俺が王子様?
「夕飯ですよ」
女性が鍋を持ってきた。その後ろに2人の子どもがいて、10才くらい女の子は右手に膨れた袋、左手にはパンを入れた籠を、6才くらい男の子は木製の器とコップを持っていた。
「「ありがとうございます」」
俺たちは礼を言った。
「どうしました?」
リーゼロッテはじっと自分を見てくる男の子に聞いた。
「お姉ちゃんは頭に角が生えているはなんで?それに目のみんなと違うな」
「カロル」
「痛い」
「すみませんウチの息子が無礼なことを・・・」
6才の子は無邪気に聞いていて、それを聞いた女の子が男の子の頭を叩き、女性がリーゼロッテに謝ってきた。
「いえ、いいんですよ。わたくしも初めて人間を見た時に同じようなことを言いましたから」
「ほら、いくよ」
「え~あの角触ってみたい」
「カロル。もぉ~本当に申し訳ございません」
母親は首がとれるじゃないかと思うくらい頭を上下に振り謝罪した。
「いいんですよ。えっとカロル君?」
「何?」
呼ばれたカロルはリーゼロッテに近づいた。そんなカロルの前に角を近づけ
「触ってもいいですよ」
「!いいの?」
「ええ」
「やったーーー」
リーゼロッテの許可を得たカロルはリーゼロッテの角を触り始めた。
「わぁ。ツルツルしてる~」
「フフフ。思っていたのと違いましたか?」
リーゼロッテはカロルのリアクションに嬉しそうにしていた。
「うん。ザワザワしているかと思ったら全然違った」
「毎日お手入れしていますからね」
「え?見えないのにどうやって?」
「そ、それは~」
リーゼロッテは使用人にやってもらっていることを言えば、自分が特権階級だとバレてしまうのでどうすればいいのか頭をフル回転させていた。
「俺が手入れいているんだよ」
このままではぼろを出すと思った俺は助け舟を出した。
「へぇ~。お兄ちゃんとお姉ちゃんはどういう関係?」
「えっ?」
リーゼロッテはどう答えればいいのかあたふたした態度をしていた。
「俺は彼女を護衛だよ」
「護衛?」
(護衛はこの子は知らない言葉だったか。ならもっとわかりやすい言葉で)
「俺は彼女を悪い奴から守っているんだ」
俺がそう言うとカロルは目を光らせて
「すごーい。王子様なんだね」
えっ?なんでそこで王子?普通兵士とかじゃないの?
「すみません。この前聞かせた話で、悪い人に女の子が誘拐されそうになったのを助けのが王子様だったんですよ」
なるほど、それなら納得だ。
「これ以上長くいたらせっかくスープが冷めてしまうので行きますね。行くわよカロル、アンナ」
「はーい」
「うん。じゃあね。角のお姉ちゃん。王子様のお兄ちゃん」
カロルが右手を母親と手をつなぎ、左手で手を振っていた。
「またね」
リーゼロッテはカロルに手を振り返していたので俺も振り返した。