裏切った(クレド村回想)
3年後、鎧を着た集団が村にやって来た。
「何の御用ですかな?」
「お前がここの村長か?」
「は、はい・・・」
大柄な男が腕を組みながら、話しかけてきた。
「ここに王国軍が駐屯するありがたいと思えよ」
ここに軍が?・・・!王国軍の旗の隣にある旗に描かれているのはアルバの紋章ではないのかのう?内乱はコラリム優勢と聞いていたが敗走してここに来たということかのう?
「なんだ?」
「いえ、なんでもありません」
「ふん、田舎者が。ああ、そうだお前に頼みがある」
おそらく食料の徴収じゃろう。
「女だ」
「は?」
「若い女を用意しろって言っているんだよ」
この男、村の女性を慰み者にする気か。
「すみません。この村の成人した女性は皆既婚者で「かまわん」
なんじゃと?
「夫がいても関係ない」
なんだと・・・この男には倫理観がないのう?
「本当なら美人を要求したいところだが・・・まぁこんなところに美人がいるとは思っていないからな」
大柄の男が笑うと周りの兵士も笑っていた。
(こいつら・・・)
悔しさに握りこぶしを握っていると
「なんだこいつら?」
声のする方を見るとアカドがいた。
「なんだ?なんでここに亜人がいるんだ?まさか、お前ら亜人と交流があるのか?」
男に睨まれ儂は情けなく縮こまった。
「儂らは・・・」
「ああん?聞こえねぇな?」
兵士に恫喝されて怖くなった儂は
「知らん。あのような者知らん」
そう口にしていた。
「そうなのか?」
兵士が他の村人に聞いてた。それを聞き村人は
「し、知らない」
「俺もだ」
次々とアカドたちとの関係を否定していった。
「そうかい・・・」
その言葉を聞きアカドは眼を閉じた後に、アカドと子分たちは森の方へと戻って行った。
「隊長獣人たちが逃げました」
「俺たちを見て恐れ怖くなったのでしょう」
「どうします?」
「悪しき亜人は潰す。行くぞ」
兵士たちはアカドを追いかけて森へ向かった。それを儂らは黙って見ていた。