば。」と背中を押した。

「おいやめろって話すことなんてねえよ・・・」「これはこれは褐色の騎士様・・・と誰だったかな?」チビで眼鏡をかけた小太りの男がこちらに気が付くと話しかけてきた。「ああ、我輩は第6騎士団の従者ピューリエ。忙しい身で互いに顔を会わす事もままならぬ間ながらも第13騎士団の活躍は聞いておりますぞ。」

「それは嬉しいわね、こちらはウィル。我が騎士団の従者よ。」「ほほう、ウィル君と。君は呪文を使えるのかな??」「いや使えねえな・・・」無愛想にウィルが答える。「何と!!!では巻物は・・・」

「だから使えねえって。」「おぉ何たる事!!!!我輩の所属する第6騎士団では有り得ない話ですねぇ・・・王都の治安を護る従者がこれでは・・・」

チラチラと私の方を見ながらニヤツいているその姿に私は咳払いをした。「ん・・ゴホン!!私も呪文は使えないわ。騎士の資格無いのかしら??」「いやぁ・・・褐色の騎士様は・・その・・特別な力をお持ちですが・・この男は・・・」

「何??彼に文句があるなら私に言いなさい。私が採用したのよ、これでも立派な従者だわ。」

「エリューヴィン、よせ別に良いんだ。こいつは事実を言ってるだけだ。」ウィルが慌てて止めに入る。

「エリュー、何やってんの?早く入りなさい。」その時、会議場の中から聞きなれた声がした。「ナターシャ・・副騎士団長!!!!」「ただのナターシャで良いって何回言わせる気??私と貴方の仲じゃない、昔みたいに呼び捨てで呼んでくれないと怒るわよ。」そこには第4騎士団副騎士団長であり、王族の血縁者であり私の育ての親代わりの一人でもあるナターシャが立っていた。

「ナターシャ・・会いたかったわ。」「私もよ。」

互いに大きなハグを交わして信頼と愛情を確認する。ナターシャは接触呪文、発声呪文の使い手でダブルの能力があり実質第4騎士団のトップとも言える実力者だ。40代半ばの歳ながらも未婚の独身で騎士団と結婚したと噂されるほど仕事熱心な私の憧れの存在でもある。ナターシャからは未だに教えて貰う事が多い。

「さあ会議は15分前倒しで始まってるわ、急いで。」「分かった・・・ウィル、他の騎士団の従者と仲良くね!じゃあ。」私はそう言うと会議室へと向かった。

取り残されたピューリエとウィルは互いに顔を見合わせると「あぁ・・その、なんだ・・君は強い女性が上司で色々と大変そうであるな・・・」「ま、まあな・・それも疑いようの無い事実だ・・・」


「・・・で、あるからにっぅ!!!!帝国の手先となったランツィが虎視眈々と我等がリシャーヴ王国を狙いその血肉を猛禽のように貪るのを夢想しとるのは明白な事実なんじゃっぅ!!!断固として防がなければ王国に未来など無いっぅ!!!!国境付近の物見の塔からの報告によれば帝国軍は前月比16%増強されておるっぅ今まさに侵略の機会を伺っている臨戦態勢と言っても過言ではなかろうっぅ!!!!!」

「あらら・・・30分ドラゴンがもう暴れてるわ。エリュー、急ぐ必要なかったかも。」

「はは・・ミャウゼン騎士団長のいつもの咆哮ね。」

会議場に入ると長テーブルが2列並んでいて第1~第16の騎士団長や副騎士団長が列席していた。テーブルの奥の中央上段に議長である副王陛下が鎮座している。

私とナターシャは所定の位置へ座るとミャウゼン第11騎士団長の演説を聞き入った。多くの者がまたか・・・と沈痛な表情を浮かべている。

「なればこそっぅ!!!!国境を護る我が第11騎士団の更なる増強は王国の国益に適っておるっぅ!!!!!連邦諸国は次元の門が制限されている以上即座に対応出来ぬは諸君も知っての通りっぅ!!!!!帝国の侵略が始まってからでは遅いんじゃっぅ!!!!!」

