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不可解犯罪勃発事件簿。  作者: 武者小路霧雨。
2/6

造人計画とミステリー!

さて、二巻目無事投稿です。

造人、そして未学習の存在が、そして、さまざまな計画が………


この巻で、ついに明らかになります。


はじめに。


※この物語はフィクションです。

実際の人物、団体などには

関係ありません。


※この物語には若干の性描写、

グロテスク表現、暴力表現が含まれております。

苦手な方はご注意下さい。


※(おことわり)

この物語は、私自身が、自分のYouTubeアカウントにて一部動画化しております。


※挿絵の挿入の仕方、わからないので

連携したTwitterに上がってます!!笑笑


-----


不可解犯罪勃発事件簿。2


-----

◎登場人物


〜青井警察署〜

・日暮里源介(26):警察官。


・逢沢悟(25):源介の上司。底抜けに明るく無鉄砲&破天荒、しかしコミュ障。集団行動が大の苦手で、孤独を好むが妻のことは溺愛している。


・逢沢円(23):悟の妻。悟とはマリッジブームに則って婚約した。心配性で、無鉄砲な悟のことを気にかけている。


〜東京テレpo〜

・仁比山紅葉(26):東京テレpo」のアナウンサー。源介と三島とは、学生時代の顔見知り。


・長谷川小太郎(24):東京テレpoの新入総務職。冴えない感じだが毒舌。仁比山のことが好きで、常に録音機を持ち歩いており、その都度仁比山の行動を記録してたり…。


・黒岩和多留(29):東京テレpoの次期社長。

酷いパワハラをする事で有名。


〜Steam labo(理科研究所)〜

・安藤雄一郎(45):現内閣総理大臣、兼、Steam labo研究所長。


-----


源介&逢沢turn

(逢沢率いる車内にて)


道中。


「何回想にふけってんですか。喧嘩売ってんですか」


「いやー、あはは。

だって俺の奥さん、すっげえ可愛いかったんだもん。めちゃくちゃ心配性なのなんの。なり行きで結婚したってだけやけどほんまええなこれ」


「…成り行き?」

「そ。綺麗に言えば、『マリッジブームに則った結婚…かな。

怖さのせいでお互いようわからんまま一緒になった、ってやつや」

「………へええ」

「あ、今ものすごい軽蔑の目線したやろ」

「だって、はあ、まあ、…」

「馬鹿にすんなよ?意外といけたんやこれが。

まあ簡単に言えば、諦めがつくってらことだろうかま、これがうまくいったのなんのって。結婚ていわゆる覚悟やからな。むりやり足固め食らったみたいな気がして最初はあまり乗り気じゃなかったんやけど………

ノリで入籍したらなんかすんなり」

「えっ………そーゆーもん??」


「そーゆーもんそーゆーもん!!てか最近は流行ってんじゃん!なんていうか、「謎の失踪事件が地味に流行ってて怖いからノリで籍入れちゃったよ」パターン!!お前もマリッジブームに則って籍入れちまった方がええよ!いるんやろ?彼女みたいなの?」


「ええ…まあ………

いないわけではないですけど………」


「ほらー!絶対待っとるよ。はよプロポーズしちゃいなぁ!」


「………仕事中ですよ」


「ハハハ。悪い悪い。

それよか、お前、造人の都市伝説ってしってるか?」


「あー、第一研究室が三鷹にあって三鷹の裏山にあって、今廃墟だけどなんか稼働してる?みたいなやつですよね。なんか変な人たちが入り込んでこっそり怪しい研究してるとか」


「うお、ようしっとるなおまえ。そやそや、それもある。

…ただな、今から話すのは、研究所の話やないで」


「えっ」


俺は先輩の方をみた。

先輩は人差し指を立てる。


「これ、公ではないから、あの警察署でお前と合流したときには詳しく話せなかったけどな、、ここではお前と造人しかおらんけん………特別に、話すな」



俺は後部座席を見た。

太一は静かに、見守っている。


ーー先輩が話し始める。






「明治、昭和、平成、令和…

…ちょうど、今で100年後。

時代が巡り、変貌し…

その度に罰則が、どんどん増えていっただろ?」



「まあ、そうですね。

個人の人権が、だいぶ尊重されてきたと思います」



「今は令和以降の時代。

他人に干渉しない世の中。

実際、十分平和になったよ。


…だけどな。


この国の人間たちが、比較的明るかった時代…昭和付近。

あの時から比べれば、だいぶ権利が守られるようになったのに…


どんどん時代が進むにつれて、

人間一人一人は、暗く、陰湿で、どろどろとしている。

生きづらくなってきている。


…これは、なんだろうね?」





「………」





「…何かが、密かに、蠢いてると思わない?」





「………まさか」




「そう。

俺の推測だがな。

長い時代をかけて、人間を廃にしていく組織ーーー


…影の組織(なにか)が、日常に潜んでる。


そして、失踪事件が起きる前には、必ずとある『法則』がある。…数世代前の人間が、現代に必ず現れるというね」


「…どういう意味、ですか…?」




「…………

ま、それは…おいおいわかるよ。そんときゃ、そばにいる人を守ってやれよ!」



「…はあ」



「だが、これだけは言える。



この世は『本物』の………




『造人』を作り出してる」



-----

不可解犯罪勃発事件簿。

(其のニ)


----.

仁比山turn


現在地:「東京テレpo」

(都内テレビ局)


現在局長:黒岩 麻胡斗(まこと)

次期局長:黒岩 和多留(わたる)


↓概要↓


東京テレpo:Nのつくテレビ番組の次によくみられてる番組。つまり民法では最高位である。


『キープアウトになる前に』:東京テレpoの代表企画番組。主に心霊系を取り扱っている。

全国各地の心霊現象の場所に出向く。内容としては廃墟などに入っていき、様子を撮影するといったものだが、大体ヤラセが多い。(だから生放送は一切せず、カット多用、加工多用のイカサマである)

東京テレpoと言ったらこれであり、楽しみにしている視聴者が多い。


✳︎


ごめんね、読んでて疲れたでしょ。

今からはあたしのサイドよ。


 あたし、仁比山紅葉は………

部下の長谷川と共に………


「なんであたしが、こんなこと……」


ーー雑巾掛けをしていた。


 今現在は昼下がりで、あたりに豚骨の油の匂いが立ち込めている。


(誰かがラーメン食べたのね…。)


