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不可解犯罪勃発事件簿。  作者: 武者小路霧雨。
3/6

藤崎周平とミステリー!

さて。

そろそろ色々…発覚してきます笑


はじめに。


※この物語はフィクションです。

実際の人物、団体などには

関係ありません。


※この物語には若干の性描写、

グロテスク表現、暴力表現が含まれております。

苦手な方はご注意下さい。


※(おことわり)

この物語は、私自身が、自分のYouTubeアカウントにて一部動画化しております。


※挿絵の挿入の仕方、わからないので

連携したTwitterに上がってます!!笑笑


-----

不可解犯罪勃発事件簿。3

-----

現在時刻:23:53

現在地:源介の自宅にて



「…さて、次の番組です!

『仁比山ちゃんの、知りたーい!!!:あの時、一体何があった?』



『今日の主役、仁比山紅葉ちゃんでーす!!!…

仁比山ちゃん、ご挨拶をお願いしまーす!!!』


『お茶の間の皆さん、こんばんはっ!東京テレpoアナウンサー、仁比山 紅葉ですっ!

この度この企画を無事開催することができて、大変嬉しく思っています!


さあて今日も、

「紅葉ちゃん、知りたーい!」コーナーのお時間がやってまいりました!


今日はですね…今をときめく『完全人間型AI・造人』についての性能や事件について、色々知りたくなっちゃったので、調べてみたいと思います!!


『数年前に勃発しました、ある放送局の失踪事件の解明にいて、色々と探っていきたいかなと思います!


画面右上をご覧ください!


何か少しでもこの事件について知ってるよって方いらっしゃれば、『情報求ム!0120-×××-×××』

こちらへどうぞ!』



「…テレビに映る自分の姿を、こうして茶の間で見るなんて、

なかなか変な心もちっすね」


俺の後ろでーーー



「…むうっ!!!」



『長谷川』が膨れた。




-----


不可解犯罪勃発事件簿。3


-----


源介with長谷川turn

(現在地:場面戻って、源介の家)


長谷川「ちくしょー!なんで俺が男の家になんかいなきゃなんないんだよ!!」


源介「だから、自業自得だろって。なんで仁比山のことなんかずっと盗聴してんだよ。…ま、お前の表情から察するに、害を与えるつもりはないらしいが」


長谷川「…ふん。」


そう。

なぜ長谷川が俺の家にいるのかというとーーー

あのとき(※二巻目参照)仁比山とあって、黒岩の存在の話、仁比山の兄の話、造人、『未学習』の存在や陰謀論の話をしたと思うだろ?


あのあと、こいつ…まっっったく会話中に出てこなかったと思うんだけど、とんでもねえことをしてたんだ。まー、何をやっていたかというとだ。


長谷川「…いいじゃないですかァこのくらい!!!

営利目的でもないし害も与えないし俺はただ単に仁比山先輩のことが好きで好きでたまらないからガーディアン的な役割を日々果たしてるんですゥ!!!神的な視点ですゥ!!!」


源介「非営利だろうが無害だろうが仁比山をGPSで繋ぐのはどうかしてると思うぜー」


長谷川「お前嫌い」


源介「はいはい。嫌われて結構。…

…てかそう言った知識持ってるってことは…さてはお前、財閥かなんかだな?」


説明しよう。

この世は今から100年後。…

令和時代からずっと後の時代の話だ。

その時代の流れに沿って、この国は、機械化が進みーーー

さらに、防犯化も進んだのだ。


カメラやGPSも同様に、令和の時代とは比べ物にならないくらい性能が上がった。

もはや泥棒もおいそれとできないのだ。


ただ…

そんな体を張ったような犯罪をする人間は一昔前だけで、もういなくなったが。


ただし、値段も張るので、高性能なGPSや監視カメラ、主に裕福な人物たちが持っているものである。…


長谷川「たしかに、一般ピーポーには金銭的にも余裕がないとこんな機械たち買えないし設定なんかもできないよねえ?お金持ちである坊ちゃんの僕に関しては色々といいよねえ??君には勝てないよねえ???」


源介「………俺もお前嫌い」


長谷川「嫌いで結構」


残念ながら薄い本の展開ではないが。




長谷川「だってやっぱり、お慕いしている御身分としては所在とか色々気になるじゃないですかぁ!」


源介「色々ってなんだ色々って…」


長谷川「………なんですぐ警察署に僕を放りこまなかったんですか?

………こうまでしたら僕をぶちこむことなんて簡単だったのに」


源介「うーん………まあ、あの後色々と情報整理しておきたかったしな。お前たしかに害はなさそうだけど野放しにはして置けないだろうなって名目で俺が家に連れてきた。」


長谷川「…だって!」


長谷川が急に伸び上がる。


長谷川「仁比山先輩が代表して黒岩のこと訴えるんだとしたら、やっぱり先輩自体にも危険が及ぶじゃないですかあ!仁比山が行方不明になるかも…と思うと、いてもたってもいられなくてえ!」


源介「だとしてもお前のやったことは逮捕になってもおかしくないやつだ」


長谷川「…ふん」


長谷川がそっぽを向いた。

おっといけない。テレビテレビ。ーー今やっている内容は。


✳︎


『あたしが監修してる番組…『仁比山ちゃんのしりたーい!』って番組があるんだけど』

『自分の監修する番組があるとかお前何もんだよ』

『まあこれでも一応ご立派な人気アナウンサーなんで』

『いい仕事だなまじ』

『まあ勿論、

好き勝手監修してるわけじゃないわよ。…


あの事件…『モノクローム』の放送局が丸ごと消えた事件を、少しでもしりたくて。

造人についてと、行方不明事件についての、監修した番組を作ったの。

まあ、先月に流れた録画なんだけど…データがあるから、これ、渡すね。

テレビに差し込むだけで観れるから』


『USBか?

…随分便利な時代になったよな。わかった、後で観るよ。


でもさ、』


『うん?』


『…そういう番組作ったら、黒岩からますます目つけられるんじゃないのか?