「意義ありっぅ!!!!」第16騎士団赤髭ヴァロアス騎士団長が挙手した。

「発言を認める。」副王陛下が即座に許可する。

「我が第16騎士団の諜報活動によると旧ミューンズドヴルメ領域における帝国軍の戦力増強は認められておらずただの配置転換であると推察するところである。」

「こんタワケっぅ!!!!!4年前のミューンズドヴルメ紛争でランツィが単独で我らが王国領へ侵攻してきた事実を忘れたかっぅ!!!!!これを看破して第11騎士団を増強するのが唯一の正しい道じゃろうて、それともそこら辺の木っ端雑草騎士団に無駄な予算を割り振るのが上策とでも!?否っぅ断じて否であるっぅ!!!!!」

「意義ありっぅ!!!」第7騎士団金色のヘルベルト副騎士団長が挙手した。

「発言を認める。」副王陛下が続ける。

「そもそも第11騎士団においては帝国軍を可能な限り足止めするのがその役割であり、駆逐・殲滅するのは我々他の騎士団の仕事である。それを雑草騎士団とは心外であり過剰なまでに第11騎士団を増強するのは理に適っておらず帝国との決戦において我らが王国の衰亡に関わる重要案件と成り得るので慎重に議論すべし課題と考える。」

「フハッゥ笑わせてくれおる、帝国軍を素通りさせるのが理に適っておるとでも言うのか!?帝国軍主力が侵攻してきた日には今の戦力では足止めすら満足に出来んのはおぬしも分かっておろうっぅ!!!!我が第11騎士団の重要性を今一度諸君に理解してもらわねばならんっぅ!!!!帝国の脅威を何だと思っておる!?」

チリンチリン副王陛下がベルを鳴らした。

「30分経過した。ミャウゼン騎士団長は着席するように。」「ハッゥ、副王陛下。」「第11騎士団の予算拡大については現段階では早急な必要性が無いものとする、以上。」ミャウゼンが苦虫を噛み潰したような顔をして額に手を当てる。

「では第12騎士団、何か報告はあるか??」「はい・・・」第12騎士団長竜眼のアルキュレイアが立ち上がった。王都以外の国内の治安・状勢保持の騎士団だ。

元は王都も第12騎士団の管轄だったが派生して第13騎士団が王都の治安を担うようになった経緯がある。彼女は竜眼を使えるので出世が早く、若干22歳ながらも騎士団長となり数十人の騎士や数百名の従者を統率する立場だ。

「国内の治安は概ね良好です。小事は色々とありますが全て解決済みであり特段ご報告する事案はありません。ただミースリーの沖合いで海賊が確認されており遠洋に漁に出る船には念のため我が騎士団の人員を配置することにしています。」

「意見してもよろしいか?」第6騎士団ヴァイパー副騎士団長が挙手をした。

「発言を認める。」副王陛下が続ける。

「海賊など貴公の竜眼でマストと帆を焼き尽くしてしまえばよかろう・・・国内の統制は一時副騎士団長にでも任せて貴公自身が海賊退治に出るべきではないか??」

アルキュレイアは深く頷くと「仰る事は理解できますが現時点で海賊による被害が確認されていない以上、不用意に王国領土を疎かにすることは出来ません。重要性は低いと思います。」

「ふむ・・海賊か。国籍は判明しているのか??」副王陛下の問いに「いえ・・・海賊らしき船を見たという報告だけなので不明です。しかし船の形状から連邦諸国のものである可能性が高いかと・・」

「よし、続けて警戒を怠らぬように・・・着席して良し。では第13騎士団、何か報告することは??」「はい!」私は立ち上がるとヴェイルド教授と助手のヨハンが3カ月前に旧ゲーニヒス領域へ発掘調査に赴いたこと、ヨハンが単独で6日前に赤い宝石を手に帰国し一昨日王都の酒場で殺害されたこと、ヨハンに扮した容疑者が昨日帝国第一国境から出国したことなどを話した。

