表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

296/608

受け、渡す

「スプラッシュウォール」


 マイムが持つ技能のひとつを使うと魔道具とアイシャたちを中心にして周囲を湧き上がる水の壁が包み、アイシャたちだけの空間を作り出して天井までをすっぽり覆ってしまう。


「これは……」


 まるでアイシャの“プラネタリウム”のように空間を二分している。


「かなり強力な壁よね。外から侵入出来ない代わりに中からも出れないくらいに」


 ルミは水の壁から外を見ようとして全く見えず、手を近づければ指先を切ってしまうその壁を素直に称賛した。


「マイムちゃんそんな技能を持ってたんだ」

「最近とったの。魔術士ツリーの技能は全部とった。来年は上位職業の魔導士になる」


 きっとアイシャに報告したかったのだろう。その頑張りをこうして目の前で示すことができてマイムは満足げな顔である。


「だめっ、離さないで」

「んぐっ⁉︎」


 アイシャもその壁を見たくて身体を離そうとしたのだがマイムがそれを許さない。この2人きりの空間でまたもマイムは暴走したのか。


「マイムちゃん、いまはそれどころじゃあ──」

「それどころなんだよ、ママ」

「はえっ?」


 意外なところからマイムを支持する言葉が聞こえてアイシャは素っ頓狂な声をあげる。


「いまマイムちゃんはママとの接触でママの魔力を借りているのよ。マイムちゃんは“マナドレイン”も習得したみたいね」

「うん。頑張った」

「マナドレイン?」


 アイシャの視界にはもはやマイムの素肌しかない。


「ママと接触してることでママの魔力と繋がりマイムちゃんがママの魔力を使うことが出来るのよ。とは言ってもかなり相性が良くないとここまで効率的に出来ないはずだけど」

「アイシャちゃんとあたしの相性は何度も確かめてる」


 今度はマイムがアイシャの耳を咥えてその接触を濃厚なものにしていく。


「んんっ──」

「アイシャちゃんは耳が弱い」

「ほうほう」

「ま、マイムちゃんはここでしょうっ」

「んっ……あっ……」


 お返しとばかりにアイシャははだけたマイムのその頭頂部を口に含んで転がす。


「んんっ……アイシャちゃんの魔力ってどれだけあるの」


 マイムはこうしている間も水の壁を作り続けているが、自分で行使したときよりもずっと分厚く、ずっと大きなそのサイズに悶えながらも疑問を投げかけずにはいられない。


「ひははひ(知らない)」


 アイシャの口は今は喋るよりも忙しい状態だ。甘噛みがマイムの敏感なところを刺激する。


「ママの魔力ならこれを維持するだけであれば丸1週間続けても尽きないはずよ。どころか私が回復を促進してあげるからもう1年だっていけるかも」


 ルミはそう言って安全の確保されたここでお茶を淹れ始めた。


「何それすごい。アイシャちゃん本当に魔術士に……んんっ!」

「私はお昼寝士だからっ。そんなバリバリの戦闘職なんてごめんだよ」


 アイシャはマイムのその白い肌に赤い花弁をひとつつけて、やはりぺろりする。


「けど接触ってどこまで必要なの?」

「伝達率の話? それならお互いに密着した上で水にでも濡れてるのが良いんじゃない?」


 雪人族だったルミは雪人族同士で接触することでその低い体温を安定させたり、さらに濃厚に交わることで子を成す種族であった。だからこそそれがマナドレインにも通じていることを知っているし、マイムがしたかったことを察知する事が出来た。


「なら極端な話、その水で濡れて密着してればいいのね」


 さすがに外から見えないとはいえ、これ以上はまずいと冷静になったアイシャは現実的に効率的な手法を模索する。


 だけど、そんなのは溜まりに溜まったこの子が納得するはずもないことにアイシャは……うすうす勘づいていた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 作者さん、最近も引き続き連続更新、本当にありがとうございます〜 マナドレイン、色々な意味にもエロい想像力を凄く刺激してしまいますねwww
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