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不可解犯罪勃発事件簿。  作者: 武者小路霧雨。
1/6

B:バカなP:ポリスとM:ミステリー!

はじめに。


※この物語はフィクションです。

実際の人物、団体などには

関係ありません。


※この物語には若干の性描写、

グロテスク表現、暴力表現が含まれております。

苦手な方はご注意下さい。


※(おことわり)

この物語は、私自身が、自分のYouTubeアカウントにて一部動画化しております。


※挿絵の挿入の仕方、わからないので

連携したTwitterに上がってます!!笑笑





「私の改革。それは……

『人類をさまざまな危険から解放させ、個々の尊厳を守る』………え、おほん、

まあ、言っている意味がわからないかもしれませんが、要するに、私が開発した、完全人間型AI………「造人」を使って、今を生きる皆様の外部危機を少しでも減らそうということ。

それが、私の改革です!



雄一郎氏で、ユートピア!」







5ちゃんねる。にて。

検索エンジン:『失踪事件』


通りすがりの人268:

「おいおい、おせえぞ管理人」


ナナシノゴンザ342:

「お前が遅れてどうすんだよ」


ニイヤマ01:

「あー、ごめんごめん…


今ニュースまとめて、仕事終わって、ちょうど今ここに帰ってきたの」


無名さん56:

「記者のお前は大変だよな」

寒い人89:

「そんで、何か分かったか?」


ニイヤマ01:

「ーーううん、全然」


ナナシノゴンザ342:

「お前本当に記者かよ」


通行人89:

「まあまあ」


隣のナナシ。248:

「ただ、また通りすがりの人間?らしい?

まあ、多分野次馬だろうけど。

その人もいなくなったって」


通行人の通行人246:

「ああー。

なんか裏山の崖からおちたってやつ?こないだニュースになってたな。あれ、管理人もまとめたっけ?」


ニイヤマ01:「親が捜索願い出して、見つけた時にはもはや崖下。

体バラバラ、内臓ぐちゃぐちゃだったって」


通行証568:「うへえ」


社畜さん480:

「でも、変だよ。自殺するような感じの人じゃなかったっていうじゃん。」



青山さんです420:

「それ周りの奴も言ってたよな。

全然死にそうじゃなさそうなやつの自殺だって。


なんだろうな、気持ち悪……」


佐々木です356:

「どうやら現場野次馬して、そのせいで犯人に見つかって殺されたっていうらしいじゃん。


なんで野次馬なんかしたくなっちゃうんだろうなー

なんか不可抗力?でもあんの?


名無しです69:

「なあ、管理人。


お前は情報知ってるんだろ?」






………。


ーーぱたん。


パソコンの蓋を閉じる。

ああ、瞼が、痛い……


今日はちょっと目が疲れたな。



「失踪…事件………」



(…失踪事件の内容だって?)



……………。


「そんなもん、こっちがききたい…」




----

不可解犯罪勃発事件簿。

----


✨✨✨


20x x年。12/24


『聖・ユートピア事件』

→不可解団体内閣襲撃テロ事件。

官邸内にて、内閣殺人未遂が起こる。

その犯人「服部政景」(仮名)を、現内閣総理大臣の所有する、限りなく人間に近いAI『造人』により、撃退に成功。


内閣総理大臣:安藤雄一郎

ーー政策目標。

:「研究者が、日本を救う!!」

「病原体や感染症、また外部機器(犯罪)から

我々人間を守る…造人(完璧万能人間型AI)の増殖。」

その造人の研究のために、

理科学研究所「Steam Labo」を増築すべし。)


登場場所


・Steam labo:???


・東京テレpo:「N」のつく番組の、その次によくみられている放送局。(部類は民放)

代表作に体験型心霊番組『キープアウトになる前に』がある。


✨✨✨


造人計画

国民を外部機器から守るため、代行して危険な仕事を受け持つ、『完全人間型AI』を、日常生活に導入するという、安藤雄一郎氏の政策。


主に工事現場、土木作業、原子力発電など、危険が伴う分野での仕事をなんでもやってくれる。


彼らはどこからどうみても人間の風貌である。あまりに似ているのでたまに本物の人間と間違えられることも。


マリッジブーム:謎の失踪事件が勃発してから、恐怖からか婚約者数が膨大に増加。「マリッジブーム」と名付けられ、現在もその増加は続いている。

なかには単純に「事件が怖いから」という理由だけで結婚する人もいるくらいだとか。


造人機能


・機能:危険と判断した相手を追随、必要ならそのまま攻撃する。

マスター(命令主)の言う事以外、一切聞かない。


・機能②(「認証」):命令主と言われる、「マスター」を決定する。人間でいう脳の役割を果たす。

ここが壊れると造人としての機能を果たさない。


・機能③:

