寝て待ってきたのは・・・
「ん?」
俺が目を開けると辺り一面膝上くらいの高さの草が生えている草原だった。
「ここはどこだ?俺は確か飛行機に乗っていて・・・」
不時着して助かったのか?いや、周りに飛行機や他の客の姿もない。これはどういうことなんだ?とりあえず組織に連絡するか。
俺はインカムに向かって
「こちらアンノウン。聞こえるか?こちらアンノウン」
インカムからは何も聞こえなかった。
「故障か?なら携帯で」
非常事態以外かけるなと言われているが今は非常事態だろう。ポケットからスマホと取り出してみると
「電波がない?」
スマホには『圏外』と表示されていた。ためしに操作してみたが、電話もネットも繋がらなかった。
「使えそうなものは・・・」
ポケットにはスマホのほかには財布、パスポート、ハンカチ、ティッシュ、ライターにタバコ。あと飴しかなかった。
「検閲に引っかからないように最低限度の物しか持っていなかったからな。今何時だ?・・・ってなんだこれ?」
右腕をまくってみると普段つけている時計とは異なる物が着いていた。見た所時計型のデバイス見えた。なので触ってみると立体画面が出てきた。
「これは本部でみたことはあるけどこんな小型化に成功していたのか?」
組織のアジトには立体映像を見たことはあったが、かなり大型の機材でやっていたはずだ。
「これはあの爺さんが作ったのか?」
俺が所属している組織には天才発明家がいる。コードネーム『マッド』。その名の通りやばい奴で危険な実験をしたり試作品を渡してくる。相手の許可を取らずに。あの爺さんのせいで死を覚悟したことも何度もあった。これも試作品なのだろう。
「もしかしたら、これなら連絡がつくかもしれない」
さっそく画面に触れて操作したが物の名称しかなかった。
「通話やメール、SNS機能はないのか?」
どれだけ探しても見つからなかった。仕方ないので試しに45口径の拳銃をタッチしてみた。すると目の前に拳銃が現れた。
「えっ?今一瞬で現れた⁉」
こんな技術をうちの組織は開発したのか?もしそうならかなり便利な機能だ。さっきまで馬鹿にしていたことを忘れ、俺はデバイスを賞賛していた。
「どれ?この銃は・・・あれ?俺の銃か?」
この擦り傷にグリップの感覚、このフィット感間違いない俺がよく使っている拳銃だ。
「入国する国に送ったはずだが・・・このデバイスがあればもう送らなくて済みそうだな」
裏の手引きで運送するとかなり高額になるからな。次からは節約ができるな。俺は次に『緊急用GPS』を取り出し起動さてた。
「これで助けが来てくれるはずだ」
それまでどうしてようかと思っていると草原に寝転がっていると足音が聞こえた。
(何かが、こちらに向かって来る?しかも複数)
双眼鏡で見てみると甲冑に武装した男たちに縄で縛られ布で覆われた人物を連行しているようだ。歩き方からして女性のようだ。
(なんだあの連中は?撮影中か?)
しかしどこを見てみてもカメラはどこにもなかった。
「・・・暇つぶしができてうれしいな。まったく・・・」
俺はため息を吐き、そちらに向かった。