だって黒岩がかかわってたものだとしたら、結構やばいだろ』


『大丈夫大丈夫。意外と黒岩ってそう言うところ全く関心ないから。社員や部下の作る番組なんかお構いなしよ。

本当自分以外興味ないのよねえ』


『…はあ』


『それに…

兄の情報を得るためと………少しでも、得ることができるのなら………

なんだってやってやるわ』---


✳︎


はい。回想終了。

この番組は(USBは)もれなく仁比山から預けられたものです。

番組内容としては

つい最近に放送されてあったものらしく。

映る人間、景色から、ちょうど数日前くらいか。


(流石にモノクロームの話は伏せられてる…か)


一応、仁比山なりにも、自分の安全は気にはしているのだろう。最重要項目の名前は流石に伏せられていた。


長谷川「全く、いいですよねえ変人さんは!」


源介「なんだよ変人って」


長谷川「あんたのことだよ。

俺を捕まえて家に連れてくるとかどう言う心境なんですかあ?」


源介「…」


長谷川「俺は断じてストーカーじゃありませんからねー、仁比山先輩が好きで好きで好きすぎて護衛をしたいってだけなんですからねー」


源介「…」


長谷川「…ちょっとお黙ってないで何か言いなよ虚しくなってきたじゃんかよ!!!!!!!」


源介「お前の方がめちゃくちゃ変人だなと思って」


長谷川「…うぎゃーーー!!!!!!!」


ーーーーピピ!!!!


源介「ん?」


携帯が鳴った。…画面表示には。



『逢沢悟の捜索願が出された。

至急、警察本部に向かえ。ーー青井警察』


源介「…!」


やっぱり、あの先輩…!


長谷川「どうしたんですかぁ?」


源介「…お前もこい!」


長谷川「ちょ、ちょっと!

急に首根っこ掴んで何するんですかやめてえええ!!!」



………バタン。



『…さあて番組は変わってー、最近のマリッジブーム!!!

今日はこのアベックに突撃ー♪

付き合ったのはいつですか??

…えっ、1時間前ですか!

………それはお熱い…………』





あ。

テレビ、つけっぱなしにしたな………



…テレビ代…………


-----


当直turn(現在時刻…23:55)


「なあ、そっち捜査本部か?」

「どうしました?」

「逢沢が失踪した」

「…はあ!?」

「見ておらんよな今日、」

「見ておらん」

「ちっ…あいつめ

どこまで迷惑かけたら」

「しーぃ、電話向こう、奥さん来てる」

「………ああ、すまん」

「まあ、まだ失踪とは決まってない。

あいつの性格上、案外どこかでふらふらしてるかもしれん。

…とりあえず、全体に

緊急連絡網として回す。

だからお前の方にも、回してくれ」

「了解しました」


ーーーがちゃん


「…そっちもか」


「だめっすね。

捜査一課の方にも問い合わせしたが、結局なんの情報も得られなかったです」

「まじか…畜生…………

これ朝までに、見つけられなかったら………」

「行方不明事件として、捜査するって」


「…!!!ぁ…」


「奥さん!!…大丈夫ですか?」


「…ごめんなさい、ちょっとよろけて…」


「聞いていらしたんですかか…………とりあえず、座って」

「…すみません」


奥さんーー円さんと言ったか。


彼女を近くの椅子に座らせながら、俺は後輩の目を見る。

察しのいい後輩が目で頷き、ぱっと受付の中に入ると、やかんにはいった白湯を、紙コップに注いで持ってきた。


「…さ、飲んでください。

お湯しか出せませんが」

「ありがとうございます。

…………あの」

「はい」


円さんは、俺を見上げた。

まつ毛の長く、大きな瞳。ーーショックのせいか、涙に濡れて、虚な闇を醸しだしてる。


「…主人はいつも通り、仕事に出掛けて行くから、って言って、そのまま家を後にしたんです。取り立ててへんな感じはなかったんですけどね…………」


「…左様でございますか…」


「教えてください………

今、何があったんですか。

なぜ、主人は帰ってこないのですか」


「………大丈夫です。

まだきっと………近くにいると思います」


-----

(一方その頃、500m先の玄関。)

三島turn


あーあ。

守衛なんてめんどくせ。


マリッジブームの通知。

俺は携帯を見る。…


『本日の婚約予定者数:569人!』


三島「…まじか………」


多分、逢沢先輩が失踪したからだろうか。

大体100人程度、多くても200人程度だった、恐怖によるマリッジブームは、久々の失踪者『逢沢悟』により、グンと増えた。


(このまま行けば…俺、婚約者がいない独り身のやつじゃねえか………)


なんか虚しくなってきた、やめよ。


青井警察署がバタバタしている最中…


高速で駆けつけてくる「とある輩」がいた。…



…いや、

なんだ、あれ???


-----

三島turn

現在地:玄関のフェンスの前


✳︎『門をくぐろうとしただけで宴?真夜中の人さわぎ1』✳︎




???:「えーっ、守衛さん、そこをなんとかァ」


三島:「だーめだって言ってんだろ馬鹿!もどれもどれ!」



???:「しょうがないじゃないですかぁ。だってカードキー、忘れてきちゃったんですもん!」


三島:「家か?」


???:「はい。歩いて15分の」


三島:「いや取りに戻れよ!!!」


???:「ちっちっちっ。わかってないなあー。


もしあたしが、この局に今から中継放送控えてて、めっちゃ急いでるとしたら?

これは、止めた守衛さんのことを訴えることだってできちゃうんですよ?」



三島:「つかお前なんで遅刻したんだ?

理由だけでも聞いてやる」


???:「えーーープライバシーの侵害ッ!!きゃーっセクハラ!!!変態!!!!!」


三島:「うわちょっと待て騒ぐな!!俺はただお前にきいただけじゃないか!!」


???:「……………うわーなに顔真っ赤にしてんですかぁ……………?あたしなんも言ってないんですけどォ……………守衛さん、本当に変態ですねぇ…………?

さ、て、はァ……欲求不満ですかぁ???」


三島:「おい………いい加減にしやがれ………………ぶつぞ…………」



……夜中になんの話してんだ俺!!!!!


どうやらものすごいスピードで走ってきた正体は、事件を聞きつけた女子アナらしい。


てかこいつなんなんだ?新入りか??