 ダイエットの為に健康食品ばかり食べ慣れてしまったあたしにとってはもはや油物の強いにおいというのは単なる不快でしかない。誰だか知らないけどこちとら我慢してんだから局内で食べるんじゃないわよ。


「仁比山センパイ、仁比山センパイ〜」

「…

「待ってくださいよぉ〜。」


ーー長谷川小太郎。


彼は、あたしの部下である。


ゆるく微笑んだ、口元。

まつ毛の長い、大きな目。

ボリュームたっぷりの癖のある髪を、首の後ろでまとめているーー


もう一度言おう。


『彼』は、あたしの部下である。



与えられた仕事はまあ…やれないことはないのだが…どこかしら鈍臭い。

スピーディな動きが求められる放送業界では、正直適合者とは言えない存在である。




…しかし。




「外見だけで存在してる感じがすんのは気のせいかしらね…」


「え?どうしました先輩、急に独り言言って?」



「…あ、なんでもないわ、こっちの話よ」


「?ふーん」


やばいやばいやばいやばい(滝汗)

声に出てたわ。怖い怖い。



まあー、うん。

言わせてもらうと。


仕事は遅いが、とんでもなくレベル違いな愛嬌の加点によって、オールオッケー的な存在なのではと疑いたくなるのだ。なに。なんなの。女のあたしよりも守護欲求度数高いとかどうよ。いったいなんなのよいじめたくなるわ(←お局予備軍)


(ふう)


実際、

…その容貌と醸し出す雰囲気のお陰で、そういうのが好みの局員にモテまくってるのは勿論、あまりにも可愛らしい挙句、一部の同性にまでも、モテる始末である。


「…」


あたしは額の汗を拭った。

実際喋ってないのにこんなに感情でエネルギー使うのね。「僻みダイエット」今度やってみようかしら超禿げそうだけど。



(はあ…他人を僻むなんてやだやだ。やめましょ。)



仁比山紅葉。26歳。

今じゃアナウンサーや、テレビ局志望の人間からしたら登竜門とも言われている、「東京第一放送大学」を立派に卒業。

そしてアナウンサーになりたかったから、その勉強を頑張って、無事………


(第一志望企業、大手、『東京テレpo』で働くことができたのに!!…)


新人時代から仕事覚えも早いと言われ、専属アナウンサーに任命…人生、順風満帆。


ーー早5年。


その仁比山、


『新人をパワハラから守った案件にて、

1週間後に『降格』処分」。ーーー


「はい、これバケツです。

雑巾も入ってますからね」


「…いやなんでこのあたしが

こんなことしてなきゃなんないってのよ!!!」


「仕方ないじゃないですか、降格しちゃったんですもん。あ、そこまだ雑巾掛けしてないんでお願いしますね。」


「床に這いつくばって雑巾掛けするのなんて小学生以来!!!」


「知りませんよやつ当たらないでください。こうなることは目に見えてるから、みんな若社長に逆らったりしないのに。

なんで逆らったりしたんですか?仁比山さんて意外と馬鹿?」


「困ってる部下を守ることは上司として当たり前よ。それを見逃す社会の方がどうかしてるのよ。勇者って呼んでちょうだい。

てかなんであんたも一緒にやってるわけ?あんたは別に黒岩に目ぇつけられたわけじゃないでしょ」


「僕は仁比山先輩の手伝いしたかったんですぅ!!りっぱな部下でしょ?」


「……はあ」



話を戻すと。




あたしの部署には黒岩という

なんともやばい上司(=次期社長)がいてね。

みんなそいつに逆らえないのよ。


なんでかっていうと…


俗に言う、「金で解決パワハラマン」。


「なんで訴えないの??

訴えればいいじゃん今の時代。

ほら、あそこに裁判所あるよ??いってきなよちょっと」


…。

そう思うじゃない?

一筋縄じゃいかないんだぁ。


なんでかってーと、その黒岩、

超、超超大金持ちで、

交友関係も豪華絢爛で

公務員や大手企業、

みんな『お友達(by金)』だから

声を上げられないのよね。


だからどこからどこまでが

黒岩の手中にあるのかもわからない。絶対に訴えてやる、っていう気力にもならなくて。

訴えたが最後、もはや

この町で生活できなくなっちゃいそうだしね(震)



だからみんな、黒岩のことを怖がって、みるからにペコペコしてる。………




…だーけーど!!!


黒岩って奴、パワハラだけじゃなくてセクハラもするとんでもない奴で…



いいかい話すよ、運命の日…



ある日、新人ちゃん一人。そして向かいに黒岩。

局内の廊下にて。

新人ちゃんと黒岩は、お互い逆方面から歩いてすれ違う感じになった。いつものように睨めくりまわして体を見てたもんだから…


「やめてくださいっ………」


体を舐め回すようにジロジロ見られるのに耐えきれなかったみたいね。ちっちゃく抗議しちゃった子がいたのよ。


そしたらどうなったと思う…?


『僕に逆らったらどうなるって………知ってるはずだよね………?』


これ見よがしかと体くっつけて壁においやって、そう言ってきた。


ちょうどその時、一部始終をあたしが見ていたもんだから、放って置けなくて。


「…若社長。御言葉ですがーーー………」(以下略)



つまり、『セクハラに遭っている新人ちゃんを助けた』。


そしたら………


「新人ちゃんの教育がなってないのは上司のせい。仁比山。全部被りな」


はい。


無事降格(^◇^)。


自業自得の結果だろうけど

見過ごすことなんかできなくてよ。………

 

「そりゃひどいな」

「え、げ、源介!?」

「話は聞かせてもらったぜ」

「えあたしなんも喋った覚えないんだけど」

「いや普通にお前口に出して話してたぜ。デカすぎんだろ独り言。それで自覚症状ないってなったら結構見事にやばいと思う」


源介は壁にもたれたまま、腕を組んでこちらを見ていた。


どうやら独り言で上記の内容を全部喋っていたらしい。老化すると独り言言い始めるって言うけどあたしまだそんな歳じゃないって信じたい。廊下で老化現象(あれ?気温下がった??)





