パジャマパーティ
アイシャの部屋、ベッドの上でふたりはお互いに髪をタオルで拭きあっている。さっきさんざん見て触って感じた髪に肌だ。今さらもう恥ずかしがることもない。
「髪の毛が短いのはほんと楽だよねー」
サヤはアイシャの後ろから髪を拭きながら呟く。
ちなみにいまこの時は2人とも普通のパジャマだ。銀ぎつね着ぐるみパジャマは母親には前に見せてはいるものの、それが2着ともなると向こうの親への言い訳も必要になる。それは面倒くさいということで今のところふたりとも普通の布のパジャマだ。
「アイシャちゃんのお昼寝士は案外いいものかもしれないね」
「あはは、戦えないけどね。パジャマ屋さんでもしたらいいのかな?」
嘘だ。戦えはする。ただ、適性無視の努力ではあるが。
「それはいいね! きっと大儲けだよ、あんなに可愛いんだもん。でもそうするとちょっとだけ寂しいかなぁ」
サヤの言う“寂しい”はアイシャにも何となくわかる。
「それでも銀ぎつねは2人だけのものにするよ」
「うん! そうだね」
アイシャはお昼寝士で枕やベッドまで作成できるのはまだ話していない。その方向で目指していくなら、寝具一式のお店になるのだろうか? 一応そこには気楽な生活がありそうだなと可能性として検討することにはした。
「じゃあ髪も乾いたし明日も聖堂教育行かなきゃだから寝ようか」
「そうだねじゃあ着替えよう」
寝る寝ると言って銀ぎつね着ぐるみパジャマに着替えたふたりがベッドの上で向かい合う。何故か向かい合ってうつむき加減の、しかも正座である。
「アイシャちゃん、これはやっぱり売ったらダメだよ」
「そうだね。これはもはや犯罪」
サヤが暴走したのは既知のことであるが、この状況にアイシャも同じ境地に至ってしまった。それほどにアイシャから見て着ぐるみを着たサヤは可愛くて、気付けば戯れ始めていた。
「アイシャちゃん、そこは! そこはぁぁ」
「ええい、暴れるでない。ふはは良いではないか良いではないかー」
母のリーシアに「静かにしなさい」とドアの向こうから一喝されたふたりは、明かりを消して布団にもぐった。
子どもとはいえもうシングルにふたりは狭くなっている。必然身体のどこかしらは密着しており「この滑らかさは下着つけない方が絶対にいい」と熱弁したサヤに合わせてアイシャとサヤふたりとも素肌に着ぐるみパジャマだけだ。
どの体勢になっても互いに触れ合うふたり。その滑らかな手触りの気持ちよさは、サヤの思うところと少し違う形でお互いに体感することになった。
翌朝、ふたりは同じベッドでおはようの挨拶をした。
「アイシャちゃん、パジャマ交換しよ」
「え? なんで?」
サヤの起き抜けの提案はアイシャにはさすがに意味が分からなかった。サヤの手がアイシャの袖口をつまんでいる。
「スポーツではね、終わってからお互いのユニフォームを交換したりするんだよ」
サヤはニンマリと笑う。
「いや、寝ただけだしスポーツじゃないし?」
それでも小悪魔的に笑う幼馴染に根負けして交換したパジャマだが、昼休憩よりも早めに迎えたお昼寝タイムでまたしてもサヤの提案の意図するところに気づきアイシャは幸せな夢を見た。
ビーズクッションてあるじゃないですか。
あれってツルツル素材の布に包まれていたりしてそれが気持ちいいんですよね。
ツルツル素材に素肌。
アイシャちゃんとサヤちゃんは思いがけず何かを見つけたようです。
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