…見ない顔だ。


???:「とりあえずぅ。

また失踪者が出たって話じゃないですかぁ。それも久しぶりの。

最近落ち着いてると思ったら嘘でしたねぇ。とある警察官は巡回の甲斐あって犯人は自粛したとか垂れ込んでるらしいですけどぉ…………どうやら失踪したのはその警察官らしいじゃないすかぁ………?何やってんですかァア仕事してんですかぁ???」


三島:「…っせーなお前何もんなんだよ」


???:「絮源(じょげん) おりゃんせ。

しがない新人女子アナですぅ」


なんかすっげえ由緒正しい名前(なんじゃそりゃ)


絮源:「それにぃ、なーんかますますマリッジブームに則って結婚してる人たちが増えてきてるらしいじゃナイスかぁ。見ましたぁ?昨日の番組」


ナイス。


三島:「お前らが統括したっていう『沼リッジ☆』

だろ?…人の結婚に踏み込みやがって馬鹿らしい」


絮源「あーら馬鹿らしくなんかないですよって。


だって行方不明事件が勃発した時って独り身が多い世代…うーん、今最近マリッジブームだから………今から5年前あたりだったらしいじゃないですか。

なんかモノ………なんだっけ?あのテレビ局も全部抹消されたらしい事件もあったしぃ。

うーんなんかその辺よくわかんないですけど自分学生だったんで」


三島「なんかぶつぶつ言ってるけどそーやって他人の人生に首突っ込んで取材してんのはどうかと思うぜ」


絮源「そんな気持ちで番組統括してないですって。わかってないなー。

暗い現代だからこそ!華やかな話を放映する!

それだけでも十分素敵すぎるんです!

あなたはただ妬んでるだけっしょ?」


三島「…るせえな」


絮源「てかあなたはどうなんですかぁ。どうですあたしちょうど独り身なんで。マリッジブームに則って結婚しませんかぁ」


三島「なんだよその流れ。誰が何処の馬の骨ともわからないお前みたいな図々しいやつと結婚するか。」


絮源「てかあなた本当に三島さん?聞いてたキャラと全然違うじゃないですかやだー」


三島「どういう話で通ってたんだよ…てか、なんでお前の局に俺の名前知れ渡ってんだ?

…ま、いいかめんどくせ。


それに、一つ言わせろ。残念だったな。俺は本気で可愛い子にしか甘い顔はしねえんだ。お前みてぇな幼児体型でチビで子供っぽいパッとしねえやつとなんか結婚しねえよ」


絮源「…うわーー何お前何お前なんなのお前最悪だな!!!!!!!!!」


三島「ばかやめろよなんだよお前急に!!!

いてっ、はなせっ、ばか、髪引っ張んな!!!」


絮源「死んでもついてってやるね…

あたしはお前みたいな男子がこの世で一番嫌いなんだ!!!!!!」


………

なんかスイッチ押しちまったか???



三島「……………とりあえずまずお前みたいのは入れないぜ。仮に入ったとしても今現在は行方不明の人物のドタバタのせいでもみくちゃにされるぜ。

それに…もう緊急放送で主流の放局が放送しちまったから、逢沢のネタなんかねえぜ…


…………っておい!!!!」


絮源「すんまっせーん!!!」


三島「のわーーーっ!!!馬鹿!!!!」




俺が喋っている間に、この女………!!!


三島「うわぁ待て!!俺が考えてる間に高々フェンスきり抜けやがって!!えっ、てかよくこの自分の背丈よりも高いフェンス乗り越えたなあいつ忍者か!?こんちくしょーーー!!!」



そうこうしてるあいだにも

彼女はどんどん点になってく。あいつ………一体どういう身体能力なんだ!!????


ともかくカードキー持ってないやつを署の中に入れるわけにはいかねえ…!!!



-----


『真夜中のひと騒ぎ2』

三島・源介・長谷川turn

(現在地:青井警察署

現在時刻:1:15)


源介「おわっ、と」

三島「うお」

源介「なんだよ急に、署内で走るな!てか走るならせめて周り見て………って、

お前、三島か?

…お前守衛だったのか」


三島「あー……………そうそう…………っく、

今…………っはぁっ、ぅ、ちょう、ど終わったとこ、ろ」


源介「…めっちゃ息切れしてるけど大丈夫???」


✳︎


源介「ん」


三島「あー、すまん、ありがとう」


源介「礼なんかするもんじゃねえよだってこの水そこの浄水器で注いできたやつだし」


三島「………わかってはいるけどそう言われちゃなんか色々と虚しくなるな………」


三島はげんなりしている。ん?なんか俺余計なこと言ったか???


三島「はあ………

警察も守衛をやらなきゃならない世の中になっちまったなんてよ。物騒になったもんだ。

あーそうそう聞いてくれよー!!!」


源介「なんだよ忙しないな」


三島「変な女子アナ見なかった???」


源介「…変な女子アナ?」


三島「おそらく、失踪した逢沢先輩の追っかけだと思うけど…この署にはいる時、カードキーってやつが必要になるだろ」


源介「ああ、あれな」



三島「あれ持ってなかったんだよ。背のちっこい、ころっとした女…って俺そうだそいつを追いかけてるんだった!!!

…あ、でもここ玄関の休憩所か。ここ通ってないことは確かだし、まだ中に潜んでやがるよな!?」


三島ががばっと立ち上がる。


三島「ちくしょー…!!!あいつには髪ボッサボサにされるし。今日警帽外せねえわ。せっかくの俺のヘアセットが全部台無しなんだぜまったく。見つけたらタダじゃおかねえからな…!!!待ち伏せしてやる!」


ーーなるほど。

彼の髪型は今日、ちょっと違っているらしい。(誰得情報)

それにしても変な女子アナか。色々と物騒だな。


三島「…で、源介はなんで今署に戻ってきたんだ?」


源介「あ?…ああ」


三島「そしてお前の隣にいる…」


長谷川「ちょっとぉーひどいじゃないですか!!!待たせすぎじゃないですか!!!なんで僕最初からここにいたのに会話の始まりがもはや終盤の方なんですかァ!!!!!僕可哀想じゃん!!!ちょっと!!!」


源介「…変人連れてきた」


✳︎


源介「…ってことがあってな」


三島「なるほど、一連の流れはわかった。

そいつがお前の友達、仁比山紅葉のストーカーってやつだな」


長谷川「人聞き悪ーい!!!」


三島「ていうことで長谷川、お前は一旦取調室だ」


長谷川「ひどぉいっ、ひどいよ何すんだよ!!」


三島「残念ながら俺らも仕事しなくちゃいけないからなあ。

お前のような変態で変愛な感覚な持ち主は聞かないでおいてあげないとなのよ」


in取調室。ーーー


仁比山『うーん、こっちとこっち、どっちがいいのかな?』………


三島「…うわあ、見事に全て録音してあるな」


録音の内容。


仁比山の日常生活ブイログ的な。

つまり、


個人情報丸出し!プライバシーの大侵害!?