-----

仁比山turn2


「来るって言ってたけど、随分早かったのね。そして相変わらず神出鬼没」

「お前が鈍いだけだろ。パトる先輩と合流してな。お節介な先輩だから、ついでに連れてきてもらったんだ。…嫌でも次は一人でくるよ」


どうやら一悶着あったらしい。

疲れた目をしている。




「率直な感想言わせて」

「なんだ」

「ちょっとみない間にめっちゃ男前になってるじゃない」


「何で上から目線なんだよ」


「いいじゃん別に」


「そして人に褒められると嘘にしか聞こえん」


「ひねくれものなのは相変わらずね…だからちゃんとした彼女ができないのよ」


「ふん」


聞こえないふりをしたらしい。


「………んでパワハラって。たしかにすごいパワハラだけど。…話聞いてるとこ、黒岩ってのが元凶らしいな」


「そうその黒岩。

彼を紹介するとしたら………

パワハラセクハラで有名な上司」


「どういういじめ方なのか、ちょっと教えてもらっていいか?」


「えーとね………」


黒岩のいじめ方………それは。


「……あたかも自分は正当な立ち位置においたまま、

『部下が自分の命令に応えられなかったから、劣等感を感じて、自ら仕事をやめてった』に他人に見せてるところ、ね。


別に仕事を辞めたかったって、当人はそんなわけじゃないんだけど、

「そういうふうに、」見せるのよ。…ある手法を、用いてね。」


「ある手法?」


「単純な話。

(マネー)で解決!」


「…典型的だな」


「彼、『御曹司』で、さらに

父親もそーゆー人だから、

面倒なことは全部、お金で全部丸め込んじゃうの。


だから周りの人間は、仕事辞めたくない一心で、みーんな黒岩側についちゃうってわけ」


「へえ…だいぶやっかいだな」


源介が眉を顰める。


「家族もちょっとおかしくて。

ちょーそっくりな家族らしくて、性格がまるでコピーらしいの。

この局のリーダー同士、密かに訴えてやろうって運動を起こしたこともあるんだけど…なにしろ財閥だからねえ。


だから単純に、あんたにも黒岩家族を密かに調べてもらいたいってわけ!」



「…は、はあ!?」



「財閥とは言っても、ただたんにゴマスリとかでズルしてのしあがったタイプだと思うし、そんな重役じゃないと思うのよ」


-----

逢沢turn




「ふう」


源介をおろしてから。

数分間から1時間弱かけ車で登るこの道は、ーー三鷹の裏山。





「………」



ーーーしょわしょわしょわしょわ。



夏場の森。


蝉がしょわしょわ鳴いている。

かなり五月蝿いはずなのに、どこか静かで、安寧を具現化したような、時間の止まったような一枚の画角ーーーこの世界。


色とりどりの、緑。


ーーーひゅお。


風が、汗を吹き飛ばす。


湖面は青と緑を反射し、大きな鏡となっている。

あめんぼがその上をついと滑り、向こう岸へと去っていった。


地図にも記載されていない、秘密の山。



ーーー行くか。




がこん。


長閑な風景を横目に焼き付け、

薄暗い林へと入る。


多分、戻ってこれないから。


「…」


立入禁止の看板を当たり前のように避け、しばらく林を進んでいく。するとーーー





「…おっしゃ、めっけたわ」





異様な黒い場所に着いた。

錆だらけになった大廃工場。

何本もの煙突が、天を仰ぐように立っている。

どれも錆、錆、赤錆…

そして、




異臭。






Steam labo、『第一研究所』。




(まだ、ここにあったとはな)



俺は、車を降りた。



「…造人くん、俺の代わりに車守っててな」


『わかりました』


造人『太一』は俺の目を見やると、こくりと頷き、車に戻った。

彼の真紅の瞳が、やけに闇の中で怪しくゆらめく。


その瞳は、車の中でも俺を捉えたまま、離してなかった。まるで、電気を消した後の、消火栓の光を思わせる。


「………」


異様な無機質。


(彼も、いずれきっとーーー)




…いや、やめておこう。




「…」


ーーかちゃん。


破片を踏んだ音がした。


入口のガラスドアは、両方壊れて割れており、足元に散らばっている。

壁、床とも、錆だらけの鉄で出来ている。

いかにも「工場」と言った感じだろう。


そして…


「電気も、壊れている…か」


一応、電気のつく場所はあったが、もう繋がっていないらしく、つけてみても、反応がない。

ところどころ、黒々と、

べっとりと汚れがついている、のは………


「!」


ーーぴこん♪


main=

from:先輩『おい、逢沢。

…なかなか帰らないけど、お前今何やってんだ?』



………。


先輩からメッセージがきたが

みなかったことにしておく。…俺は薄暗い建物を見据えた。



「まだこの研究…

やってたんやな。」




ーーキィ。



扉を押した。

手押しのドアは錆び付いていたが、すぐに開いた。


自分の足音だけが響く。



長い、まっすぐな廊下。

左右に部屋、研究室。

ざっとみたとこ、6部屋。ーー互い違いに造られている。

研究用の錆びたテーブル、割れたビーカー、いつの時代に作ったかわからない液体、苔むした椅子、黴の匂いと湿気の臭気。


(…あ)


…ーーふと、『とある会話』が蘇る。…0…


『研究途中の造人たち…『未学習』の子たちって、確か本当に危険らしいじゃない。

異様に察知能力高いって言うし。

工場の中の噂だから、実際に見たことないけど。…』


『スチームラボ………

造人を作る、そしてこれからの日本を担う、『研究グループ』。

理化学と心理学をかじったような人間たちの溜まり場。

そして…

謎の廃墟、三鷹第一研究所は、主に造人を作る場所。

代理人間は勿論だけど、いかに本物の人間に近づけるかどうか…ってのが最終的な目標。』


『スチームラボ曰く、

「造人」は「善悪の判断」を作るのが一番大変らしくて。

人間の記憶をサンプルとして、脳から作り上げるから、

全部体や機能を作ったあとに、仕上げとなる「心」…体部分が終わった後に、

判断力を担う機能を最後に組み合わせていくらしいよ。第一研究の人たちは、大変そうだよねー。

だから、

造人の未完成=

「判断力の欠損」。

=…超危険。

生きる兵器と化す。

大変だよ、ほんと。』………



(………)



これは一体誰の記憶か?いやわからない。

わからないが…俺の記憶じゃない、…でも、『覚えてる』………

これは、かつての「誰かの」記憶。


………。


(造人…そして

それを作る人間たち………

最初からそいつらがいなければ…俺の、この体もーーー)





「…」



自分の手のひらを握り返した。

ーーーいや、今は考えない。



スチームラボの中に、相当なやばい団体がいる。

失踪した研究者。安藤内閣の関係者………

そして、、、


数年前の、抹消テレビ局…



(この日本で、奴らは…

まだあんなこと考えてんのか?)