「・・・以上から、この事件は完全に国外案件となりますので我が第13騎士団の管轄外であり第16騎士団に引き継ぎをしたいのですが如何でしょうか。」

「副王陛下、よろしいか??」赤髭ヴァロアスが挙手をする。「発言を認める。」

「この件について我が第16騎士団の帝国方面部隊が引き継ぎ処理をする事を了承したい。」「意義ありっぅ!!!!」突然ナターシャが挙手をした。

「発言を認める。」

「第16騎士団はその性質上・・裏から事件を探る事となり、また旧ミューンズドヴルメ領域の支配者ランツィは元第16騎士団長で現第16騎士団のメンバーとは折り合いが悪く任務を妨害される恐れがあります。その点、第13騎士団のエリューヴィンはランツィとの良好な関係にあるのは皆様もご存知の通り。ここは第13騎士団に特別に出国許可を出し表から事件を探るのがベストな選択肢であると存じます。ランツィも協力してくれるでしょう。」

私はナターシャの提案に驚いて反論した。「しかし!!!我々第13騎士団が国外に出れば王都の治安を護る者が居なくなります!!!!」「そこは我が第4騎士団が当面の間カバーして対処するので安心しなさい、副王陛下よろしいか??」

ヴァロアスは黙り込み副王陛下は「むぅ・・・」と考え込んだ。

王族の血族であるナターシャは騎士団でも一目置かれており、彼女の意見には誰も文句が言えない。この場では副王陛下の次に発言力がある人物だ。

「いいだろう、第13騎士団に出国許可を出そう・・帝国にも通告を出す。それで良いかナターシャ。」

「あの・・もう一つご報告があります。」私は続けて言った。「ヴェイルド教授とヨハンは国王陛下の認可を受けた特別入出国許可証を持っていました。副王陛下はこの件についてご存知だったのでは・・??」途端に場がざわめく。

「エリューヴィン、陛下に向かって失礼が過ぎるわ。」ナターシャから叱責を受けるも私は引き下がらずに続ける。「ヴェイルド教授は何が目的で旧ゲーニヒス領域へ発掘調査に行ったのでしょうか??ご存知ならどうか教えて下さい。」

副王陛下は一息間を置き、「確かに・・ヴェイルド教授へ遺跡の発掘調査を依頼したのはこの私だ。だが、その目的については王族のみにしか話せん。汝が感知する必要は無い。以上だ。」その後、第14~第16騎士団が報告を述べて私達は解散した。

帰途に付こうとする私を副王陛下が呼び止めた。「騎士エリューヴィン、午後2時に宮廷交付官庁へ出頭するように。特別入出国許可証と支度金を用意しておく。」「・・・了解しました。」

「じゃあね、エリュー・・任務頑張って。」ナターシャが手をヒラヒラさせながら歩き去る。私は大変な事になったと頭を悩ませつつ会議場を後にした。


「でよぉ、そいつをぶん殴ろうとしたらボッサボサの頭の中からヒヨコが出てきてピーピー鳴いてるモンだから大爆笑よっぅ」「はははっぅ」「それは傑作だな。」外に出るとウィルの周囲に人だかりが出来ていて、得意気に話すウィルは従者達の人気者となっていた。「何が話すことなんて何もない、よ・・・お調子者ね。」

クスッゥと笑うと「ちょっと、ウィル帰るわよ。」群衆に割り込んでウィルの手を引っ張る。

「おぉっと我が騎士様のご登場だ、それではみんなまたなピューリエ・・今度一緒に酒でも飲もうぜ!!!!」「あぁ、我輩は忙しい身なれど君の頼みなら喜んで共にしよう。」眼鏡をクイッゥクイッゥとさせながら満面の笑顔のチビデブが私達を見送った。

2人きりとなり城門をくぐると「・・・で、今回の事件は他の騎士団が尻拭いしてくれんのか??」とウィルが聞いて来る。

「残念、我々第13騎士団が帝国領へ入り容疑者を追跡する事になったわ。」

「ハァ?なんだよそれ・・・今までと違うじゃねえか、国外案件は俺達の仕事じゃないだろ??」「それがね、ナターシャと副王陛下に良いように丸め込まれたわ。何か事情があるみたい。私には教えてくれなかったけど・・・」「へえ・・」まるで興味が無さそうにウィルが背伸びをした。「で、誰と誰を連れて行くんだ?王都を空には出来ねえだろ。」

