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人の欲しがる奴は○○

「おい、お前。ここで何をしている?」


「変な服を着おって怪しい奴め」


兜を脱がないで質問か。傲慢なやつだな。こういう輩は下手にするにこしたことはない。しかしこいつらは日本語が話せるのか。英語で話そうと思っていたけど、日本語で話すことにしよう。


「酒を売ろうと町を目指しているんです」


「酒だと」


食いついてきた。


「では、失礼します」


俺は去ろうという動作をした。


「待て。お前名前は?」


唯一馬に乗っている男が話しかけてきた。


「ジョンです」


「ジョン。私はハリス・テュールだ」


この自信満々の言い方、名家なのか?


「あのテュール家の方でしたか」


俺は驚いたふりをした。そのリアクションに気分をよくしたテュールは


「田舎でもわが家の名は轟いていたか」


「ええ。武勇誉れ高いテュール家をしらない者はうちの村にはいませんでした」


「そうか。そうか。ジョンよ。お前酒を持っているんだったな」


「はい。これを売って故郷に土産を持って帰るんです」


「なら、このハリス・テュールが味見をしてやろう」


「えっ、それは・・・」


「なんだ?何か文句でもあるのか?」


恫喝してくるとはさすが名家の生まれだな。


「これは故郷のみんなが・・・」


「ええい。おまえらその男の背負っている酒を奪い取れ」


「「「はい」」」


「悪く思うなよ」


部下が俺を拘束し、酒を取り上げた。テュールは馬から降りた。


「どうぞ」


「うむ」


部下から酒を受け取り飲もうとしたが、コルクで栓がしてあったので飲めずイライラしているようだ。


「おい、誰かコルクを抜くのを持っているか?」


「ナイフでよければ」


ナイフをコルクに突き刺し栓を抜いた。そしてビンに口をつけ飲んでいた。


「これは・・・うまい・・・いままで飲んだワインの中で一番うまい。実家でもこんなワインはなかった」


「お、俺も飲みたい」


「俺も」


「お前はここで大人しくしていろ」


テュールの様子を見た部下が残っていたワインに手を付けた。娘を縛っている縄を持っていた奴は縄を木に縛っていた。


「たしかにこれはうまい」


「いままで飲んでいたのが飲めなくなるうまさだ」


交代しながら兵士たちも全員飲んだ。


(よし、全員自白剤入りのワインを飲んだな)


あいつらが飲んだのはマッドが作った自白剤を入れ込んであるワインだ。これを飲んだ者は酩酊状態になりなんでも話すようになる。


「ところでその娘は何をしたんですか?」


「こいつは魔族の王の娘だ」


マ族?この娘の部族名か。


「貴様は魔族を知らんのか?」


「はい」


「皆の者聞いたか。この男、魔族を知らないと言ったぞ」


甲冑の一団は一斉に笑い始めた。うつろな目で笑うっている姿はホラーだ。あの娘も怯えている。


「魔族を知らないとは羨ましい」


「どんな田舎に住んでいたんだ?」


「俺の故郷は田舎だか、魔族を知らないバカいなかったぞ」


「いや、君は随分へんきょ・・・いや平和なところで暮らしていたんだな。老後は君の村で余生を過ごしたいものだ」


それを聞いて、笑い声の音量が上がった。


「愚かな私に教えてくれませんか?マ族とは何かを?」


「よかろう。魔族とはこの世界を支配しようとする悪の生き物なのだ。あの角とあの目こそ悪である証なのだ」


(角と目?)


彼女を見ると確かに角が生えていて目は目尻が目頭よりも上にある猫のような目をしていた。


「悪の生き物ですか?」


「そうだ」


どうやら確執が強いようだな。民族同士の争いは簡単にはおさまらないんだよな。


「で、あんたの目的は?」


この男の目的を聞かないとな。そして内容によっては・・・


「私の目的は・・・」



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