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対話をするアイシャたち

「アイシャちゃん、もしかしてあのエルフの人は」

「しぃーっ。今は静かに」


 アイシャもショブージが口にしようとした事は気になる。しかし今はこの状況を切り抜ける事が肝要。


「狐神様。我々はここを立ち去りますでな。どうか、どうかお見逃しを」


 見上げる老エルフからは焚き火の炎にアイシャたちは呑まれている。そしてその視線のさらに先には木に激突して粉々のベッドの残骸とそこに突き刺さる肉。


 巨大な鳥のそれと分かるフォルムに老エルフは息をのむ。


 コカトリスの肉から落ちた血が風に流されて焚き火に落ちると、炎は緑や青の色を纏ってその火勢を増す。


 アイシャが焚き火をしていて発見した反応である。「全然消えないね。これなら朝まで保つんじゃない?」などと言って救助待ちをする予定であった。


「この炎の魔術反応。あ、あれはまさかコカトリス……あの化け物鳥を使って狐神様は──」


 喉がかれそうな老エルフ。


「まさか我らエルフの民を、呪いにて滅ぼそうなどという」


 アイシャも声が出ない。美味しく食べたお肉がなんなのか気になって続きを待っている。


「ワシらは禁忌にでも触れたと申されるか。その儀式でワシらを石にしてしまわれるか」


 アイシャは途端にお腹の中が心配になる。石になったらお昼寝し放題かも知れないけどそれはどうなんだろうとか考える。


『それはお主らの今後の行い次第とだけ言っておこうか』

「で、ではまだ我々を!」

『その前にその若者を起こせ』

「はっ。ショブージっ! 起きろ! おい!」

「うぅ……はっ」


 起こされたショブージは少しの間、状況がのめてなかったようだが、焚き火とアイシャ、コカトリスの肉、牛の頭骨。血と臓物によって飾られた祭壇を見て完全に思い出して平伏する。


『先ほど対話を、と言っておったな』


 アイシャがノリノリだ。


『お主、人間と何を話すつもりであった』

「その前に! 狐神様は人間族の──」

「やめいっ! 聞かれたことに答えればよい。機嫌を損なわれたらどうする」

『よい、続けよ』


 頭を押さえつけられていたショブージは気を取り直し


「はっ。狐神様は人間族の味方であられますか」


 アイシャは少し考えたが


『そのつもりはない。だが我らが盟約を破ろうとするならばエルフの敵にはなろう』

「盟約……っ」


 ノリノリアイシャのでっち上げはエルフのふたりに何かを考えさせたみたいだ。


「アイシャちゃん、盟約ってなに?」

「知らない」


 むしろ自分が知りたいわと思うアイシャはさっきからお腹が気になって仕方ない。


 もしかしたらうんこから石化しているかも知れないと思うとトイレに行くのさえ怖くて内心ビクビクだが、エルフの話も気になる。


「やはり我々を石に……」

『石化に効く薬草でもあれば捧げよ。それで少しは考えてやる』


 アイシャはうんこが気がかりだ。


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