視線を合わせるだけで、その相手の心拍数や骨密度、血液型、その他諸々の人物情報を把握することができる。


・「心臓部」:完璧に人間に見せるための「調味料」という隠れ機能が入っている。内容は秘密。左胸に厳重にロックされてるとか。


・「爆破装置」:

人体に最も危害を加える「細菌」が充填されている。量によれば重傷から、死亡に至る。

主にマスター(命令主)に危険が迫った場合、敵とみなした生物に放出。

人間で言う、「内臓部分」に猛毒作成機能が付いている。食物を毒に変える性質があり、いざという時に毒を溜めている。


◎気になる認証方法: 額をくっつけ、操りたい造人の「虹彩」を、3〜7秒見つめること。

認証成功したら、『認証しました』と、言われる。



あとは普通の人間と同じ。

ご飯も食べるし睡眠もとる。

普通の人間より、「タフ」なだけ。


登場人物


〜青井警察署〜

・日暮里源介(26):警察官。三島とは親友同士。


・三島亮平(26):警察官。源介とは親友同士。



・逢沢悟(25):源介の上司。底抜けに明るく無鉄砲&破天荒、しかしコミュ障。集団行動が大の苦手で、孤独を好むが妻のことは溺愛している。


・逢沢円(23):悟の妻。悟とはマリッジブームに則って婚約した。心配性で、無鉄砲な悟のことを気にかけている。


〜東京テレpo〜

・仁比山紅葉(26):東京テレpo」のアナウンサー。源介と三島とは、学生時代の顔見知り。


・長谷川小太郎(24):東京テレpoの新入総務職。冴えない感じだが毒舌。仁比山のことが好きで、常に録音機を持ち歩いており、その都度仁比山の行動を記録してたり…。


・黒岩和多留(29):東京テレpoの次期社長。

酷いパワハラをする事で有名。


〜Steam labo(理科研究所)〜

・安藤雄一郎(45):現内閣総理大臣、兼、Steam labo研究所長。


・藤崎周平(30):安藤の第一部下。造人研究成功とともに失踪。


・三島清一郎(83):三島亮平の祖父。Steam laboの元研究者。社交ダンスが趣味。


・羅門目鉄郎(50):Steam labo、現研究者。

安藤内閣の側近。彼の右腕的存在でもある。





〜〜造人〜

一軍:完全体。危険地帯で働くことができる。めったに壊れない。


補欠…完全体に近いが、壊れる可能性があるもの。


未学習:「完成前」の造人のこと。善悪の判断が備わっていないので、「生きる兵器」とも呼ばれている。つまり危険度マックス。


・晴明:安藤氏の息子的存在。造人計画で一番最初に製造された。「完全体」の一人。


・太一くん:青井警察署で働く造人。

「補欠」の一人。



・久遠寺弥夜:???


備考欄:


◎造人、そして、ここで出てくる「団体」とは。


造人は、「はるかに人間に近いAI」という存在であるが、その中に、本当の人間も混ざっている、という。

しかもそれは、「日本滅亡」を望んでいるといわれる「偏った宗教団体団体」の集団×Steam Laboの一部研究員の仕業であると言われているが…?(真相はいかに?)


✨✨✨



✨✨✨

----


第一巻。


『造人の世界と失踪事件』ーー



えー、速報です。

研究途中の造人を、Steam laboが一部、逃していたと、報道が入りました。

逃した造人に関しては、「未開成の造人」だそうで、心臓部となる判断部分を欠如したまま、逃げ出したようです。


なぜ逃げ出したかという理由に関してはまだはっきりしておりません。


えー、この事件について、Steam laboのリーダー、「羅門目鉄郎(らもんめ てつろう)さん」にお聞きしました。えー、あ!羅門目さん!!!………羅門目さんまって!!!!あ、はい。はい。………


………すみません、羅門目さんに追いついて聞くことができなかったので、羅門目さんの部下であるSteam laboの関係者の方からたった今預かりましたメモを読み上げます。……


