純粋に不純
「で、なんでアイシャちゃんは小さくなってたの?」
アイシャを散々揉みしだいて満足したフェルパが今更な質問をする。
「はぁ……はぁ、んっ……そ、それは私も、聞きたいってルミちゃん、そろそろヤバい。出てきて、ね」
「はいはーい」
アイシャの胸元からスポーンと飛び出すルミ。
「びしょ濡れじゃん。アイシャちゃんに何があったの」
「あれってルミちゃんを精霊にしてタロウくんを小さくっていうかトカゲにしたすずらんだよね?」
「うん、そうだよ」
ルミはルミちゃんキャッスルの裏手の滝でびしょ濡れになった身体を洗っている。惜しみなく見せつける裸身にフェルパは次の服のデザインを空想する。
「あれってママの眷属化の魔術が宿ってるのよね」
「眷属化? そしたら小さくなるの? いや、そもそも私の眷属が私はおかしい」
「そ、おかしいでしょ? だからママが“アレを使うと小さくなる”って思い込んでる部分だけが作用したのよね」
「そういうもんなの?」
「というよりは魔術って誰も解明しきれてないんだよ」
んふふ、あははと話すアイシャとルミ。しかしよく考えなければならない。いくら仲が良くってもその事実を隠してやり過ごしている仲間がここにいることを。
「ねえ、アイシャちゃん。眷属化ってなに? ルミちゃんとは洞窟の外で出会って仲良くなったんだよね?」
「あ、は、は……」
内緒の内緒のお話。アイシャもルミもこの優しく可愛い友人が2人を見てペロっと舌なめずりする仕草に返答出来ない。
「アイシャちゃんのここ、いい匂いしてるんだよねえ」
さっき散々遊んだルミが飛び出してきた胸元。その谷間は妖しく濡れていて、そこをフェルパの舌が舐めとるように這う。
「わたしにもそのお話教えて欲しいなあ」
「あ、アイシャちゃん、負けちゃダメよっ! いくらフェルパちゃんでもっ!」
ルミは何を言っているのか。事ここに至って嘘などつきようもないのに。フェルパの舌はその開いたりすぼめたりする唇とともに匂いの元を辿っていく。上げたファスナーもじわじわと下がり、フェルパが口にさくらんぼを咥えたところで早々にアイシャはギブアップした。
「最近みんな私のこと何だと思っているのか」
ブツブツと呟きながら身体を拭いてファスナーを上げるアイシャ。
「んふふ、わたしはずっと前から好きなんだよ」
「ちょっ……そういうのは男の子に言いなさい」
自分のことを棚に上げてフェルパをたしなめるアイシャ。
「ママ、じゃあ──」
「そうだね。ねえ、フェルパちゃん。これから言うことは誰も知らない、知られたら困るお話なんだけど、内緒にしてくれる?」
アイシャの目は真剣だ。それを聞くフェルパの目も……トロンとして見つめる瞳はきっと秘密を守ってくれるだろう。フェルパも口にして宣言する。
「うん。アイシャちゃんとわたしだけの秘密。ベッドの上にもお墓にまでも持っていくと約束するよ」
(ああ、2回戦が始まってしまう。“プラネタリウム”)
「素敵なお話……。ルミちゃんはその人間族の人には出逢えたの?」
「ううん。その人がどこの人かも分からないし。でもいつかきっと出逢えると思うのよね」
「そうだよね、わたしも応援するよっ」
ルミとアイシャの出逢い。そこから地龍のことは伏せてすずらんの話と転生させてしまったことを睦言のようにアイシャはフェルパに語って聞かせた。
「そろそろお昼……だから、行こっか」
地面にへたり込むアイシャもお昼ご飯はサヤが待っているからほったらかしには出来ない。荒い息を整え立ち上がるアイシャ。
「でもアイシャちゃん、またいい匂いさせてるけど、そのままで行くの?」
スンスンとアイシャの首元を嗅ぐフェルパ。一体このピュアだった女の子がここまで積極的になったのは何故だろう。フェルパの指がなぞり摘んだ辺りで正気にもどり、ルミのコテージでシャワーを浴びてから食堂へと向かった。