『本人が聞いたら確実に、恥ずかしすぎてトラウマ失神♡』


的な内容である。


ちなみに今は、明るい色合いかそうでないかの下着をきることに対して、仁比山が悩んでいるところ(やめなさい)



ブイログでもモザイクなしのブイログ。

つまりは生活動向がモロなので、やはり長谷川が撮ったこれは盗聴という認識であっているだろう。ーーー


…で。


三島「で、どうやって仁比山と繋ぐんだ?

最新式の携帯だって、そう簡単にハッキングなんて出来やしないのに」


長谷川「…人と会話する時、唾液が飛ぶだろ。

その唾液は、わずかながらにも飛距離がある。

その飛距離の範囲に俺が入ってそうすると………

このGPSが反応してくれるんだ」


指紋認証ならぬ体液認証ってわけか。


源介「…よくそんな機材手に入れたな。

お前の家は財閥だって聞いてたが………」


長谷川「大手電化製品『長谷川ハッセー!』の子息だけど何か??」


源介「………お前みてえのがかあ。」


目の前にやばい変人ハッセー。


三島「あ、あれじゃん。

めっちゃ顧客満足度No.1のとこじゃん!

俺電化製品に関しては強いから…ってか俺のじいちゃんが割とそっち関係に強いから情報知ってるぜ。」

「天下の電化製品になの。俺はその殿下になるの」


源介「…なんか色々ツッコミたいけど余計ムカつくからやめとくわ」


三島「製品もだけど、その元となるのが、…なんてったってSteam labo監修だからな!」


長谷川「僕のお兄ちゃん、優秀な研究者なんだー。だからそのつてってのもあるよ」


源介「Steam、研究者…

またSteam laboかよ!?」


三島「!!…おいどうした?急に」


Steam labo。

まさかのリアタイ。


…いやまずいやどんだけ蔓延ってんだよ。

仁比山のあの『例の話』を聞く前までには全くもって気に留めなかったが…

もしかして割と征服してない???


三島「で、お前のその表情から察するに、…

その研究所関係で、なんかあったんだな???」


源介「………そう。

連絡つかなくなったんだよ…」


三島「…仁比山ってやつとか?」


源介「そのSteam laboの、とある話をしたとたんな………一概に無関係でもないような気がして…まじでほんとついてかなきゃよかった………」


三島「…ちょっとまて落ち着け。支離滅裂になってんじゃんか。

何があった?まず静かに話せ」


…説明中…


三島「…なるほどなあ。

その『モノクローム』ってやつが、仁比山のお兄ちゃんが勤めてたっていう、例のあの失踪テレビ局か」


源介「ああ…俺があの話したから…失踪しちまったのかと思って。その黒岩って黒幕が、仁比山に

帰ってから思ったんだ。こいつ(長谷川)がこういうGPS持ってたってことは、黒岩が仁比山にGPSくっつけて、後を追うことだって可能だよなって………」


ーーぽん。


源介「…なんだよ肩に手なんか置いて」


三島「…なあ、もうやめといた方がいいって。

多分、この事件の真相部分にかかわった人間が、再び殺されていくんだよ。

…警察の身分としてはあまり言いたくないんだけど、…っ、

これ、本気でやめといた方がいいぜ」


源介「…」


三島「だって仁比山って人、…かかわったから、失踪したんだろ

逢沢先輩だって、あそこに近づいたから、失踪した…

つまり、お前も………


首突っ込むと失踪するぜ」


源介「はあ………」


俺はmainを開く。


『昨日のこと、時間のある時でいいから詳しくまとめておくってくれ』----


仁比山の個人チャット。

俺のメッセージで終わっている。了解の返事、既読表示はついていない。


源介「昨日の今日で忙しいのかわからないけど、…仁比山は昔から返信のレスポンスはまめにするほうだったし、1日跨ぐことなんてめったになかったから、心配なんだよ


…まあ、一概に誘拐されたとかはまだ断定できないけどな。

…っ…てか、

あ!!!!

ちょっと待て!!!!!」


長谷川「!!…うわ、なんだ、やめろよお!!!突然僕の胸ポケット弄って…っ、あーーーっ」



三島「はっ!おい!!!源介!!!やめろ!早まるな!お前らまだそんな関係じゃないだろ!!!!!」


源介「いやちげえって!!何想像してんだよお前、…

GPSって聞いて勘づいたんだよ。


…こいつが全て録音してんじゃねえかってな!!!!」



-----

源介・三島「…なるほどやっぱり」


長谷川「…もぅ………何すんだヨォ………僕のコレクション………………」


源介「…いやお前大したもんだよ。よくやったよ。

今だけは誉めてやる」


三島「よかったじゃんハッセー!!!」


長谷川「その名前で呼ぶなし

!!!!」


やはり長谷川が見事に録音してくれていたおかげで、仁比山の所在がはっきりと認識できた。すげえなこいつ。ここまでくるともはやゾッとするわ。


源介「まあ、こいつが会話を録音していたおかげで色々、未学習についての話とか、失踪事件の情報とか、探りを入れられそうなんだ」


三島「は、はあ………

あ!なら…

俺が調べてたのと色々照合しようぜえ」


源介「調べてた?三島が?何を?」



三島「ああ。

俺も密かに造人について調べてたことがあってな!まー動機は造人の女の子を使ってあんなことやそんなことをしようと思ってたっていう、一端の好奇心からだったんだがなっ!!!」



源介「ど変態かよお前………

それに調査やめとけって言ったのはお前だろ?何調べてんだよ」


…意外と世の中って変態が多いのかもしれない。



-----

絮源turn

:現在地:三島の足元そばの段ボールの中


うへえ…

世の中変態しかいないのかしら?