「………何をしでかすかわからない。ただ、普通のロボットなどと違って誤作動が起こることはないと思う。念のため、一人で行動することがないように気をつけて行動してください」


とのことでした。


………





ーーープルルルル、プルルルル。



「…はい」

「ーーもしもし」

「…どうした?」

「うわあ、ひどい対応ね。

わざわざ旧友が電話かけてきてんのに、もうちょっとリアクションないの。相変わらずの冷血漢」

「…ニュース見てたんだよ今。ちょうどテレビ前にいんの」

「あ、そうなの。

お暇そうだわね公家人は」

「…要件はなんだ」

「そんなお暇なお巡りさんにお仕事お頼みしたいんだけど、

ちょっとあたし今困ってて。


悪いんだけど、………

助けてくんない?」


「あ?…

仁比山が相談って、珍しーー」


「源介!源介ー!!!」


「……ごめん。話は後で聞く。

今呼ばれたから、ちょっと待ってな」ーー


…………


…………

源介with三島turn

現在地:青井警察署内、3階。

(当直室、寝室にて)


「あーやっと当直終わった!!!長かったあああ…平日の当直ほど疲れるものはないぜぇっとお。ま、明日は華金だし、午前で帰れるのはいいな」

「おい、、、もうちょっと

丁寧に座れよ。椅子。今ぎいっつったぞ。署の備品だろ。壊したら、署長が怒るぜ」


彼は、

椅子に思い切り寄りかかった。

体重移動の金属音が、それの古さを伺わせる。本来なら、「椅子」というものは座るものだし寄りかかるもの。使い方として間違ってない。ーーしかし。



「体重をかけ、座る」


という本来のお役目でさえ十分に果たすことが出気かねるような、猛烈な音の軋みという名の「断末魔」をあげている。


普通の体躯は耐えてはいるが、ものすごい体躯の持ち主が、知らずに腰をかけてしまえば、一発アウトは免れない。


ーーとまあ、椅子の心配はさておき。


「はあ…」


椅子に座るは、俺の友人。

三島亮平が、

めんどうそうにため息をつく。




ここは、青井警察署。


主役はもちろん今喋ってる俺。


日暮里源介っていいますwよろしくwww


そして椅子に座ってる奴ーーー短気バカでおっちょこちょいな、

三島亮平。26歳。


警帽の中に隠されているツーブロックの髪型は、彼のお気に入りらしいな(どんな情報)。


「源介ってば」


「う、…あ??」


「もーさっきからよんでるのに。何ぼーっとしてどっか向いてんだよ」


「あ、悪りぃわリィ、こっちの話だったわ」


「こっちの話ってなんだよ。てか報告書書くのてつだって?」


「いや断る」


「ううーーあー!」


「なんだよ」


「俺だけ当直なしのところに配属されねえかなあ!!」


「はあ………お前毎回当直当たるとそれほざいてるよな……」


「だって本当なんだもんー。

文章書くの苦手な俺にとって、当直報告書書くのほど苦行はねえよ」


「読書感想文ですら友達にやらせてたくらいだもんな…

てかもしかして、そんな理由で俺をここに呼んだのか???」


電話中断して損した。


「いいじゃんお前、今日休暇なんだから。

てかなんで休暇とったのに署内うろついてるんだよ。

あー、あと、聞いたぜ??またなんか表彰されたって?

道端で電話につっかえてるお年寄りを助けたって話じゃねえか」


「あー、なんか聞いてたら詐欺の内容っぽかったからさ。とりあえず電話盗み聞きして邪魔したってわけよ。

あと今日署内うろついてるのは単に忘れ物したってだけ。ほらこれ。『心理学の本』」


「………さらっといってのけやがってこの野郎…これで性根がクソ男じゃなければどんなにいいことかよ………」


「なんでそんなこと言うんだよ」


「その右手に持ってる本のせいだねきっと。何が心理学だよエロ本じゃねえか」


「心理学という名前のエロ本」


「このむっつりめ…こいつの本性、なんで誰も気づかねえんだ??