「この計画を、止めなあかんな。


…『殺人機』

になる前に」




(…源介…

さっきは、とぼけたふりして申し訳ねぇ。)





…べっとりと汚れていたのは、ーーーー



ーーー人間の血だ。



-----

源介turn





「いーーーやーーーだっつってんだろ離せ!!!はなしやがれおい!!」


「…長谷川ッ!!!」


「ここに職務放棄の人間がいまーす!!!」


「馬鹿、お前でかい声出すな!」


俺は大声を出した長谷川を睨む。


「俺は面倒ごとっつうのが一番嫌いなんだ!!友達が警察官だからって頼らないでくれ!!偶然俺は守護系の職業だっただけで別に俺は自分からそんなのかかわりたいとは思わねえし関わりたくねえ!!!やめてくれはなしてくれ、俺にだって断る権利ってあるだろ!?」



「もちろん、ただじゃないわよ………それなりのお礼はしようと思ってるし。」



「…で、俺は何をすればいいんだ?」




「…厳禁なやつね」


仁比山がにらむ。


「ま、訴えたいのは他に理由もあってよ」


「え?ハラスメントだけじゃないのか?」


「うん…

ちょっとこれ、見てもらえる?」


「これが黒岩か??

なんかきったねえビジュアルだな」


くたくたのシャツによれよれの髪。そしてヒビの入ったメガネ。

財閥とは思えないほどの、汚らしい風貌だった。


「あと、こっちもみて」


「なんだこれ、…役員のアルバムか?ずいぶん古いな」


「10年前よ。」


「10年前!?」


「注目してほしいのはそこじゃないわ。

これ、見て、…ここ」


「…あれ、っ

………え?」



…黒岩がいる。

俺は、仁比山のもつ黒岩の写真と、古ぼけたアルバムを見比べた。

いや、これ…は………


「そ、そっくりさんか?

完全一致級だ。」


「ね?これ、ちょっと

おかしいでしょ?

人間どれだけ似ているのか、調べることができる機械があるらしいわね。

造人ちゃんだったらわかりそうだけど、うちは雇ってないからね…詳しそうな子に聞いたのよ。ね、長谷川」


「はいっ!


僕はそーゆー雑学系がすごい好きでですね、色々頑張って調べちゃったんですよぉ!」


「ありがとう長谷川。せ、説明は今度でいいわ」


仁比山から抑えられ、逸れそうになった長谷川が黙る。


「そう。あまりにも現実離れしてるから、信じてもらえないと思うけど…


あたしらの予測はこう。

ついこの間、『未学習』造人が逃げたって放送あったじゃない??」


「…ああ、たしか羅門目ってやつが言ってたな。Steam laboの。最近だよな。観たぜ。中継」


「そいつらには、とある『特徴』があって。


…造人って、元は人間らしいわよ。それも、



人間の、『クローン』。」


✳︎


「いや、なんでお前がそんなこと知ってんだよ??

つかなんの根拠だよ?」


「んー…ちょっと長くなるんだけど。」


「えそんな長い?」


「ここから話し始めないと辻褄合わないのよ」


「なるべくわかりやすく要約して」


「はいはい。


ま、めちゃくちゃ簡単に言うと、数年前、

「モノクローム」って、テレビ局が、『とある放送』をしたあとに、急に潰れたって話。


局員も少なくて、ただの経営困難…って公には言われているわ。

でもね、…

あたしには、あれがどうも

あの事件…あの報道を、もみ消したような気がしてならない。

で、その、『とある放送』が、全てのことに絡んでくるのよ」


仁比山は、写真を見せた。


「え…これ、

お前の………」


「そう、あたしの

お兄さん

…数年前に失踪した、たった一人の、兄よ」

「兄…?」

「あたしの上には、4歳年上の兄がいたーーーー」


---回想(仁比山秋月)



…俺は、仁比山秋月。


モノクロームの一社員だ。


念願かなってオカルト編集局に就職することができた俺は、総務課職員として働いていた。


俺、まじでオカルト大好きなんだよな!

動画サイトで観るくらい。

だけど、あれって

大概が作り物だったりするだろ??

本当に超常現象が起きるのか、結構、知りたいところない???


だから、俺が解明してやろう☆ってな話(笑)。


とりあえず俺は総務課に入ったが、

どうやらそこでも

アナウンサーを受け持つらしい。


…つまり。


(一応の課のくくりはあっても、

人が少ない会社というわけで、全ての仕事が全員に回ってくることが多いんだよな………)


この局内で働く人間は

事務作業だとか◯◯課に限らず、一般事務員がラジオ局に走って話を吹き込んだり、局の警備員がテレビの内容を確認したり、そのまま生放送に出演したりと、ちょっと特殊なのである。


…ま、人が少ないだけだろうけど。


「お疲れ様、仁比山くん」


「社長!」


「申し訳ないねえ、新たなる企画のために残業までしてもらってさ。

いやー、会社を立ち上げたのに人が入らん!なんでなんだろうな!」


「自虐しちゃダメっすよ!立ち上げたばかりの会社ですもん。人が少ないのは仕方ないっす」


「ははは。ま、夢だったオカルト会社さ。人が少なくても嬉しいよ。僕も君と同じで、オカルトやら超常現象やら、本当に大好きだったからね。夢が実現できて嬉しいさ」


できたばかりの会社に就職し、なんとか仕事をこなす日々。

俺はやっと、一人の人間としての充実な日々を過ごしていた。


…そんな中。


「なあ仁比山」


「なんですか?社長」


「お前、うちの仕事にも大分慣れた感じするから、そろそろ…アレ、やってみるか?」


「…えっ!いいんですか!?」


局員を大事にするっていう、そのテレビ局のポリシー。それは。


モノクロームでは、新人が自ら番組を作るって言う、『番組発表会』である。


俺の番が、とうとう回ってきたってことか!!!…


✳︎


「…そんな中。

事件が起こるわ」


「どんな、事件なんだ?」


「さっき言った、その、モノクロームが潰れる、原因となることがね。


説明をしておくと、あたしの父は、Steam laboの研究員だった。」


「え、…まじかよ!?」


「そう。だけどね。

とてもできた父親とは、冗談でも言えなかったわ。

毎日毎日酒に溺れ、とある日…


とんでもない事実を、兄につげるの。…」


✳︎ ︎回想:

秋月(兄)with父親


…「おー、秋月!

お前、新しい企画やるんだってなあ!お前が少しずつ立派になってって、父さんめちゃくちゃ嬉しいぞ!