「全員よ。私達本来の任務は第4騎士団が当面の間カバーしてくれるって、ありがたい話だわ~雑用騎士団の代わりなんて誰でも出来るみたい。」「第4騎士団って王族の警護が任務だっけか・・・よほど暇なんだろうな。」「それは知らないけど祭典の時とかの為に人数を割り振ってるから普段は人が余ってるのかもね。」

「帝国か・・俺は初めてだから何かこう・・・ワクワクしてくるな。」

「私だって初めてよ。でも4年前まではミューンズドヴルメだったからただの片田舎でしょうね。未だ帝国の準州だし。期待してるとガッカリするわよ。」「べっぅ別に期待なんかしてねえよ・・ただ生まれて初めての外国なんだ、嫌が応でも胸が高まるんだよ。」「そう・・・相変わらず能天気ねアンタは。」適当に雑談しつつ詰所へ辿り着いた。

チャランチャラン・・・部屋の中でシンが爆睡している。

「さて・・と、ナッセルを呼び戻さないと・・・シン、巻物借りるわよ。」勝手にシンの鞄を漁ると私は巻物を手に取り広げた。「我は知らせる尊き仲間への帰還の合図とその道筋をっぅ!!!!パラハウリ・ナッセル!!!!」「巻物を使ったのか・・・」私の声にシンが目を覚まして問うてくる。「悪いわね、これ巻物代。」そう言うと財布から6ディール銅貨を手渡した。

「ん・・・」財布に銅貨を放り込むシンにウィルが「ハハッゥ、寝坊助のおめえに飛びっきりのサプライズを教えてやろうか??」と絡む。「どうせ悪い知らせだろう?」シンが腕を組んで答える。

「俺達全員帝国行きだってさ。」「なんだと!?エリューヴィン、一体どうなってる!?」血相を変えてシンが怒鳴り込んだ。

「それがね・・・騎士団会議で決定したのよ私達第13騎士団が帝国へ出国して捜査を続けるって。」「王都はどうする!?」「しばらく第4騎士団が代わりを務めるらしいわ・・ナターシャ曰く。」シンがハッゥと気が付いたように頷く。「・・そうか、ランツィ公に協力を頼むんだな?お前さんのツテで。」

「そういう事。我々からしたら裏切者だけど・・・私との個人的な関係は崩れてないとナターシャは考えたみたい。」「それはそうだ、育ての親だからな・・4年前、ロンシャイア騎士団長からランツィ公を庇ったお前さんの心情は察するが・・よくあの時捕縛されなかったものだ。」

「へえ?そんな事があったのか・・・」ウィルが横やりを入れる。「あぁ、ウィルお前はまだ居なかったからな。我等が騎士団長は鬼神のように強かったぞ。エリューヴィンが両手を広げて止めるまでは。」

「あの2人が殺し合うのは見たくなかったのよ。どちらも私の人生の恩人だわ。」

「・・ひょっとして我らが騎士団長が隠居生活で塞ぎ込んでる原因はそれかよ??」ウィルの推理に「分からない・・ランツィに裏切られたショックもあっただろうし・・もしかしたら私がロンシャイアでなくランツィを選んだと思われたのかも。」推測して答える。

「だったらお前さんは今頃帝国に居るハズだ。違うか?」シンが語気を強めて否定してきた。「その瞬間ではランツィ公を庇ったかも知れんが、いずれにせよ帝国ではなくリシャーヴ王国に残った・・・それで十分だろう。」「そうね・・・結局、ロンシャイアは上に報告せず私はお咎め無し。良かったのか悪かったのか・・・」

チャランチャラン・・私達は扉の方を見た。「何じゃいきなり呼び出しおって・・まだ調査は終わっとらんぞ。」そこには悪態を付くナッセルが居た。「爺さん、調査は打ち切りよ。」「ほわ!?」「今日中に帝国へ発つわ。」「なんじゃと!?」「俺達が帝国に出国してヨハンの紛い者を捕らえるんだとさ。」ウィルが補足説明をする。