あー、仕事と不平等のない世界に、誰か連れてってくんねえかなァ。

…あ、できれば女神様で」


「………馬鹿なこと言ってねえで仕事しろ仕事を。おめえも思考が変態じゃねえか。そして人に頼るなこっちみんな。相変わらずガキなんだから」


……。


三島、こいつは………どうやら、「当直用の報告書書くのを代行する」という理由だけで、俺をここに呼んだらしい。


(三島のやつ…………なんか友達としていやな奴だなお前………たったそれだけの理由で呼び出された俺って一体。ま、俺も人のこと悪くは言えないけど。

性根が悪いのはほんとだし)



「これこそ造人くんたちがやってくれればいいのに、「これは三島さんの仕事でしょ」って!絶対手伝ってくれないんだぜ。ズルまでさせてくれないのって。頭脳が人間に近すぎるのにも程があるよな。ねえ、太一くん???」

『三島さんの仕事でしょ。俺たちが有能だからってズルはいけませんよ』

「ちぇー。」


「太一くん」が、ふっと笑った。赤い瞳孔がきらりとひかる。


彼は、「造人」である。




ーーこの造人、とは。


現内閣総理大臣、「安藤雄一郎」…


彼の研究成果ーーー「完全人間型AI」。


令和時代から100年が過ぎ、変わったこと、といえばーーー


①個人の尊厳がさらに守られ、


②コロナの上をいくくらいの「ウイルス」がうじゃうじゃ出、


③治安………危険度が明らかに「高く」なった。


(単純に

令和よりも法律が厳しくなったからサイコパスが増えて犯罪も増えてんだと思うし、

令和よりも医療が発展したからウイルスも強化してったんと思う。)


それを止めるのに掲げられたのが、彼の「造人計画」。


「造人が人間を守るだと!?」

「常に監視されてんのかあ」

「AI共存社会かよ!?考えただけで吐き気がするわ」


最初国民は不満だった。


ま、それもそのはず。


いくらノーベル賞受賞者だろうが、内閣になるとなると、話は別物、話の内容は『絵空事』。


一体誰の差金か、罷り間違って研究員が、内閣総理大臣なんて………

しかも変な政策かかげちゃう辺り。


はなっからみんな信用しないのも頷ける。

実際俺もそうだった。


でもあまりにもたたかれすぎて、


「かわいそうに………」



と思ったのも本当であるがw


何もできないまま、

不信任に突入かーーーー


そんな中。



『例の事件』が勃発する。




---3ヶ月前。


「きゃああ!!」

「うわあーーー!!!」


日本。東京。

首相内閣官邸内。


いつもは静穏な官邸内、

今日は「戦場」と化していた。



「うわぁぁあああ」


「た、たすけてええええ」


暴動そしてテロ、勃発。


重役たち、「人質」。

議員たち、「立ち往生」。


「うらぁああぁああ!!!

内閣、死ねえぇえええええ!!!」


テロリストが、叫んでいる。


刺激すれば、「終わり」。

刺激しなくても、……「終わり」。


八方塞がりの状況下、

彗星の如く駆けつけたのはーーー


「ご子息」を連れた、安藤総理。


「………安藤、総理…!?」

「…」

「やめてください!危険です!!」

「いいや。私は大丈夫だ。

………」

「なに、いってんですか!

ご子息と早く逃げてください!」

「ここで挽回させてくれ………

内閣の仕事、果たさなければな。」


………さあ、"セイメイ。

あの人を、"止めて"くれるね?」


『Of course…my,master.』






all:「なんだ、ありゃ…!?」

「あれが造人か…!?」

「無理だ、あんなの

壊されて終わり………っ」


男:「安藤総理、みぃつけたぁ♪」


all:「…!!!


あー…見つかっちゃったよ。

不信任どころか、ありゃ死ぬぜ」





内閣:「…さ、セイメイ」


晴明:『YES』


----


男:「アァ!?なんだお前!?」



セイメイ:『ターゲット、発見しました。』


男:「へえ、こいつがお前の研究結果?人間の形したロボットじゃねえか!!!

一体どこが特別なん…………」


セイメイ:『ナウローディング………

殺傷必要性があるか、確認中です』


男:「…さ、殺傷?」






『爆破装置ーー解除。

充填機能ーー「…え?」放出します「待て、ちょ」

皆さん下がって。』






ーーがこん。



all:「なっ………!?腕が、折れて、…



な、中から、…銃!??」



晴明:『…作動』



男:「待おい!!!



ーーーーどぉ







………んんん


-----





「すごかったよな、あの事件!!!

造人の中で充填してあるやばい細胞を染み出して、犯人の腕をもいじゃったんだぜ。

『of course』…!!!

