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異世界で女の子に転生した彼の適性はお昼寝士 新しい人生こそはお気楽に生きていくことにするよ  作者: たまぞう


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3冠王

 アイシャ──元気

 ルミ──元気

 ミラ──元気

 ラプシス──半覚醒ハナコきもちいい

 ミドリ──元気(寝ぼけ母親介護)

 ダン──戦意喪失(泡立て器)

 ルッツ──昏睡リスカ

 テオ──眠り(おやすみ三角帽子)

 マルシャン──混乱(頼みの綱女王様昏睡)

 タロウくん──軽傷

 ハナコ──元気




 トロルの鼻にいたずらするだけに終わったアイシャの三角帽子は、気の張り詰めたテオをいとも容易く眠りにつかせた。


「ママったら!」

「ごめんっ、でも鼻に乗っかったせいだと思うから次こそは決めてみせるよ──」


 ハナコの頭ベッドに着地しただけで危うく寝落ちしそうになったアイシャだが、なんとか持ち堪えたところでキメ顔を作って挽回を誓う。


「テオさんっ、起きてください」

「すやすやすやすや……」

「ああっ、なんて気持ちよさそうに……っ! いい大人が寝た子を起こすわけにもいきませんっ、かくなるうえは──」


 女王様テオにふしだらな入れ知恵をするだけの腹心マルシャンにとって、女王様は無類の強者であり無欠の盾であった。


 それが失われるとなればこんな怪獣大戦争手前の戦場に正気でいられるかどうかさえ怪しい。


 いや、すでに半分くらいは正気でなくなっていたのだろう。


「わたくしが女王様になるよりほかありませんわっ! 跪きなさいっ!」


 テオの手から取り上げ、ぺしっと地面に叩きつけられたムチはどんな現象を起こすことなく、その特徴的な伸縮性も音速に至るほどの激しささえ捨てたような軟弱さで跳ね返った先端がマルシャンのおでこにヒットする。


「いたぁいっ! やっぱり無理ぃぃ──すやすや」

「ちょ、ママっ⁉︎」

「今度はきちんと頭に乗っけたはずなのに! やるねあいつ!」


 額を赤くしたマルシャンが弱音を吐いたところにすっぽりとはまったのはアイシャの“おやすみ三角帽子”(赤)で、またしても一瞬のうちに夢の住人を作り出してしまった。


「もう普通にたたかうよっ! いけーっ、タロウくんっ!」

「分かった。ハナコちゃんもこっちからいくよ!」

「ハナモゲラっ!」


 お昼寝士の活躍を待っていては日が暮れてしまう。ルミがそろそろヤバいと判断するくらいにはまたトロルの苛立ちが見えてきたために、アイシャとルミはそれぞれに動いてトロルを挟み撃ちにする。


「さあっ、どっちにくるの!」


 トロルの左右に別れるタロウくんとハナコの動きはどちらかに意識を向ければもう片方に背中を向けることになる。


 手応えが全くなくピンピンしたままのハナコか、あるいはいくらかのダメージを負いはするものの確実に削れるタロウくんか。


 ハナコにチラッと目をやり、それでも覚悟を決めたトロルは振り返りタロウくんに全力のタックルを放つ。


『──っ⁉︎』

「残念っ、それはぼくの作った幻影だよっ!」


 トロルがハナコを意識した瞬間にタロウくんが背後に回り込む動きをしたところへ、ミラは瞬時にタロウくんの幻影を作り出していた。触れるまではそれと気づけないほどに精巧な幻影は見事にトロルを釣ることができた。


 あまりにも大きな幻影を作るために、アイシャを守るためだったシャハルの守神(ベイル亜種)の幻影を解除しての全力は、それでも実体感の少ないほぼ投影だけの紙装甲だったが。


「けどそれがいいんだよ──タロウくんっ、肩タックルっ!」

「ブオォッ」


 カウンター覚悟のトロルは、そこにいるはずのタロウくんを突き抜けてしまい前のめりにバランスを崩している。


 そこへルミの指示で動く灰色怪獣タロウくんが肩から突っ込むタックルを決めてそのまま押し倒してみせた。


「やったねっ! これで1回っ!」

『なにを……ルールは尻もちだろうっ』

「あっ……てへ?」


 大きな声で主張すれば誤魔化せるのではないかというルミの目論見はしっかりと外れて、残念ながらノーカウントとなった。


 重くのしかかるタロウくんを後ろ蹴りで跳ね除けたトロル。そうしてから立ち上がり振り向けばハナコとタロウくんは横並びに並び立っている。


「ママっ!」

「ルミちゃんっ!」

「「友情タックルっ!」」


 起き上がったばかりのトロルに対して正面から無策にぶつけられる全力タックル。


『ぬ、ぬぐぅぅ?』

「ちょっとママっ、真面目にやってよね⁉︎」

「いや、やってるよっ。だけどそもそもハナコちゃんは──」


 魅惑の衝撃吸収ボディ。どんな攻撃だって受け止めてしまうそんな彼女の欠点は、攻撃力皆無なところだ。


 その弱さは、まともに2体のタックルを受けては転んでしまうかもと構えたトロルがその意外なほどの軽さに驚いて目を見張るほどのものである。


 攻撃力がないなら純粋な体重なら乗るのではないかという意見もありそうだが。


「ハナモゲラっ!」

「乙女に重たいとか言うのはナシって言ってる!」

「わけわかんない通訳はやめてよっ」


 衝撃吸収能力を高めたハナコは、衝撃どころか自らの体重さえも分散させてしまい、実に優しくトロルに極上の癒しを届けてしまうだけだった。


「でも今なら、ハナコちゃんバフがある今なら決まる!」

「ママっ」


 諦めない。こと戦闘においてアイシャはどんな時だって諦めることはしなかった。実力を隠したくても、弱体化していても、勝つためになら努力し、チャンスを逃しはしない。


「でえええええいっ」


 ストレージから取り出した“おやすみ三角帽子”(緑)はまたもトロルの頭頂部に乗せられ、かわいいぽんぽんを揺らしたが、やはり効果なく簡単に落ちるとミラの頭にジャストフィットして3冠を達成させた。



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