幸せだった(クレド村回想)
「きてやったぞ。村長」
「ん?おおうお主たちか」
彼はアカド。この近くにあるコロバという獣人のの集落の戦士長だ。3年前に魔物に襲われそうになった時に助けてもらって以来村の周辺の魔物を駆除してもらっていた。
アカド率いる戦士たちがこの辺りの魔物を狩ってくれているおかげで儂らは安心して暮らしていけた。それに加えて彼らが狩った魔物を素材として服や装飾品を作っていて、彼らに渡し、残りを商人に売っていた。このおかげで農業だけをしていた時と比べて生活が楽になった。
「ほらよ」
アカドは狩った魔物を置いた。
「おおう。今回も大物じゃの」
「俺が狙うのは強い奴だからな」
「さすがはアカドの兄貴」
「アカドの兄貴がいれば怖いものなしだ」
アカドが胸をはって自信満々に言い、部下の子分はそんなアカドをほめちぎっていた。
「人間。お前たちも兄貴を褒めろよ」
「そうだ。お前たちは兄貴のおかげで平穏に暮らせているんだからな」
「ありがとー」
「感謝しているよー」
そう言われて、クレドの村人たちは拍手をして褒めた。それに気をよくしたクレドは
「これからもこの村は俺の縄張りだ。だからお前たちを守ってやる」
「それは助かるのう。ささやかながら食事を振舞うのでぜひ食べて言って欲しいのじゃ」
「そういえば、腹が減ったな」
「俺もだぜ兄貴」
「「「俺たちも」」」
「少し待っておれ」
「早くしろよ爺さん」
「兄貴は我慢が苦手なんだぞ」
「そうだ。兄貴はちょっちゅうつまみ食いして奥さんに怒られているんだからな」
「お、お前、余計なことは言うんじゃねえよ」
「ごめんよ兄貴」
クレドは部下を追い回していた。その光景を見ながらいつまでもこんな生活が続けばいいと思っていた。