紅葉も受験に向けて、必死に頑張ってるなあ!いいなあ!」


「父さん…また酔っ払って………もうそろそろ寝たら?もう相当呑んだでしょ」


「えへへへ、いいじゃねーかこれくらい。それよか、仕事はどうなんだ?父さんにも、聞かせてくれ」


「あー…今考えてるんだ……………全然アイデア浮かばないんだよ…どうしよう…」


「…アイディアだけは提供できるぜぇ」


「え、…ほんと?」


「父さんの話を放送してくれ」


「なんだよ…聞いて損した。

俺が企画するのは、オカルト系の話だってば」


「いいから聞いてくれよ。これも一種のオカルトだよ。…

まずは父さんと母さんの出逢いっ!」


「…はあ」



「父さんと母さんが出会った時はなあ、高校生時代でなあ、学校の階段の踊り場なんだよ」


「…踊り場?」


「母さんが下から3段目の階段を踏み外しそうになったところを


父さんが助けたんだ。」


「………いやまってそれ踏み外したとしてももう片方の足で着地するレベルじゃない………?」


「いーや!最後の3段でも、踏み外したらどっかしら痛いんだぜ!あなどっちゃいかん!」


「まあ………痛いだろうな。」


「それでな、父さんは成績が悪くて、素行も悪い不良として、有名だった。


父さん、若い頃からだめだめだったけど、そんな中でも母さんは、ついてきてくれて………


お互い、接点も何もなかったけどな、惚れたんだ。あの一瞬で」


「まじかよ…?そんなお花畑みたいな…」


「そしてそのまま二人大人になって、…結婚したんだ。

よく出来た母さんだったよ。仕事はできるし家事もできるし。何より綺麗だった。本当に。お前の妹はきっと、母さんそっくりに育つと思う。

こんな幸せのなかにいて、父さんもいつまでもダメダメじゃないよう、頑張ろうと思った。


だけどな………


やっぱり父さんは、だめだめのままだったよ。…だって父さん………



今日も昨日も一昨日も、


人殺しの手立てを、続けているんだから」



「…えっ?

ひ、人殺し………???

父さん、が……………??」



「我が国では、クローン実験は禁止されているが…

それも建前。裏ではどうどうとやってるんだよなあ!わはは!


事実はこうさ。


造人なんてAIじゃねえ。本物の人間さんよ。

最初は財閥の計画から始まったものさ。金に目が眩んだ研究員は、そのへんの人間を、騙して捕まえてきてなあ、造人に作り替えるんだ。

何が目的って、そんなの、

日本を乗っ取りたいからに決まってるじゃねえか。


作り替え、そして世の中に放り込む。

万能の体を手に入れたその人間は造人とよばれ、人間の(しもべ)として働くのさ。

ただし。

もちろん人間としての記憶、そして感情は、もうないし元に戻ることはない。

つまり、『その人』は、………造人になったが最後、死んだも同然なんだよ。


また、アナフィラキシーのショックを受けたやつはそのまんまその場で死んじまう。びくんびくんと痙攣してな。人間じゃないみてえな表情で。ただ、死んでもなお、皮膚とか細胞、臓器とか骨とか、使えそうなところは全摘出して、また研究に使うのさ。


あとは、造人は赤い目をしている奴らばかりとは限らねえんだよ。

本当の人間をそのまま作り替えちゃったら赤目じゃないものもいる。


そんなのを世の中にわざと放ってるんだ。


俺?俺はちゃんと人間だ。感情があるだろ?

安心してくれ。


造人か人間かの判断は…赤目以外、感情がどことなく無機質だ。

それを見抜けばいい」



「まって…父さん、なんの、話………?」



「失踪者?

主に現在進行形で新たに作り出されている未学習の臓器の一部に使われているよ。


血液の中に送り込む。

血液が一周するまでの時間…

それが全身を巡ったときに………ははっ、ははは、人格がなくなって造人になっちまうんだ。はたまたしんじまうんだ!!!」



「…………父さん…………一体、どれだけの人を、………手にかけたんだ?」


「ああ…殺した数ってことか?

そんなもの、いちいち覚えておらん。


この計画に気づいて、情報漏洩させようとした人間までも、殺しちまって新しい造人の一部になっちまったんだもんなあ!!!」


「…!」




「俺らがやってることはさ。

ただの、人殺しなんだよ。世の中を便利にさせようとしてるんじゃないんだ。うーん、昭和かなあ、そんな位の時期からやってるよ。日本が平和なのに感情がなくなっていったって?それはその造人に作り替えられちゃったやつがうじゃうじゃ出てきちまったからなんだよなあ」


「あ………………!?」


「昨日も…一昨日も…その前も、前も、人を殺したなあ。この手で。この両手で。ははは、ははは

感情がなくなった人間の目を見たことがあるか?本当に死んじまったみたいだぜ。お人形さんだお人形そん。こっちをみて笑うんだ。え?笑うっつっても『笑ってない』ぜ。

さっきまで助けてくれって悲鳴をあげてた人間がなぁ、……


『マスター、ご要望をどうぞ』…あんな完璧な顔して………はっはっはははっははは」


「え、ええ、え……………、ぇ………??」



「父さんは、仕事が出来ないからなあ。


きっと明日も、仕事が出来ないって、怒鳴られるんだろうなあ。

ああ、なんでこんなことになっちまったんだろうなあ。



…お願いだ。父さんのことも、救ってくれ…………この操りを、止めてくれ………」


✳︎

おちつけ。おちつけ、俺。

…つまり。今の状況は。

あの「造人」ってAIは、

機械で組み立てたというわけではなく…………


本当の人間を使っている、というわけか!?


細胞を抜き出し、脳を取り出し結合させる。

アナフィラキシーショックによって死亡するもの、人間の形になれなかったもの…

はたまた、知識は持ったが狂ってしまったもの。

それも、また違う造人になっているとか。


(…そして極め付けは。ーー)


…造人化した人間は、もとの人間に戻ることはない。


時代が進むにつれ、…


この国の人間たちが意志をなくして他人に従順になっていくのは単なる島国根性じゃなくて、この…

恐怖の研究が、密かに起こっていたからだろう。


社会の見えない力ってのは大きいし、覆ることはない。

多分、俺一人が今、

この情報を持って警察に出向いたとしても、

すぐに囚われて殺されてしまうだろう。


国民が、危ないということだ。

ということは…!


(密かに俺が番組を作って、これを報道するしかない!!!)


これ以上、犠牲者が

増える前にーーー!!!