三島から逃げてきて今、ここに隠れてるわけだけど…


三島がここにいるから出らんなくなっちゃった!!!!!!!


はーもうついてない。


てか、仁比山センパイ、失踪しちゃったんすか!?


だからご縁を見つけろって言ったのに。

『あたしは独り身が好きなんだからいいの』


…ってやせ我慢するからこうなるんですよ!!!


ああああ、心配だなあ…

多分、あの強さだから大丈夫だとは思うけど(失礼)


そして、

藤崎周平って…


ずっと前に、造人を作って謎の失踪を遂げたっていう学者さんじゃなかったっけ??


てか、やっぱりあの守衛!!!

イラつくわぁーー、そういうの!!!

女の子バージョンの造人を…って、どんなど変態よ!?

三島…

ふーん。

是非とも次会った時にいじめてやろっと。


つまり三島って、どうやらお金持ちの息子ってわけね。

造人なんて高性能な機材、持ってるのなんて大企業か公務か研究員の家系か財閥か。

そんな類だもの。




三島「…まあ、最初はそういうやましいことを考えていたわけだけど……ふと、爺ちゃんの話が少しだけ気になってな。


そいや、俺、爺ちゃんのこと、まともに気にかけたことなかったなって。」


源介「お前の爺ちゃんって、確か…」


三島「そう。SteamLaboの一員だよ。

今の内容は、聞いたと言っても、盗み聞きだがな」



三島がさっとケータイを見せる…そこには。


源介「…藤崎周平の事件か?」


三島「実は、爺ちゃんが、研究員らしき人と、電話で喋っているのを、隠れてこっそり聞いてしまったんだ。…藤崎周平って、失踪したんじゃなくて、匿われているらしいんだ」


源介「…は?」


えっ…

そうなの!?

携帯携帯!!!


検索「藤崎周平 行方」っと…


うーん…



【藤崎 周平(失踪当時24歳)


Steam labo第一研究所所属。

循環器・細胞・内科・外科・生殖分野に特化して研鑽を積む。


世紀初の造人実験、「完全人間型AI 造人」を作成することに成功。

医療・科学分野において、日本の最もな「助け」となる。


現内閣総理大臣、安藤雄一郎氏(当時同所属)と共に、Steam labo第一研究所にて、造人実験を重ねる。

………しかし、5年後失踪。

現在も行方がわかっていない。】


「…!」


カメラの光を抑えながらだからうまく読めなかったけど………


だよね、今も行方がわかってない、はず。

新着情報も目撃情報も何もない。


てことは…




記者として新情報を手に入れる第一人者…


って、



もしかしてあたし???



-----

源介・三島turn


三島「…そんなことで、俺の爺ちゃん…三島清一郎に、疑いをかけるようになっていったんだ。まさか俺の爺ちゃんが、他人を危険に晒してるなんて、ちょっと信じられない、調べてみたいと思ってな。…


藤崎って研究員は、ここの留置管理に匿われている、らしいんだけど…」


源介「ふ、藤崎が!?」


まじかよ!?


三島「どうやら爺ちゃんの電話だと、藤崎は研究所に脅威をもたらすような人物だったから、研究所もろとも、幽閉しようとしたらしい。そして、

藤崎周平は、次の内閣総理大臣候補だったらしい。」


源介「…うえまじかよ!?」


三島「源介がその事実を知ってるなら、話しても大丈夫だろうかと思ってさ。


…藤崎はどうやら逃げたらしいけど、Steam laboは、まだ彼を殺そうと、行方を探しているんだ」


源介「…」



三島「悪い悪い。そんで、なんかどうやら、藤崎ってやつ、八神総監と知り合いだったらしくて。

八神総監ってのは…この失踪事件が発生する時に捜索隊を設置して、どんどん死なせて、自分自身も密かになっちまった人な。

その総監が、友情発揮して藤崎を匿ったらしいんだ。

どうやら、…ここに」


源介「は!?青井警察の中ってことか!?」


三島「…そう。

これ、流石に公表したら、なんか色々ヤバそうと思って………

じいちゃんが電話で話してたことだし

ただ、警察署ってわけで、Steamも爺ちゃんも、所在は知ってるけど警察署だから下手に動けねえ!

って踏み込むタイミングってのを掴みきれていないらしくて。



藤崎がここにいるって話は………」



???「どーも。今をときめく最高研究者の藤崎周平です。遅くなってすまねえな!

話に出たから出てきたぜえ」


源介「…えっ?」



後ろから、突然声が。


-----

藤崎「…なんだよその目は。

そんな変なもの見るみたいな目でこっちみないでくれよ悲しいなあ」


ーー細身の体。

ーー針のように梳かれた髪。

それを半分だけ結い上げ、無精髭はそのままにしたそのすこし薄汚れた姿は、どこか寂しそうに見える…


三島「…この男が」


源介「…お前が………」


藤崎「そ、俺が

匿われてたって言う藤崎周平」


三島「いやどっから出てきた??」


藤崎「コスプレって結構楽しいな」


どうやら警察官の服を着て隠れていたらしい。いや誰から借りたんだよそれ。


藤崎「お前らが話してた八神ってやつからだよ。

普段は留置の牢屋の方で暮らしてた」


源介「…な、なるほど」


藤崎「ああ…そのかわり、八神総監が、俺を隠したせいで、奴らの人質になっちまったんだけどもよ」


藤崎はがっくりと肩を下ろす。


三島「俺は総監の指示に従って、藤崎さんを匿った訳なんだけど…まさかそんなことになってるとはな」


藤崎「独房での生活はなかなか味があって割と楽しかったよ。働かなくていいしな」


源介「…冗談言ってる場合か」


藤崎「んで、」


藤崎は身を乗り出した。花の香りが鼻腔をくすぐる。金木犀。ーー香水らしい。


藤崎「君のお仲間の仁比山くん…どうやら誘拐されたようだね」


源介「えっ、」



なぜ、それを???