超かっこいい!!!」





………えーと。


状況を分かりやすく解説するとだ。


まず、

首相官邸に、テロリストが侵入。

日本が大嫌いなこの男、どうやら内閣を暗殺するつもりだったらしい。


逃げ惑う議員たちの中、登場したのは、…………獲物である、安藤総理。


暴れて飛びかかろうとする男。


そんな男に対して総理は"ご子息"…いや、「晴明」と呼ぶ、人間型AI「造人」を、男の前に連れ出した。


そして………


造人が腕をかかげた瞬間、根本ががくんと折れ曲がりーーー


男:「…うわ!!!」


謎の液体が噴出。



それが男の腕に当たったーー

瞬間。



男:「あ………え?…………

……ぎゃあぁあ!!!!!」



男の腕は見事に「もげ」、大声をあげそのまま気絶。


ーーーまるでSF映画のように、みごと鎮圧してしまったのだ。




この、

『聖・ユートピア事件』により、

造人の「性能」は、国民に知れ渡った。


人間に対する全ての危険を「退ける造人」。総理が作る、造人(かれら)がいれば、我ら人間、敵なし。


殺人、傷害事件から被害者を守ることはもちろん、危険を伴う仕事は全て造人が担っている。





そんなこんなで、今や総理は不信任どころか、日本に絶対なくてはならないヒーロー的な存在になった。(人間との共存をうまく果たしているのも事実。)




主人の命令を聞いたときの、造人の応答文句、


『Of course,my master』


それを真似しているあたり、すっかり三島も「虜」である。



「てか三島の所有物だろ太一って。造人の操作方法、網羅してんじゃねえの?」


「あ、俺の所有物じゃないよ。正確にはじいちゃんのなんだ。じいちゃん、スチームラボの研究員だったからな。


太一の操作方法は全部、じいちゃんが知ってるんだ。だから俺でもわかんないことだらけだよ太一にかんしては。


ね、ね?

あれ、

『太一』もできるの??」


『まあ、一応…完全体ほどではありませんが』


「あれ、何?

何噴出してんの???

あとどうやって犯人だって判断してんの??」


『ああ、簡単に言えば毒物放射です。

犯人と、そうでない人の区別としては、目だけでどうかわかります。


我々造人と、御人間様が、瞳を合す瞬間があれば、もはや判断出来ております。』


「!?すげえ!!

詳しく教えて!」


『えっと……


人は興奮すると、アドレナリン値が上昇し、血圧が上がる…

これはご存知ですよね?

ここでは色々と説明が面倒くさいので省きますが、…


それ以外にも、人間様たちは感情の動きや考え一つ、行動一つで、血流量や唾液、細胞の動きなどが細かく変化するんですよ。


本当に鎮圧すべき人物かどうか、目の前にいる人間の、血圧、血流、心拍数から、われわれは判断しております。ーーここ、目でね。

我らの虹彩には真実が映る。

間違いなどございません。


判定できずにまかりまちがって無実の人を殺しちゃったら大変ですもの。』


「すげぇえええ!!!かっこいいいい!!!」


『ふふふ。それ程でも』


…物騒だな。めっちゃ身の毛がよだつような会話してやがる。


俺決めた。絶対造人(こいつら)の敵にはならなねえ。絶対。



「そういえばさー、聞くとこによるとさ、危険地帯で働いてんの?造人て」


『ああ、そうです。』

「たとえば?火山研究とか?」


『そうですよ。あと、地層とか災害マップ作りのために断層見に行ったり、コンクリート工事とか、色々です。

重装備は必要ないです。造人ですから。

人間様には危険なところでの労働ですよ。現に私の仲間たちも、そこで働いております』


「ほええ。なんかすごい」


三島が目を輝かせる。


「太一はそこには出向かないの??」


『私めのような造人はまだ、完全なる完成体ではないのですよ。私は一軍より機能がちょっと劣ってるんです。

危険地帯には、突出して優れた高性能の方「一軍」たちが、選ばれていっているんですよね」


「一軍?」


『高性能な造人です』


「ええー?太一も十分高性能だと思うけどなあ。」

『左様ですか?』


太一がぱちりと瞬きをする。


「目は綺麗、肌はツヤツヤ、頭脳はめちゃ高、人間(ほんもの)みたい」

『はは、恐縮です』


………(確かに。)