✳︎

………


「酔った父親は、laboでの機密情報を、兄に漏らしたの。


造人は、実は失踪した人間で を作り替えたもの。

造人でこの世の中の人間たちを作り替え………最後、この国を絶滅させる。

造人になると、寿命が伸びる。だからその時に作り替えられた人間が、世代を超えて生き続ける奇怪な事件。…


この事実を知った兄は、少しでも多くの人間たちを救おうと、この情報を、発表会の作品にしたわ。」


「…なるほど」


「兄は、全て、動画にまとめて、…番組で流したの。


兄が受け持った番組名…


『実際どうなん!?都市伝説!』


…だったかしらね。


放送前にテストするんだけど、そこで適当なダミーを流して、局員たちの注意を逸らし、…

本来のこの情報とダミーをすり替え、全国放送に流した。


そして、局内が混乱になっている間…兄は逃げたわ」


「…そしたら、どうなったんだ…」


「予想はついてると思うけどね、兄は追い詰められ、研究員に殺された」


✳︎



…くそ!!


はあ、はあ、はあっ、はあ、



「待ちやがれ………!

お前、よくも、よくも………

触れてはいけないところを…………一般国民に報道しやがったな…!!!」



どこまで、声が折ってくるんだろ。

ていうか、どうやって俺が逃げている場所を知っているんだ!?


多分、逃げてる最中、俺がすれ違ってる人間の中に造人が何人か紛れ込んでて、俺の位置情報を研究所に垂れ流しているんだろうな。



(逃げなきゃ…)


とりあえず俺は全力で走る。

はやく、はやく………

だれの目にも届かないところに…!


✳︎


「兄は逃げた。

そして、逃げながら、情報を細かくわけて、いろんな場所に拡散したわ。

報道したあとも、SNS、掲示板、

チャット、その他諸々、

いろんな世代が、目にするように。拡散するように。


隠れながら、彼は、情報を流し続けたの。

自分のスマホの、命尽きるまで。ーーー


ーーそして最後ーーー



✳︎



「…っ、はあっはあっ、

ここまですれば、大丈夫だろ…」




逃げてきた先は………



………第一研究所の、建物の中。






「ははっ、バカだな…

飛んで火に入る夏の虫とは、今の状況を言うんだろうな。」



俺は頭をかいた。





(これじゃ、自分から

人体実験してくれよって

言ってるみたいなもんだよな。…ははは。本当に俺は馬鹿だよな…)




でも。

俺がこの情報を流してしまったが最後。

もう、家には逃げられないだろう。

残された家族がみな、俺が近くにいることで、危機に晒されるんだもんな。


(…これで)


俺はポケットからスマホを出した。

必死の思いで画面を叩く。




開いた先はーーー



「…5ちゃんねる…」




:通りすがり16:--------

『警告』


なあ、知ってるか?

信じてもらえないかもだけど

俺の話聞いて。

造人っているだろ、

本物の人間を使ってやがる

やべえよ、人体実験だ。


おそらく、昭和あたりの時代からつづいてる。


犯罪者、

犯罪者関連者、

ハラスメント関係者、

身近なやつなら


急に性格変わったやつ、

無感情になったやつ、



そんな奴からは、すぐに離れろ。

そいつは、多分ーーー


造人の、未学習だ。』



ーー送信。



「…これだけ、拡散すれば……………!!!」



ーーータッタッタッタッ………



…ああ。

もうダメだな。


多分俺、もう助からない。

足音の間隔からして、多分、もう………

5分とも持たないだろう。


(…紅葉…)


俺は最後に『あれ』を開く。


連絡先交換で繋がることができる、トーク用アプリ『main』(メイン)。



宛先:紅葉→

『もみじ!

勉強で忙しい時、すまん!


にーちゃんは、昇格が決まった。

喜べ‼️海外出張だ☆


しばらく帰れ

  な なるけど、心配す


 な 

  ◎

じゅけ

        がん   』

    








「ーーーおい」


「…!!!」







…父さん、仇をうてたかな?



----回想終了


「兄は最後、チャットの一種である5ちゃんねるに、テレビ局の過激な内容を投稿し、…そのあと無惨に撲殺されたわ」


「そして、抵抗虚しく、兄の流した情報は、ただの仕事に疲れた青年のいたづらになった。社会が全部、もみ消したのよ。


兄は、

あたしにLINEをよこしたまま、『公的な失踪事件』に、巻き込まれ消えてしまった。



会社も潰れて、社員もみんな、いなくなったのよ。失踪した。」


「…な…」


「多分だけど、私の兄の言う通り、みんな今稼働している造人の一部に取り込まれたでしょうね。


もちろんあたしは、母に連れられ、その時住んでいた土地離れた。

あたしはその土地の学校が、第一志望なわけじゃなかったから、まあ、離れても、何も不自由はなかったわ。


だけど、なぜか…追われることはなかった。多分………父さんが何か、対策してくれたんでしょうね。…


兄さんと父さんがいなくなってから…


静かにあたしも調べていたの。





ただ、事実を知った母は、

『受験を控えた高校の頃のあたしに対して、

父と兄は海外の会社に行くことになってしばらく帰ってこないんだ』って説明してくれたけど、当時のあたしでもわかったーーー


兄は、消されたんだって」


「…」


「造人共存計画。

そしてその裏の、密かなる『とある計画』…


…その計画に対して『脅威』に該当する人間を中心に、殺害、拉致。そして、その関連した人物も芋づる式に殺害、拉致。興味を持った挙句真相をついてしまった人間も殺害、拉致………


使えそうな人間は、生かしているでしょうけれど、真相をしろうとした奴らはみな殺害か拉致。

今もそれが、続いているのよ」


「…」



「その事件があってから、オカルト系統の番組自体なくなっていった…というか

なんとなくフェードアウトしてきた。

だけど、唯一残っていたのが、…


…今の、東京テレpoってわけ」


「…」


「そういった経緯で、

オカルト特集を取り上げていた番組を探し出してーーー

入社したのよ。

父と兄の仇を打つため。


そして、ようやく、

この事件の最大のヒント………

『黒岩和多留』。

彼を見つけた。…


あの人でなしな『冷酷な性格』、そして数世代前に現れている、『不可解』。


だから、あたしは、

この事件を解明するまで、辞めるわけにはいかないの」


「…そうか」


「あはは………ごめん。

ここまで語るつもりはなかったけど」


仁比山がうつむく。


(…なんで答えたらいいか、わからんな)


俺はなんとなく、だまって目せんをおとしーーー


「…ん?」


「どうしたの源介」


「ちょっとまて、このアルバム………俺の先輩が映ってる。」


「え?…どれ!?」


「これ。」


「まさか!