一体何者???


-----

絮源turn(段ボール内)


うわあ…なんか

すごい展開になってない?


そして今ちょうど藤崎ってやつが段ボールの上に座っちゃったからおいそれと出られなくなっちゃったよう…!


もーー!今日本当についてない!!!


でもまあ、藤崎がここにいるっていうことは…


これ、もしかして

公表されてない事実なのよねえ???


だとしたら!!!


もしかしたら業績を上げたって話で昇格決まってテレビ出演決まって「いやー、体張った取材のお陰ですかね」とか言っちゃって、YouTuberデビューできちゃうかも!?!?!?


----

藤崎「まあーこうしてうんぬんかんぬん話している暇はねえな。さっさと行くかあ。全ては俺のせいでもあるし!」


三島「…い、行くってどこに…?」


藤崎「お仲間さんを助けに行くのよ。

行方不明なんだろ?」


源介「…!

なぜ、それを…!?」


藤崎「…関わった人間は抹消するという方式が出来上がってるからな。

知ってるさ。…タダじゃ済まないことくらい」


源介「…」


藤崎「元はと言えば、造人なんて造ってしまった俺にだって、…責任があるんだからな。

ほら行くぞ。なんとかして助けに行かないと」


源介「…いや、行く前に」


藤崎「…あ?」


源介「一つ質問だよ。

…この世の中、Steam laboは…一体どれだけ蔓延ってんだ??」


藤崎「…」


源介「お前が本当に藤崎周平なら、このこと全部わかるだろ」


三島「…おい、源介」


藤崎「なーるほどねー。俺が正真正銘藤崎周平だってことを、確かめたいってわけか。いいぜ。

俺は正真正銘の藤崎周平だからな」


✳︎


藤崎「とりあえず、自己紹介だ。お前、名前は?」


源介「源介。…日暮里源介。

この警察署の人間だ」


藤崎「源介、お前が知らないだけで、…割とどんな機材、どんなメーカー、どんなものでさえ、今や大体がSteam laboの監修だぜ」


源介「…嘘だろ?」


長谷川「ほんとだよ!!!なんでお前知らないの?

ぷぷぷっ、もしかしてニュース見てないとかぁ???公務員のくせにぃ」


源介「………るせーなお前………ちくしょう…

たしかに情報通ではないわ」


藤崎「正直者でよろしい」


ちくしょう。


藤崎「まず。時代の流れとして…

ここ日本は、研究が進んだ。

令和時代から、急速に浸透していったんだ。

なぜ、研究が盛んになったか、それは…

平成から令和にかけて起こった、『疫病』が、原因だ。



そこで対策のために考えられたのは、…

令和時代からずっと、続けられてきた、万能細胞の『改良』だ。


令和時代、疫病が流行ってみんな苦しんだ時があっただろ?


それに対抗するために、結成されたのが、俺ら「Steam labo」…

科学研究にかなり精通している人間たちを集めた、今でいう最重要項目組織だよ。


もはやこの土地は疫病だけじゃなく、二酸化炭素や汚染物質が増えて、なにもしていない状態では生きられなくなってしまった。

俺らは免疫がついているからわからないだろうけど、ちょうど令和の終わり頃から少しずつ、人体に投与していった、とある薬があるんだ。」


三島「…え?」


藤崎「『イレーザ記憶適応物質…』令和の終わり時代から、少しずつ始まった、細胞薬だよ。


環境が汚染されてしまったし、治安も悪くなった。…話が飛ぶけど犯人が使う凶器だって、狂気なみに鋭利になったし人間が傷つきやすくなったからなー」


源介「………ん?」

三島「…おい」

源介「…………すまん」


反応しかけた。



藤崎「もはやまともな状態では、生きられなくなっちまったんだ。

それは飲むと、感染症にも強いしもちろん、傷の治りだって早い。


みんな必死に飲み始めた。その時はまだまだ感染症は終息の目処が経ってなかったし政府が国民の義務として発令したもの、だったけどね」


源介「…」


藤崎「それは適応、遺伝するから、令和の時代に薬を飲んだ人物から生まれた子供以降は飲まなくていい。

そんな薬漬けにもされているんだよ。

そこにも改良した、記憶力を持つ万能細胞が組み込まれている。」


三島「えっ」


藤崎「実際に効果があるから、

万能細胞漬けの、人間の代理…造人を作った。」



藤崎「それを開発し成功したのが…俺ってことよ」


三島「…」


藤崎「それから先も、研究、改良を重ね、イレーザの元となる、イレーザ万能細胞は急速に変化を遂げていったよ。

そして、感染症が蔓延し、強力になってしまった今、人間の代わりに汚染された土地や有毒な空気の中で、はたらくロボットが必要になった。

世界はかなり疫病や毒の成分が強くなってしまったからな。おいそれと人間が近づくと、死に至るようになってしまった。

今生きている土地は大丈夫だけど、やっぱり、少しずつ、土地は荒廃しているんだよ。


そこで作られたのが、人間のかわりとなる、造人だ。

造人なら、少々、薄汚れた空気の中、有毒な空気の中でも、人間の代わりとなって働くことができるだろ???


まずこのロボット君。なぜ作ろうかと思ったか??

さかのぼってー、チチチッ♪

若い頃の俺に、聞いてみよー!!」


源介「…」


三島「なあ源介…こいつ、まさかニセモノなんじゃ…」


源介「いや、まず話聞こうぜ………」



藤崎「その造人を作るにあたって、結成された研究グループ、Steam labo………


内閣になる前の安藤くん…

俺は安藤内閣…

今の内閣総理大臣と、研究者時代は仲良しだったんだ。


そう、知っての通り

安藤内閣くんも、研究者だったからな。


Steam laboの、第一研究所に、二人とも割り当てられた。

みんな、意外にも和気藹々として、未来の研究をしていたよ。研究者って割と高飛車なイメージがあるだろ?偏見だけど。


でも…内閣君、安藤君だけは、ちょっと違ったな」


源介「違った?」


藤崎「うん。

かなり陰気だった。ありゃあ、完全に人が嫌い、という雰囲気を醸し出していたな。

目も据わっていたし。

おおー怖いこわい。


案の定、誰もそばに寄り付けなかったし、怖かった覚えだけはある。


穏やかそうな見た目なのに、どうもなんか、怖くてな。


人間は見かけて判断しちゃならん、そう思ったけどよ…

あながち、間違いじゃなかったんだなこれが。…



平成、令和から、どんどん科学が進歩して、今や新規細胞がどんどん進化、更新…

そして、『改良細胞』…

記憶力の良い細胞ができた。


その細胞に、人体の一部の細胞や体液などを注入すると、その細胞を記憶するようになったんだ。

つまり…猿の細胞を入れれば猿になるし、鳥の細胞を入れれば鳥になる。

だから、人間の細胞を入れれば…

もちろん、それは人間になるよな?