俺は横目で『太一』を見る。

…うん。

完全に人間にみまごうくらいだ。



つまり、ルックスが「超人間」。

目の潤い、肌の質感、髪の生え方といい、めちゃめちゃ本物臭いんだ。


そしてこの瞳。


機材の光が少し漏れてるからか、彼らの瞳は赤いのだ。ま、「赤黒い」って表現の方が合ってるな。

だから見る人によっては結構不気味に見えるかもしれない。いや、不気味だけど。


「よく見れば」、人間と間違うことはない。よく見れば、ね。



しっかしなんでこいつは一軍認定されなかったんだろう。どっか不具合でもあるんかな。見たところ全然そうは見えないけどど。


三島と太一は楽しそうに話している。

(…物騒に感じるのは俺だけか…?)


とにかく。


あの事件があったからこそ、内閣は不信任にならずにすんだ。内閣の作り出した造人は人間にとって、『魅惑的』存在と化したからだ。


(作り方が内閣と、その仲間たち…Steam laboの人間たちしか知らないんだもん。そりゃそうだよな)



造人の「判断」と呼ばれる、心臓部の中に、『人間を敬う』機能を入れることで、人間を危機から守り、ただし、人間の前にはでない、という、なんともちょうどいい距離感。


互いの存在を消し合うことなく、均衡を保った上での、共存。


これをうまく果たしてるから、うん、すごいもんだ。




「…あ、そういえば源介」


三島がこっちを向く。


「報告書なら書かねえぞ」

「あーもう違う話だよ!…あの事件からだよな?

なんか不審死が増えたの」


「あー…三鷹市の?」



そう。ーーー


造人事件が勃発して、

内閣立案、研究所増設。

造人進出改革が進むと同時に、

「謎の失踪事件」が地味に、あちらこちらで連発していた。


場所はというと

俺らが住んでる東京都。

ビル街を連想する、東京の一部とは思えないほどの、自然が豊かで、のどかな場所

ーー「三鷹」。


その裏山でーー

「連続不審死」。


犯人はいまだ、見つからず。




しかも死体は。


すべて、「変死」。




内臓が綺麗に抜き取られてあったり

骨の一部だけ何故か外れて

見つからなかったり

血管がちぎれてバラバラにされてあったり。


もはや事件が多発しすぎて

手に追えなくなった三鷹市は、

青井警察に応援を頼んだ。


警察庁の総監、八神正弘の言葉によると。


八神「この事件のことは警察がなんとしてでも解決しろ!!!造人とやらに頼るんじゃない!!!」


大捜索隊を創設し、隊員に捜査に向かわせた。


しかし。


「全員、死亡」。


ミイラ取りがミイラになった。


八神「やっぱり造人使って…」


あんなに否定してた造人をついに派遣。総監は、プライドを捨ててしまった。一筋縄ではいかないと判断したのだろう。それもそのはずーー仕方ない。


『〜犯人を捕えた、または重要手がかりを見つけた方には、賞金1000万円を。ーー三鷹警察署』


そして犯人が見つからないから

よくある「犯人を突き止めたら1000万円」という賞金政策も生み出した。(現実は捕まってないのだが………)