「ぬう・・本気か??」「もう決定は覆らないわ。副王陛下の命令だもの。嫌でも行くしかないのよ。」「そうか・・帝国への・・ところで新情報が入ったぞい。」「何か分かったの!?犯人の情報!?」私は喰い付くようにナッセルに詰め寄る。

「いや・・ヨハンが持っていた赤い宝石についてなんじゃが・・・客の脳内映像で詳細な外観的特徴が明らかになり・・同時に魔光が確認された。どうやら呪符石の一種のようじゃ。」「呪力が秘められている・・・ってワケ?」

「うむ、そうじゃ。」「何だよしょーもねーな・・・」ウィルがやれやれと首を振る。「別に珍しくもないだろ呪符石なんて。」「いや・・どんな呪いが掛かってるか知らんが容疑者が使い方を知っていたら厄介だな・・・」シンが見解を述べる。

「何にせよ爺さん良くやったわ。記憶の欠片にコピーしといて今後役に立つかも知れないから・・・みんな、よく聞いて。旧ゲーニヒス領域での遺跡発掘調査は副王陛下の依頼によるモノであって・・つまり盗まれた赤い宝石は王家の財宝、財産という事になるわ。重要参考人ヴェイルド教授の安否確認並びに財宝を取り戻す為にもヨハン殺害の容疑者逮捕は王家のメンツが掛かってる事を肝に銘じておいて。」「王家のメンツ・・ですかい、そりゃ大変だ。」ウィルの上辺だけのポーズ的発言に「そう、私達の命よりも重要な事よ。」迫真を込めたセリフで強調した。全員がシーンと沈黙するがこの任務の責任を理解して貰うにはこれくらい言わなければ。

「午後1時半に全員でここを発つわ。宮廷交付官庁で特別入出国許可証を受け取ったらそのまま馬に乗って帝国第一国境まで駆けるから。」

「迅速は呪文より尊し、か。第4騎士団への引継ぎは??」シンが腕を組んだまま聞いて来た。「城へ寄るついでに第4騎士団の詰所へ行ってナターシャへ報告する予定だけど。」「やれやれ第4騎士団の皆様には俺達の苦労を少しは思い知って貰わねえとな・・・」ウィルがさも普段から苦労しているかのように語る。一体何様のつもりか知らないが一端の口を利くものだ。「そうじゃの、ワシ等が王国へ貢献しておるのを他の騎士団に理解して貰う良い機会じゃの。」

ナッセルの爺さんはたまに世迷言を言うが役に立つので大目にみてやろう。

「良い?1時半までに長旅の準備を整えておいて!!!!巻物、記憶の欠片、剣の研ぎ具合、保存食、水筒、万全の態勢で任務を遂行するつもりでね!!!!!資金が足りないなら各々20ディールまで出すわ。」

「本当かよ!?」「エリュービン、巻物を数本買うから20ディール頼む。」

「ワシも呪符石と記憶の欠片を買いにいくので20ディール必要じゃ。」「あっぅおまえらズルいぞっぅおっぅ俺も・・保存食を用意するから20ディール!!!」ウィルが焦って手を出すが「あら保存食なんて3ディールもあれば十分じゃない、アンタがめて自分の小遣いにするつもりでしょ?」

そう言うと3ディール銅貨を手渡した。「ちっぅ・・後で保存食が足りなくて飢え死にしても知らねえからなっぅ」ウィルは捨て台詞を吐くと詰所を出て行った。

「・・・ったく、アイツ鍛冶屋に行って剣を研いでもらうつもりも無さそうね・・若さと元気が取り柄の無鉄砲なんだから・・・何でああなのかしら?」

「俺から言わせて貰えば・・・」隣のシンが口を挟む。「6年前のお前さんによく似ていると思う。」

「ちょっと何よそれ??どういう意味?こらシン待ちなさい!」シンが微笑しながら詰所を出て行くのを引き留めたが去って行った。私の機嫌が悪くなったのを感知したナッセルが「それじゃワシも買い物にでも行くかのう・・・」と逃げるように詰所を出ていく。

