食事
「どうぞ」
リーゼロッテの分のスープをよそって彼女に渡した。そして自分の分をよそった。リーゼロッテの方が不思議そうに見ていた。
「どうしました?」
「別々の器に入れるのですか?」
えっ?どういうこと?
「リーゼロッテ様は家族と同じ器だったんですか?」
王族と聞いていたがアットホームな家庭だったのか?
「いえ、メイドのカリアとです」
毒見か。それなら納得だ。
「いただきます」
俺は手を合わせて言った。
「なんですか?今のは?」
リーゼロッテは首を軽くひねっていた。
「私の故郷では食事をする前に手を合わせ食べ物に感謝する気持ち『いただきます』えお言ってから食べるんですよ」
「そうなんですか・・・いただきます」
俺はスープを飲んだ。
(これは野菜と肉から出る出汁と塩味だな。肉と塩は俺が譲渡したものだからこの村普段は野菜だけの味のスープなのか?きついな。あれほど塩を欲するのもわかるな)
そんな分析をしながらスープをいただいているとリーゼロッテがパンをちぎれなくて苦戦していた。
(いい小麦を使われていないんだなこのパン)
俺はパン籠からパンを取り出しちぎろうとした。しかしちぎることが出来なかった。
(硬い。なんだこのパン今まで出会ったパンの中で一番硬いぞ)
しばらくパンをちぎろうとしたが、無理だった。
「これは固くて無理ですね。スープにつけて柔らかく食べるパンみたいですね」
食べ方を教えて欲しかったな。
「そんな食べ方をするんですか?」
彼女は困惑していた。
(パンをスープつける行為ははしたない食べ方で躊躇しているのだろう)
俺はデバイスからパンを出した。
「こちらのパンは柔らかいのでこちらを」
リーゼロッテの方にパンを差し出した。彼女は俺の出したパンを受け取ろうと手を伸ばしたが、動きを止めた。
「どうしました?」
「このパンはあの方たちが好意で用意してくれた物です。それを無下にはできません」
リーゼロッテは言い終わるとパンをスープにつけてた。そしてふけたパンを口に入れた。
「どうですか?」
俺が聞くと
「こ、個性的な味ですね」
「そうですか」
一流の料理人の食事で舌が肥えているであろう彼女は苦笑いをしていた。しかし、残さずに全部食べていた。