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気になる腹具合

『して、ショブージなる者よ。人間と何を話すつもりであった』


 老エルフが「ははー今すぐにっ!」と薬草を取りに逃げて1人になったショブージ。アイシャは今のうちに話を聞き出したい。


 薬草が手に入ればここをとんずらする。


「我々エルフの民が住む領土はここ50年ほどで縮小するばかり。他国の勢力に押し負けて、です」

『それで』

「その頃から我らでも優位を保てる人間族の領土の一部へと侵攻を続けておりますが、今日も警戒が厳しく安心しては暮らせません」


 震えるショブージはそれでも流暢に語る。


『この様な魔物の住む森に侵攻しなければならぬ有り様だと』

「その通りです。しかしそれもそのコカトリスの亡骸を見れば皆の意見も変わりましょう。とても我らがどうこう出来るものではありませぬから」


 アイシャは今更ながらにストレージに放り込んでいた鳥が何者なのかをおぼろげに理解し始めて、またお腹が心配になる。


『コカトリスか。我にとってはただの鳥よ。それほどに脅威とは思えんが』

「狐神様にかかればその様なものでも、我らが束になっても敵う魔物ではありません。強靭な肉体はもとより、吐いた息だけで石になるともなれば」

(よっしゃ、なんとか自然に聞き出せた!)


 しかしそれだけにお腹が気になるアイシャ。


『それほどの魔物。口にすればどうなる?』

「は? いや、それは……言い伝えではありますが大昔に寿命尽きて倒れていたのを偶然拾って口にしたエルフはひと月かけて石になったとか」


 アイシャが震えて手の包丁がブルブルしている。




『そ、そうか。まあよい。してその様なエルフのお主は何を人間と話すつもりであった』


 薬草が手に入った瞬間にでもここを去れるように話を終わらせておきたいアイシャ。


「そうです。それには我々のこれまでの苦難の生活を──」

『いや、それはいいから話をしてどうしたかったのだ』


 聖堂教育でも長話の予感はすぐに察知するアイシャだ。


「そうですか。いえ、無理矢理に侵攻しようというのは古いエルフたちの意見で、私のような若者の中には事情を話してここに住まわせてもらえるようにしようという者も少なくなく」

『なるほど、であればしばらく侵攻はやめよ。素直に従い一旦退くがいい。』


 ショブージはアイシャが何を言うのか固唾を飲んで待っている。


 アイシャが続きを提案しようとするそこに飛来する矢。


 それも一本二本ではない大量の矢がアイシャたちに襲いかかりその大半が2人に突き立った。


「はっはー! 我々を脅かす者はたとえ神でも! もはや引き退ることなど出来ないのだ!」


 老エルフは仲間を引き連れてあくまでも武力による侵攻を進めるつもりのようだ。


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