「私がウィルに似ている?どこが!?失礼しちゃうわねっぅ!!!!」

私は怒りを抑えつつ2階の自室へと向かった。

武具保管庫から2対の短刀、ラグナブレードを手に取ると腰の左右にぶら下げる。

「これで・・良し、と。」騎士になった時に国王陛下から授かった特注品だ。

ナターシャが私が使い易いようにと助言をしてくれたらしいが未だ役に立った事は無い。「出来れば使いたくないモノね・・・」続けてリュックを取り出し開けると倉庫からトイレットペーパーを4つ持ち出し放り込む。長期遠征ともなれば道中に大便を催す事もやぶさかではない。シャベルはウィルの奴に持たせよう。保存食と水筒も詰め込んで準備完了だ。

後は・・「そうね、小説が足りないわ。」独りの時間があったら本を読むのが暇潰しになる。机の上に山積みとなった本を次々に放り投げ興味を引くタイトルが無いか漁ってみた。ララクレアの愛の戯曲・・そんな気分ではないしこんなの読んでるトコロを従者に見られたくも無い。チェイニースの朝の食卓・・・2回は読んだがしょうもない結末で心底ガッカリした後で捨てよう。英雄王ヴィ・デジェスディア・ルアオッドの冒険譚・・・これだっぅ!!!!

私はつい先週に購入したばかりの未読のタイトルに心を躍らせた。冒険者ギルドの創設者であり誰よりも皇帝の寵愛を受け、2218年余りの帝国の歴史上唯一無二の英雄王という称号を手にした男の人生の回顧録・・・前から興味はあったが値段が高くてなかなか購入できずに居たところ馴染みの書店でセール品だったので思い切って身銭を切った甲斐があったというもの。これなら従者に見られても恥ずかしくはない。

時間までまだ余裕はある・・・椅子に座るとページをめくった。


猛吹雪の中を我々は歩いていた。既にダッディングサンを出発して3週間は経ったが見えるのは雪に覆われた山肌と無数の巨木であり目的地はまだ先であろうか。

「ルアオッドよ、ぬしとは長い付き合いじゃが今回の冒険はハズレじゃな。こんな北の大地に天使の輪冠があるとは思えんが。」隣の老ドワーフが語りかけて来る。

「ヴァルザック、20年余り大陸を駆け巡った俺の経験上・・冒険とは結果を話すモノでは無く過程を話すモノだ。仮に神具が見つからなくても得られる知識や体験は期待を裏切らない。」

「知識や体験・・か、ワシはアーティファクトさえ手に入ればそれで良いんじゃがのう。」「なによヴァルザック、今までの10数年間で散々手に入れて来たじゃない。貴方の戦斧も鎧も神具でしょう?今の私達なら例え神であっても倒せるわ。」長身の女エルフが口を挟んだ。

「ギルヴェリア、この世界に神なんて居ない・・今まで数多くの天使や悪魔と対話し、戦い、打ち倒して来たが神の存在の片鱗を微かでも感じ取れる事は無かった。この世界を創造した神は既にもう去ったか消滅している。」

「そうね・・900年前の絶滅戦争で神は介入して来なかった。愚かな人間の過ちを正す事すらしなかったんだから、居ないんでしょう。」ギルヴェリアがエルフの代表として絶滅戦争の批判をする。そう・・900年前、エルフ・ドワーフ・人間は大陸の4割を制圧したオウガに危機感を募らせて一致団結して戦争を挑んだ。大陸中央部ファルギルダイテの決戦で総力戦となり3日3晩、数十万の軍勢が激突した。この戦いで惨敗したオウガは北方へと退却していきエルフとドワーフは終戦宣言を出したが人間だけは違った。オウガを絶滅させるまで戦争は終結しないと主張して北方へと侵攻しオウガを文字通り絶滅させてしまったのだ。この行為にエルフとドワーフは強い非難声明を出し、同時に恐怖した。

「人は過ちを繰り返す・・・俺の理想とする世界とはあらゆる種族の人類が平等で平和に暮らしていける権利を持つ世界だ。その理想を共にできる国家があれば協力は惜しまない。」