これ10年前近くの写真だよ!?

あんたの警察の先輩が、ってか一緒に乗ってきた先輩がここに映ってるわけ…まって。


完全一致級だわ」


俺のiPhoneに写っていた、『彼』………


逢沢悟。


それを見た途端、仁比山の顔が引き攣った。


「………ふん。なるほど。

あんたの先輩も、その時のことを知ってる可能性あるわね」


「逢沢先輩も造人かってか?」


「会わせて頂戴」

-----


-----

逢沢turn



「…はっ」


「気付いたかい?逢沢くん。まさかのこのこと、自分からここに戻ってくるとはね。」


「…やっぱり、あなただったんやな、…


内閣総理大臣」


「うん?ふふふ。

そうだよねー、僕は、内閣総理大臣なんだよねー…」


「日本を導く立場のあなたが、あなたが、なぜこんなことを…」


「ふふふ。

わかってもらえないし喋るのめんどくさいから喋らないよー。あっはっは。

でも、またあえてうれしいよ。よく戻ってきたよねほんと。」


(足に枷と、錘………

くっ…うまく体が動かせない。)


「…一階の下に、隠れ地下室があったとはな…

ここでやっとったんだな、…造人の実験を」


「そうだよ。一般人の目には触れさせないようにしたいからね。

あー、でも、惜しかったなー。このまま何も気づかずにいたら君は、もうちょっとで完全な未学習になるところだったのに。


ま、いいよ。

君は職務を全うできなかった。

今から君を処分するよ」


「…いいかげんに………

してくださいよ………!」



「そうだ。

…お前の奥さんは、お前が未学習造人だってこと、どう思うだろうねえ…???」


………はっ!!!


「や、やめろ…!

それだけはやめろ!


せめてもの幸せとして、彼女と一緒にいたんや!!!

俺が未学習だって話は、まだ伏せといてくれ!!!」


「あー、彼女、

さんざんお前のことを愛していたからなあ。

言ったところで、

彼女、この計画を受け入れてくれそうだとは思うけどなあ…?」


「…やめてくれ………」


「……ま、バラさなかったにしろ、お前が生きて地上に出ることなんて、もうかなわないんだけどさ


「逢沢 悟………

いや、…No.8964。


よく働いてくれたよ、…昭和の時代から


まさかここまで、意志を持つとはね」


「…その名前で………呼ぶな…!」


ーーがこん!!!!


「おっと…なんだい?

腕なんか差し出して。…

おなじみの毒物放射かい?」


「…殺してやります………」


「無駄だよ。

だって私………





統制者だもん!」




ーーがたん!!!


「………!!」



床が…開いた。



「じゃーん!!!

これなーんだ!」


「………これ、は…」


ーー

機械だ。


大きな圧延ローラーだ。

この部屋全体を分断するかのように、待ち構えている。

俺は慌てて自分の手を見る。ーーしかし…


(なんで、動かないんだ………?)



なぜか、放射ができなかった。

奴の細工か?

どうやって………?


「ただ殺すののも面白くない。

じわじわと締め上げてあげよう!」


そう言った、途端。



ーーがちゃん。

うぃぃぃん。



「…!!!」


機械が迫る。



「君が口答えするたびに、君の後ろにある危険な機械が、だんだん君に迫っていくよ?

その後ろにある機械、君の声にしか反応しないようにできているからね。」


「…」


未学習の『末路』か………


「…知ってるだろ?

この子も、…造人、『未学習』の、一人だったもの。

要らぬ知識を持ち始めたから、早々私がこの姿にしたのさ。

殺人機………

過程を話す

君も、わかるだろ?

造人の中には………


人間を追随し、徹底的に殺す。


もともと、本来がこちらの姿のはずだよ。未学習の『人間の姿』…その時効は150年。

150年かけて、未学習たちは自分の周りの人間たちとかかわり、情報を得て…


あとは…

関わった人間を、一人残らず抹殺する、『殺人機』になる。

『殺人機』…もう人外の姿だよね。

出会った人間の情報、それら全てを総まとめして、そいつら残さず殺すこと。


どうだい?僕の日本滅亡作成♪」


「…くっ………」


「君と機械の距離、

あと約42.8センチ。

この機械は10センチずつ前に進むから、君がせいぜい口答えできるのは、二言三言、くらいだねえ。



人間の肉体が、ゆっくりと、潰される衝撃…

君は想像したことがあるかい…?


君の体重は67キロ。

大体それを越したくらいの重量で押しつぶせば君は死ぬけど、念には念を入れなきゃねえ。

君は未学習なんだから。」



「…!」


「造人でも、痛覚があるからねえ。

しかも、造人+造人だ。さぞかし痛いだろう。

いくらごついとはいえど、自然現象や人間に殺されるのとは訳が違うんだ。」


「…や、やめろ………」


ーーーがこん。



「残念。知能は高いはずなんだけどなあ。心は操れなかった。

君は未学習だけど、本当に脳みそまで、『未学習』…

だったようだね…???」


「安藤…総理…」


「ん?」


ーーがこん。


「もう………やめて、ください………

こんなことをしても、貴方の、心は、満たされない…………


これ以上後悔をする前に、早く身をひいてください………」


ーーがこん。


「………」


「僕がそばに着きますから………

一生、地獄の果てまで、

ずっとついていきますから………

総理…ぐはっ」



ーーーーーーめちゃ。




「………愚か者め。

自ら装置の餌食となったか。

しかしさすが未学習。

体の一部が潰されただけでも、ちゃんと生きているんだな」



「………生きていますとも…

だって時代を見るために、俺ら造人は、何度も何度も世代を渡って、生かされているんやもん………

総理の考えを全うするまで………なんども



ーーー……………………」




「死んだ、か………」


汚い血だ。

臓物と汚物の臭気が、私の鼻をつく前に………



「…さようなら、No.8964」



私は踵を返す。



「さて、

完全体たちが、殺人機と化す時間は、

あと、どれくらいかな…?」


No.8964の血が、部屋中に充満している。

…早く片付けねばな。


ーーー♪♪

ぴっ。


「…なんだ?」

『…総理?今大丈夫ですか??』

「ああ。…どうやらNo.8964も、ダメだったらしい。

研究結果に追加しておいてくれ…わかったな、




………黒岩和多留」




-----

仁比山turn


とりあえず源介も、協力してくれることになった。


逢沢先輩はパトロールに行っているらしいから、今日は無理だったけど…

あとで源介が予定を立ててくれることになったわ。よかった。


(とりあえず、少しずつ、真相究明に近づけそうな気がする…!)