その記憶細胞。

それさえあれば、どんな難病でも治る。どんな傷でも治せる。どんな不自由でも、治せるだろう……


医療面での活躍。


そして、あくまでも人間を助けるといった理由を願って、そう願われて造られた、この記憶細胞。


俺らSteam laboは、この研究に対して、大成功を収めたんだ。


ただし。

この細胞は危険を伴う。

なんてったって記憶細胞…悪用だってできるのだからな。


その記憶細胞を悪用する人物。


流石に、内部にいるとは思わなかった。


完全に油断してたよ。



その細胞が出来上がった途端………盗み取ったんだ。


………内閣がな。」


源介「え…?」


藤崎「造人の細胞研究が完了した、その夜。


全部のコンピュータをハッキング、そしてその細胞が眠っている場所の施錠をめちゃくちゃに破壊し、部屋に侵入…


そして、盗んだ」


三島「な…っ」


藤崎「その内閣はそれを、どうしたと思う?

なんと、自分の娘に、全部注入したんだよ。…記憶細胞の他に、どこから取ってきたのか、冷凍してたのであろう精神異常者や、犯罪者の大脳細胞を、一緒くたにしてな」


源介「娘…!?」


藤崎「内閣には隠し子がいてな。不埒の末に作った子供…

『久遠寺弥夜』という少女がいた。

…しかし。

彼女は、脳に疾患を持っていた。記憶などを司る部分が、すこしな。

ただ、たまに研究室に連れてきていたところを見ると、よく笑う可愛らしい、利口な子だったはず、なのに。…娘に対して、その細胞を注入したんだ」


三島「なっ…!?」


長谷川「ひどい……!」


藤崎「俺は、ちょうど居合わせたんだ。

研究所の誰もいないところで、彼は研究してたよ。娘をがんじがらめに縛ってな。


注入された娘は、たちまち苦しみ出した。苦しんでのたうちまわって…そして…動かなくなった。

死んでしまったのかと思ったが、アナフィラキシーに耐えた彼女の目は…赤くなっていた。


そう。

すでに彼女は、万能人………

造人第一号になってしまった。


全ては、開発してしまった俺が悪い。

こんなもの、なければ、

もしかしたらこの子は

人間のままだったかもしれない。…


…そう責任を感じた俺は、内閣が帰ってくる前に、弥夜を連れて帰ったんだ。ちょうど内閣が、海外の会合に出ている時だったから、弥夜を内閣の自宅から、連れ出すことは容易かった。


あの時は疲れと混乱で、俺は頭がどうかしていた。ただ、内閣から離さなければいけない、この子をこのまま、完全なる造人にしてはいけない。…

という思いだけは、何故だかはっきりしていた。


研究途中であろう、久遠寺弥夜は従順だったよ。俺に手を引かれるまま、抵抗もせず。

無機質で無気力で…


…もはや最初から人間じゃなかったのでは。

そう疑いたくなるくらいまで、弥夜の造人化は進んでいた」


三島「………ひどい……」

源介「…」


藤崎「それからというもの、弥夜を連れ出したことによって研究所から立ち去ることになってしまった。

研究がどうとか、もはやどうでも良かった。

ただこの子を、どうやったら人間に戻せるか。

それしか感じていなかったし、それしかなかった。


造人の成れの果てを、お前らは

実際に見たことはないだろ?」


三島「…ああ。

ただ、捜索隊だけが、失踪したとか、全員死んだとか」


源介「…それだけしか、聞いたことはないな」


藤崎「…体が壊れるんだよ」


源介・三島「え?」


藤崎「顔の造形が壊れる。体がぐちゃぐちゃになる。判断がなくなる。尊厳も全て壊れる。

もっというと…


アメーバ状になる。

人間の形ではなくなるんだ」


長谷川「…っ!?」


藤崎「体が壊れる、そう。…


体の中に投与された万能細胞は、毒物と記憶した精神異常者の融合。投与された人間は勿論、そいつに触れた別の人間も、たちまち同じ状況になる。つまり感染。

そして、毒性がない場合、その人間は、体がアナフィラキシーに耐えきれず、死ぬ。


ぶっちぶちにちぎれて死ぬ?

血管や内臓の破裂?

それとも全ての体液を、身体中から放出しながら記憶がなくなり死ぬ??