「ルアオッドよ・・今や人間の国は分裂して互いに戦争を繰り返しておる。ぬしは生まれる時代を間違えたようじゃの。」ヴァルザックがガッハッハと笑い飛ばす。

「風の噂に聞いたんだけど・・・双極半島にナルルカティア帝国という貴方の理想に近しい国があるみたい。」ギルヴェリアがさりげなく語り始めた。「そこの皇帝は不老不死で570年以上その帝国を支配してて神の申し子と呼ばれてる様よ。」

「神の申し子・・か。一度見てみたいモノだな。今回の冒険が終わったら双極半島に向かいたい。異論は??」

「あるものか。ぬしがリーダーじゃ、好きにせい。」

「同じく。ルアオッド、貴方に振り回されるのが我が人生よ。どうせあと50年もしたら貴方は死ぬ。私はあと200年は生きるでしょうから付き合える内に付き合っておくわ。」

その時先頭を歩いていた地元の道案内人が叫びだした。「デヴァイデヴァイ!!!ザーラマンドゥ!!!!!」何かを指さしている。

遠くに奇妙な白い建物が見えた。

「ターラリーバテッサルメ!!!!ラゴラゴ!!!」そう言うと道案内人は走って逃げだした。

「何て言ったんじゃ?」

「この先は危険だ、私は逃げる・・と。」

「流石大陸中を冒険しただけはあるわね、ルアオッド・・通訳も完璧。」

「さて・・・ドラゴンでも居るのかも知れない戦闘準備をしておけ。」

「任せておけドラゴンじゃろうが何じゃろうがワシの戦斧で叩き潰してやるわ。」

「私の白金の弓もいつでも撃てるわ。」

我々は接触呪文で自らの身体に障壁を張ると建物へ向けて歩みだした。

途端に森の中から黒い巨大な影が躍り出る。

「うおぉ!?」ヴァルザックが弾き飛ばされた。

「ギルヴェリア!!!」「任せて!!!ヤーハッゥ!!!」ダブルで百里眼を発動させたギルヴェリアが百発百中の矢を次々に撃ちだす。巨大な影に5、6本の矢が刺さりギャオォォーウウ!!!!唸り声が上がった。そこには巨大な真っ黒い狼のような獣が居た。

「ガレアスの魔獣かっぅ!!!!こいつには呪文が通じないっぅギルヴェリア援護しろ、ヴァルザック、タイミングを合わせろ左右から攻めるぞっぅ!!!!!」「よし来た!!!」「任せてっぅ!!!!」俺とヴァルザックは走り出し、魔獣が咆哮して周囲を稲妻が駆け巡るが障壁を張った我々には通じない。

魔獣の顔面に数本の矢が直撃した瞬間に「うぉぉおおおおっぅ!!!!!」呪符石が埋め込まれたヴァルザックの戦斧が巨大化して地面を割った。魔獣が飛び避けたところを狙い呪力を込めて光輪の絶牙を叩き込む。振り下ろした剣の軌跡を光の線が伝っていきあらゆるモノを真っ二つにした。魔獣の身体が一刀両断され後ろの木々も崩れ落ち遠くの山肌が雪崩を引き起こす。

「やったのう・・」「完璧ね、私達のチームワークに敗北は無いわ。」「ああ・・神具を装備した我々には取るに足らない相手だ。さあ、行こう。」

建物の前までやってきた我々は立ち止まり周囲を観察した。「台座に何やら文字が書かれておるが・・・読めんのう。」

「・・はやけり・・・いずくんば・・庭園・・」「ぬし、読めるのか??」「これ古代エルフ語に近いのよ。あと何やらマークが彫ってあるわね。」「このマークは天使が使う印字に似ている。今まで出会ってきた天使はこのような印字を結ぶ事が多かった。」