まあ、何かあったらとにかく、造人に頼れという命令をだし………


彼はそのまま、「消えて」しまった。


「八神さんもひどいよなー。

俺ら警察に丸投げって。無責任にも程があるよ」


「まだ解体されてないの?捜索隊ってやつは」


「命令撤回してないからな,一応、休止してるっぽいけど…


冷やかしで入る奴らがいないかのパトロールと、周辺調査はやってるっぽいな」

「へえ」

「でもさー…」

「ん?」

「俺、そんな単純な事件ーーー

じゃないような気がすんだよなー」

「…どういう意味だ?」


三島は眉根を寄せた。

彼が考えるときの癖である。


「なんかその失踪事件……………犯人がいる、とかじゃなくて………全て、雄一郎氏が怪しいって言われてんぜ?」

「そうなの?初耳」

「実際雄一郎氏の重役が一人行方不明になったじゃねえか。あれ、雄一郎自身が隠したとか噂だぜ?ほら…なんだっけ、

藤崎なんとかって人」

「ああ…」




藤崎周平。

Steam labo第一研究所に所属している、めちゃくちゃ切れ物の男。

安藤氏の右腕的存在ではあったものの、「造人実験成功and完成」を境に、なぜか忽然と姿を消した。

年齢は確か…30近かった気がする。

失踪事件に巻き込まれた、っていうわけでもなく、その理由は謎のままーー




「造人のアイディアを最初に研究したのは彼なんだろ?だとしたらやっぱり怪しいじゃねえか。

自分の研究が成功したのに消息を断つなんて。」


「あー」


「そして、何より、「未学習」の造人逃しちゃったっていうじゃん!!!」


「単純に色色あったんだろ。あーゆーとこでは権力争いとか大変そうだからな。

少なくとも、捜索願が出てないんだから悪い噂とかじゃないと思う」


「そうかな…」

「…三島?」

「ん?」


「…あのな、正義感が強いのはいいことだが、何もなければ関わるな。……………関わったところでいいことねえよ。」


「…わかってる。


「ならいい」


一瞬沈黙する。

本当にわかったんだろうかこいつ。三島、結構衝動的に自分から調べる奴だから心配である。

(危険だって言われてんのに興味本意で自ら危険に出向いていく奴な。)

なんで心配かって?

だって止めなかった俺の責任になるじゃん………


「…お前東京に向かうのか?」

「友人に頼まれてな」

「電話の主?」

「そ。お前が通話を妨害したやつだよ」


「太一、お見送りしてやってよ」

『承知しました』

「…え、…見送りなんて必要ないのに」

「そーゆー好意的なもんじゃねえよ!

お前が友達の頼みのために東京行くとかじゃなくてデート♪とかしてないかどうか見張ってやるんだッ!!」

「……手伝わなかったからって根に持つなよ………」


「…ま、単に、

お前が心配だからな。

最近そーゆー事件多いじゃん。

太一についてきてもらったら、犯人に襲われないだろうし」


「俺男だぜ」


「男も女も関係ねえし、犯人がどこに潜んでいるかわかんないのっ。

太一、とりあえず護衛して!」


『はい』


「……………」



-----

源介turn


現在地:

青井警察署、自家用車安置所にて。




「よいしょ…っと。」

『お荷物、お持ちします』

「ああ。頼む…ありがとう」

『それでは、私は戻りますね』


「……」


俺は『太一』を見つめる。


『どうかいたしましたか??』


「マスター以外の世話も最後までちゃんとするんだなって思って」


『三島マスターの命令ですから。それにしたがったまでです。ストライキなんかしませんよ』


小首を傾げた。

思わず俺は後ずさる。


『あはは。毒など噴出しませんよ。首を傾げたからと言って』

「だよな…ごめん。

なんか信用できなくて。」


『大丈夫ですよ。

ま、三島マスターが暗殺をしろと命令していれば従いますが』


「さらっと怖いこと言わないでくれよ悍ましい」


ーーー人間じゃない。


かといって、「AI」でもない。

ちゃんと知識を持ってる存在。

不思議な存在。


『まあ、無理もありませんよ。

だって私たち、この世界に来たばかりですもの。

ま、数ヶ月もすればきっと慣れることができますよ』


「…そうかなあ」


マスターの言うことは、「絶対」。


そして、彼らは素直に従う。



あいつ(三島)の重大責任じゃねえか。


つまり今、三島がこいつのマスターだから…


俺に対してなんかやばい命令でもしてたら………


(いや…)



信じてるぜ三島。俺はお前の友人だろ。


なんか怖いので心の中で祈っとく。


「…っ」

考えただけでも悍ましい。


なるほどだから公平を重んじる、有識者とかちゃんとした企業とか。とこにだけ支給されたんだな。


少なくとも、そんな有識者しゃや、Steam laboの研究者から「近くにいるやつ恨んでるから造人に代役頼んで人殺しする」やつが現れるとは思えない。…


つまり三島が俺の命を狙ってるとは考え………にくい、よな???


(やばいやばい、余計なことを考えんな。

別の意味で自分が怖い。)

さっさと出かけよ。


……



「やっほー。源介」

「あれ、逢沢先輩!?」

「よー。」


よく聞く声に我に帰った。

うわ、こんな時に限って嫌いな先輩に会うなんて。

今日もしかして俺運悪い?


「要請?」

「いや、ちょっと偵察に」

「偵察?」

「友人が困ってるもんで。その人の会社に行って色々調査ですよ。…先輩は?