あとは、どうやって、

黒岩に近づくか、ね…


「…やあ」

「…!?、!?」


「こっちだよ、可愛いお嬢さん」


「…黒岩、若社長!!??」


「僕をお探しのようだから」


「………」


「君がなんで、この事件について、今更ほじくり返しているのか、ちょっと理解しかねるけど……」


「…」


「これには理由があるんだよ。知ってはいけない領域まで、君はどうやらきてしまったかな?」



「まあ、でも」



「テレビ局での君の働きは、かなり物凄いと思うよ。

なんてったって、君の評価は

鰻登りじゃないか。


番組の統制力、知識量、企画力そして、…


…人を惹きつける、その美貌」


黒岩はにやりと笑う。




「君は単なるその辺の馬鹿とは違うから、こちらの言い分を聞いてくれるなら、見逃してやってもいいんだよ。


どうやら君は、僕の悪口を延々と垂れていたみたいだし」


「わ、悪口なんて…」


「…………俺のことを言ってただろうがっ!!!!!!!」



「!!!」


「…だーいじょうぶだいじょうぶ。そんなに震えないでよ、ねえ?


でもまあ、よくその計画に気づいたね、君も第一危険人物ってわけだ」


「危険人物…?」


「おや、知らなかったのかい?」


黒岩が小首をかしげる。


「君とあの警察官が楽しそうにおしゃべりしてた、その失踪事件の話さ。

残念だったねえ。君のお兄さん。」


「…何を、しようとしているんですか」


「そんな怖い顔で見ないでおくれ」


「君も事実を知っているのだとしたら、黙っちゃいられないよね」


「なっ………な、なにを………





いやぁああぁああああ!!!!!」



-----

青井警察turn。(現在。)


一方その頃。


先輩: 「いやー、今日も疲れたな!まだ月曜か…

こんな日に当直とか、どういうつもりなんだろうな。ま、これが仕事だから仕方ねえんだけどもよ。」

後輩:「こんな夜に、連絡なんてめったにきませんよ。ここの人たちは人がいいもん。それにら、失踪事件だって、最近おちついてるだけじゃないですかー」


先輩:「だよなー。まったく。

絶対俺らこんなとこいたって意味ないって。失踪事件だって毎日起こってるわけじゃねえし。なんなら最近マジでないし。

なんなら造人くんが日常的に見守ってるってわけだろ?絶対人間がぱとろってるより安全だよ」


ーープルルルル!!!


後輩:「うわ、え、!?電話きた!?」

先輩:「うおっと、俺が出る!噂をすればだな、はいはい待ってねー!」



「はい、青井警察署です。

事件ですか、事故ですか?」


「…逢沢悟は帰ってませんか」


「え?」


逢沢…?


「…一昨日、パトロールに行ったっきりで、……………」


「…帰ってこない、んですね??少々お待ちを……」



----

先輩:「おい、逢沢って、今日……」


後輩:「…来…てませんね」


「え…」


後輩:「来てませんよ、仕事場には…」


「ど、どういうことですか」


先輩:「あー、実は昨日から、ぜんぜんこっちに来てないんですよ。

一昨日ここに来て、パトロール行って…それっきり」


「…」


先輩:「…もしかして、まだご自宅にも戻ってらっしゃらないですか」




「………はい」




「…悟の、奥様ですか」



「……………………はい」


先輩:「…すぐに、捜索願を出します。




待っていてください」



-----こらむ。

『はせがわくんの、ひとりごと』


やっほー。みんなー!

ここまで読んでくれてありがとねええ。


突然だけど、僕、仁比山先輩のこと好きなんだァ。


えーとね。


ぼくのポケットに一個ー。仕事場に一個ー。バッグの中に一個ー。


あとは小型のやつを何個か忍ばせてる…かな♪


え?


何を数えてるかって???


うーんとね、それは

ボイスレコーダー!


主に、仁比山先輩の机の近くとか、会話する時とかいつもオンにしておいて、

仁比山先輩との思い出を、徹底的に「録音」してる!♪


え!?!?

ストーカーじゃないって!!!

これはれっきとした愛情だよ!!!

仁比山先輩を危険から守らなきゃ難ないっていう使命感の表れだよ!!!!!


これがないとボク、到底生きていけないんダァ。

仁比山センパイの安全が確認できないと夜しか眠れない!!!(←普通)


「好きな人を救うこと」=「いい男、モテる男」!!!


たとえ恋が実らずとも……

いや、実るわけないけど………


僕は、


僕は…僕はァア(強制終了)


というわけで、

せーのっ。

「今日の教訓」♪

偉人感出してくよッ


「たとえ恋が実らずとも、相手を想うことをしろ。fromハーセガーワ」


…本当に想うことしろよ?(by源介)

良い子は真似すんな。

はーい。来月はこいつの素行がばれるぜぇ。楽しみにしてろよ。



-----


ーー次回予告。


『3番線、ドアが閉まります』


ーーーばたん。


『乾燥する目に、強い味方!

メニコントゥルータイプ、新登場!』


ーーここは日本。


「学校サボった」

「まじ卍じゃん」

「ねえ、今日裏道塗ってかね?」


ーー東京、渋谷。


『国民全員が住みやすい

日本を作り上げていきましょう、せーのっ、


【雄一郎氏で

『ユートピア』!】』


「目的地は」

「…三鷹市で」

「承知です、出発します〜」



ーーふおおおん。

ハイブリッドのタクシー動く。



天に聳える電光版と

ぢかぢか煩い広告塔。

貼り付けた笑みの女優とともに

俺の目の前を過ぎ去っていく。

それに蔓延る強めのイキリ徒は

もはや景色の一部となって

都会に病みと色味をもたらす。ーー



「ふぅ」



全くもって、いつもの風景ーー


全然、「平穏」的雰囲気。



「タクシー捕まってよかったですね」

「これで会議に間に合うな」

「計画の方は」

「順調さ」

「私たちの目的は…………


日本を滅亡させること



ですよね、…





内閣総理大臣?」




-----とぅびーこんてぃぬー


三巻目もどうかあっ!!!


頑張って書きますのでっ!!!


楽しみに待っててください!!!!

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