「ほほう天使が眠っておるんかのう・・・中へ入ってみようぞ。」

「そうだな・・・竜眼で明かりを照らすぞ。」

真っ白な建物に足を踏み入れるとそこは静寂に満ちていた。外の吹雪の音が完全に遮断されている。

「誰かが居る気配は無いわね・・・」「ああ。長い歳月ガレアスの魔獣が守ってきたんだろう、訪問者は我々が久しぶりかもな。」

通路は長い一本道で進むと奥に広間があった。広間に出た我々の眼前には中央の床に刻まれた奇妙な、そして黄色い印字が広がっているのが確認できる。他には何もない。

「これは・・・」「恐らく・・転送装置だ。」「転送って・・何処へ?」「分からん。」「ふむ、一寸待っておれ。」ヴァルザックが懐からナイフを取り出すと放り投げた。カランカラン・・・

「なんじゃ、何も起きんぞ。」「生命体じゃないと反応しないとか?」

「俺が行こう。」歩みだすとギルヴェリアが制止する。「ルアオッド!!危ないわ。行き先は海の底かも知れないしあるいは火山の噴火口かも・・・」

「ギルヴェリア、冒険者はリスクを厭わない。今までもそうだっただろう??これからもそうだ。」

「貴方がそう言うのなら・・私達は一蓮托生よ。生きる喜びも、惨めな死を迎える時も共にする・・そうよねヴァルザック?」「ぬう・・ワシも覚悟を決めたわい。求めよ、さもなくば平凡な人生に甘んじよ、じゃ。」

我々3人は印字の中央部分に揃って進んだ。

「何もおきんのう・・・」「そうだな・・呪力を込めてみる。」そう言うと片手を床に突き呪力を解放した。すると印字が神々しく輝き始め立体状に浮き上がり始める。

「ヴァルザック、私達もやるわよ。」「うむ。」全員でありったけの呪力を解放して起動を試みると浮き上がった印字が高速回転を始めて私達は白い光に包まれた。

次の瞬間、「・・・ここは?」そこは柱に取り囲まれた狭い部屋だった。柱の間から夕陽が射していてうっすらと明るい。「どうやら成功したようじゃの、外へ出てみるか・・・」目の前の出口から白い階段が伸びている。一歩外へ出てみると我々は声を失った。

「こ・・これは・・・」「なんと!!!」「驚いたな・・・」そこは雲の上の遥か天空で階段の先には空に浮いた大地が点在していた。

オレンジ色の夕陽に照らされた眼下のうろこ雲がゆっくりと動いておりかつてない絶景に息を呑む。「こんなの初めてだわ・・・」「ワシもじゃ。」

「これが・・天使たちの庭園か・・」「ウフフフッゥ、さあ行きましょ!!!」

ギルヴェリアが階段を駆け下り始めた。

「あ、おい待つんじゃ!!!何が待ち構えておるか分からんぞっぅ」「誰も居ないわよ!!!!」こんなにはしゃぐ彼女を見たのは久方ぶりだ。

俺も走って階段を駆け下りた。大地に飛び付いたギルヴェリアがゴロゴロと身体を転がし笑顔で笑っている。ヴァルザックは周囲を警戒しつつ奥へと進む。

「ねえ・・ルアオッド、これでも神の存在を感じ取れない??こんな空中庭園を目の当たりにしても!?」ひとしきり転げまわったギルヴェリアが問うてくる。

「ああ・・・俺の眼には神の存在の証明とはならない・・・が、素晴らしいところだな。」

「素直になれないのね・・・でも・・貴方に付いて来て正解だったわ。今、この瞬間の為だけでも20年近くもの間・・付き合った甲斐はあったわ。フフフッゥ」「おぉ~~い、こっちに来てみろ、巨大な樹木があるぞっぅ!!!!」ヴァルザックが大声で呼んでくる。「さあ、行こうか。」ギルヴェリアの手を取り一緒に走り出した。遠くに白く輝く太い樹木が見えて来る。「あれは・・聖燐樹だな。魔除けの樹だ。」

我々は樹の麓に辿り着くと一息付いた。「そろそろ日が暮れる・・・ここで野営するのが良いと思うがどうじゃ?」ヴァルザックの提案に「悪くない考えだ。なあギルヴェリア・・・??」夕陽と照らされたうろこ雲が眼下を流れていく様子を見つめながら「ねえ・・・ここでずっとこうしていたい・・・夢のようだわ。」聖燐樹にもたれかかったギルヴェリアが恍惚とした表情を浮かべていた。


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