署内で日勤業務のはずじゃ」

「いや、それがさー…

周辺パトロールに、ちょいと出向かな」

「え、今からですか?」

「そうなんだよー

上司がうるさくてな?

最近失踪事件が落ち着いてきたからといって、まだそんな簡単に人を要請しちゃいけないと思うんだけどな…行けって」

「はあ………」


大変そうだ。


多分この人ハブられてるから無理くりパトに行かされてんだな。

部下の俺が言うことじゃないけどめんどそうな仕事って大体この人に回ってるから。


「ちょうどよかった。

源介お前休みならさ、俺のパトロール手伝ってや!」


「えっなんでそうなるんですか」


「だって一人より二人のほうが安全やん、それに俺一人は怖いんよ」


「そりゃ、そうですけど………

…ってか、俺今日休日!有休です!休ませて下さい訴えますよ!?

…あとフツーにバレたらやばいですって!!怖い?いや、頑張ってください!!!」


「大丈夫だって!!!

パトロールの時間帯もきまってないし!お前送るだけ送ってその足でパトロールすれば良いってだけだし!!」

「いや、そーゆー…」


「じゃ、これなーんだ?」


「…ア"ッ!!!」


ーーー心理学本(エロ)!!!!!!!



「…イッ、イッ…

イツッのマにッ…………!!!!」


「へえー、源介って、こーゆーの好きなんやなー、うわ、えぐいなこれ、曲線ばっかやん」


「…アッ、…アッ…く、くそ!!!///」


「巨乳ばっかり。バラしちゃおかなー」

「やめろ!!!!!」


「…じゃ、ええよな?」

「…わかりましたご一緒します」


………

ち、チクショーーーー‼︎‼︎


辛い。辛すぎる。

辛すぎる。まじで辛い。


「え、…じ、じゃあ先輩。

だったら護身用に、太一くん連れてってくださいよ」

「え?太一ってあの太一?」

「…プロぼっちの先輩の解釈と異なるかもしれませんが、話題になってる造人くんです」

「………そこまでディスらないでくれよ………さすがにボッチかましてるけど世間の流行にはついてけてるぜ………」


あ、ちょっといじりすぎたか。

先輩が困った顔をする。


「ええのん?たしかにこの子おったらもし万が一何かあったとしても俺の身は守られるだろうけど」

「ここで先輩を本当にぼっちにして、何かあったとしたら流石に俺の気が引けますって」

「でもこいつ、マスターのゆうこと以外聞かんって話やろ?」

「………」


そうだった。

俺は太一を見るーーーすると。


『僕のマスターである三島さん、………三島清一郎さんからは、この警察の人達のことは皆守れって命令あります。だからマスターを離れて、ちょっと乗っていくくらいなら全然問題ありませんよ』


にこりと笑った。


「…らしいですよ持ってってください持っていきましょう」


とりあえず二人の空間は避けたい。


ああ、…俺の休日…………


-----


悟side:今朝の回想


「ホッカイロ、持った?」

「うん」

「お弁当持った?」

「持ったよー」

「懐中電灯は?」

「持った」

「早く帰ってきてね」

「連絡するから」

「何かあったら、ええと、ええと……」

「…全く、心配性やなお前」

「だって、だって………っ。

失踪事件パトロールに、悟が要請されるだなんて………」


「だーいじょぶだって。そんなすぐに行方不明になるわけないやろ。」


俺は新妻の頭をなでる。


「絶対真相解明したる。

新婚旅行、どこいきたい??」

「…もぅ」


「気、………つけてね」


「…すぐ、帰っから」



とぅーびーこんてぬー。






-----

あとがき。


…とまあこんな感じで造人と共存する世界。

みんなー。ついてこれてるかな(拙くてすまん)

ついてきた人、ありがとう。

あらためて御礼申し上げますぺこり。


あ、そうそう。


まだちらっとしか登場してないけど、失踪事件「Steam labo、第一研究所」ーー


本来、危険だから、入っちゃいけないことになってるんだけど………



なんと逢沢先輩に続き、

源介くんも仁比山ちゃんも、色々あって行っちゃうのよねー、あの施設の、中に。

 

本当無防備。笑


…ま、もしよかったらまたちらっとでも

覗きにいらしてくださいや(笑)


じゃ、続きは2巻目に突入です!ここまでついてきてくださった人、本当にありがとう。じゃ、

またねー♪

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