それは様々だが…


人間にしては最高で、最悪の辱めの死に方というのは確かだな」


三島「…」


藤崎「だから、その感染が広がってしまったら、集団死どころかこの国全員が死んでしまうくらいのことになってしまうんだ。

そして…

この可愛らしい少女が、ぐっちゃぐちゃな、そんな状態になるなんて、俺は耐えきれなかった。


しかも弥夜は、半造人だ。…これからどうなるかわからない。もしかしたら、この国どころか、世界の脅威の存在になってしまうかもしれない。


だから俺は、少しでも。

時間稼ぎにしかならなくても、被害が少なくなるのなら、とにかく、弥夜を『治す』…。


そのために、その研究を続けながら、弥夜の世話をすることにしたんだ」


長谷川「…」


藤崎「今からでも遅くない。体は無理でも心だけは、人間に戻してやりたい。…そう。


心が動いた時、彼女の目が輝くんだ。

根拠はないけど、俺は…


彼女が感動した時の心拍数…体の反応…全ての動き…


これがきっと、人間に戻る(ヒント)かもしれない。


そう、信じた。


だからそれを繰り返した。

弥夜が喜ぶことを、日常の中で繰り返した。…


きっと戻る、そう信じて。

弥夜の感動を、多くしてあげることを続けたんだ。


そして、少しずつ笑うようになった。…人間の心を取り戻してきた、その頃………


内閣が帰ってきたんだ。

…『弥夜』のもとに」


源介「…!?は!?」


藤崎「内閣…あいつ、正気じゃないよ。

どうやって場所がわかったんだ?と思ったら…


あいつ、弥夜の細胞壁の一部を引っ剥がしてたんだ」


三島「さ、細胞壁…!?」


藤崎「今や細胞壁だけで、個人が特定できる時代だ。


そして俺と弥夜は…あっけなく引き剥がされて、弥夜は内閣の元へ。

俺は………

命を狙われた」



三島「………」




藤崎「俺が殺されたら、この計画を止める奴が誰一人といなくなるからな。

ちょっと、雲隠れさせてもらったよ。


あーそれと。


説明してなかったけど、第一研究所が廃墟化しているのは、内閣が未だ仲間を絞って密かに活動しているからだよ。

ろくに掃除もしないから、廃墟化するのも当然だよな。

ま、俺の紹介と、プラスアルファはこんな感じだ。


そしてだ…


弥夜の体の中にさらに、

強化細胞ってのを、注入したんだ。」


三島「強化、細胞…?」


源介「…ちょっとまて…

それを注入したところで、何が強化の対象になるんだ…!?」


藤崎「…面白いことにな、この記憶細胞。


未学習の造人と、普通の造人。

未学習はいわばその、記憶細胞の悪用バージョン。


未学習の作り方は、その記憶細胞に…


さっき言った、犯罪者や、精神異常者の細胞を注入するんだ。

弥夜と、同じ方法だな。


そして弥夜は未学習の『親機』にあたる。

未学習たちの体には、弥夜の細胞が入っているんだ。


弥夜に変更を加えれば、そいつらたちも皆全員、弥夜の変更通りになるんだ。弥夜の細胞をもってるからな。


だから、今この世の中の造人たちを見る限り…

弥夜が、かなり変更を加えられてる。

多分…

時限爆弾付きの、『最終兵器』くらいにはされていそうだな」



長谷川「…ひっ…!?」


源介「…なるほどわかった」


三島「そんな壮大だったんだな…この世界って…」




藤崎「…でだ!

今から行くぞというのはな、Steam labo第一研究所!!

内閣が未だ出入りしているということは、君らのお仲間さんもそこに連れられている可能性が高い。

それに………


多分、そこに弥夜も、一緒にいると思う」


-----

絮源turn


え!!!


つまり…

数十年前に疾走した研究者…藤崎周平は、

ただ単に隠れているというわけではなくて、自らの意思で、留置所にいたってわけだよね?


え、じゃあ…


あたし今、やっぱめちゃめちゃ貴重な時期に立ちあってるってことじゃない!!!



うんじゅうねん近く前に行方不明になった人間…しかも、

造人研究者の発端みたいな人が生きて帰ってきたとなると………


( ̄▽ ̄)


面白い記事が書けそうね。へへへ。

こっそり尾行してやろう。あー車で来てよかったわ。



ーーキイ…

コツコツコツコツ………


ちょうどこの部屋を出たわね!



早速あたしも後を追ってーーー

いまだ!!


ーーがさ!



絮源「…!!!っえっと…?」

???「…ねえあなた、あたしと一緒に来ない?」


✳︎

上司「あれ、円さんはどこにいったんだ?さっきそこに座ってたよな?」


部下「あれ?本当だ。

…どこにいったんだろう?」


-----

現在地:Steam labo(第一研究所地下室)


仁比山turn


「…はっ」


目が覚めた。

だいぶ眠っていたようだ。


「あれ……ここ、どこなんだろう?」


あたしは起き上がり、周りを見回す。


冷たい、鉄の床板。

剥き出しの管、そして、ロープや機材やらが、そこらじゅうにぶらさげ、張り巡らされているーーそして。


(なにこれ…玩具?

子供でもいるの?

それに、何?この、一定な機械の音は………?)


そこら中に、玩具が転がっていた。

あたしは少しずつ、それを辿りながら、部屋を歩き回った。

どうやらこの部屋は、大きなドーム型になっている、らしい。

換気扇がそこらじゅうの壁に作られて、外の空気が送られてきていた。


「…ん?」


足元の玩具。

一際、散らかっている場所があるーーー



「…はっ」


そこには。


「女の子?…」


光り輝くカプセルの中、

自身の長い髪の毛につつまれ、

眠ってる、何かを見つけた。


見たところ、女の子だ。


「…」


長い長い管の終着点も、この子の身体中に取り付けられているようで、よく見ると頭や首、体のいたるところに、チューブや機械が挿入されている。


一定の機械音の正体は、この子の鼓動音らしい。

つまり、この子は…


「造人………!」


ーーー背筋が冷えた。


(待ってここ……一体、何よ?

あたし、あれから…

どうなっちゃったの!?

造人と一緒にされてるなんて、一体あたしをどうするつもりよ…!?)


-----

Steam labo地下:

安藤・黒岩・羅門目turn

(第一研究所チーム)


黒岩「…で、どうするんですか、総理?」


羅門目「仁比山とやらを捉えましたけど」


安藤「…仁比山は殺すさ」


羅門目「…」


「いままでもこうやって殺してきたんだ。

俺の計画を邪魔するやつは、密かに………研究地下室でな!」






とぅーびーこんてぬー


---

おまけ⭐︎(藤崎)


わかりにくくなってきたな。すまん。

とりあえず説明するぜ。


造人の未学習のヤバさ加減は説明したが、完全体については触れてなかったな。


完全体は純粋物質で、精神異常者や犯罪者、弥夜の細胞は入れられてない。

完全に『この世のため』に

作られたものさ!


わかりにくくて申し訳ねえな。


しかしまあ、ここまで読んでくれた読者様、心から御礼するぜ。さんきゅーな。


というわけでこれからも、楽しみにしてくれよな!!!





いやほー!

本当にありがとうございましたm(__)m

無事3巻目、投稿できて何よりです。

色々と明らかになってきましたが

はてさて…どうなるのやら…!?


次もお楽しみにー。


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