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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

ワガママメンヘラ束縛系幼馴染に絡め取られた僕が、その糸を断ち切るために最期に勇気を振り絞ったお話

掲載日:2021/03/14

「ねぇせーちゃん、今日も他の女の子のこと見てたでしょ」


 学校からの帰り道のことだった。

 いつものように夢奈と一緒に手をつなぎながら並んで歩いていると、彼女はそんなことを言いだしたのだ。僕としては心当たりがまるでないため、とりあえず否定しておくことにした。


「……見てない」


「ウソ。見てた。絶対ユメ以外の子のこと見てたよ。ユメ、そういうのわかるもん」


 そう言って夢奈は頬を膨らませる。

 彼女のことをよく知らない人からすれば、それは他の女の子に目移りした彼氏に対し、可愛らしく嫉妬してるように見えるのかもしれない。

 ちょっとした笑い話。心温まるエピソードってやつだろう。ただ、僕は違った。


(またか)


 たった三文字。それで収まる感想しか抱くことが出来ない。これまで散々繰り返してきたやり取りを、今日もまた繰り返していることに対する倦怠感がそこにある。

 可愛い嫉妬なんて言葉ではとても片付けられない、ウンザリした気持ちでいっぱいだ。

 だけど口にしたところでなにも変わることはない。むしろヒステリーを起こして事態はより悪化することも長年の経験から理解している。

 それがわかっていたから、即座に最適な行動を思い浮かべ、口を開いた。


「……ごめん、もしかしたら見ちゃってたかも」


 認めて謝る。これが唯一の最適解。

 それが事実無根の、自身に非がない行為であったとしても、この場においては間違いなく正しいのだから。


「ほら、やっぱり!なんでせーくんはすぐにユメにウソつくの!ひどいよ!ユメはせーくん一筋だっていうのに!」


 そうして頭を下げても、夢奈は怒ったままだった。

 まぁ当然ではある。僕が謝罪したことで、彼女は自分が正しかったという大喜名分を得たのだ。叱る声にも張りが増しており、怒りのなかに混ざった喜びを隠しきれていなかった。本人は、きっと気付いていないだろうけど。


「……ごめん」


「そんな浮気性な彼氏、ユメはいやだっていつも言ってるじゃん!なんでわかってくれないのよ!」


 再度謝る僕に対し、夢奈は涙を流しながら大声を張り上げた。

 夕方の人通りも多くなってきた道沿いであるにも関わらずだ。

 彼女が周りを気にしない性格であることはとっくに承知しているが、僕は違う。

 周りの視線がこちらに向けられていることを、嫌でも気にしてしまう性質だった。


「ちょっと夢奈、落ち着いて…」


「落ち着けるわけないじゃん!大好きな彼氏が他の子に取られるかもしれないって気持ち、せーくんにはわかるの!?すっごく怖いんだよ!?なのに、なのにぃ…」


 なんとか落ち着いてもらおうとなだめにかかるが、夢奈は一向に僕の話を聞いてくれない。大きな瞳から大粒の涙をポロポロと零しながら、頭を振り続けるその姿は、誰がみても僕が彼女になにか悪いことをして泣かせてしまったように見えることだろう。

 本当に僕はなにもしていないし、夢奈が勝手に被害妄想をこじらせているだけだというのに、そんな事情を考慮してくれる人なんて誰もいやしないのだ。彼女と話していると、頭がおかしくなってしまいそうになる。


(クソが…)


 そもそもなんで僕が謝らないといけないんだという怒りが、罪悪感と現実に対する憤りで徐々に塗りつぶされていく。

 それがたまらなく気持ち悪い。自分を書き換えられていくような錯覚に陥るこの瞬間が、僕はどうしようもなく苦手だった。




 綾辻夢奈は、僕の幼馴染だった。

 その性格は一言でいえば、ワガママなお姫様そのものだ。

 気に食わないことがあればすぐに癇癪を起こすし、一方的に僕が悪いと決めつけ責め立ててくる。

 そのくせ自分が怒られることにはまるで慣れておらず打たれ弱い。

 ちょっとでも叱りつけると泣き出して、全てうやむやにしてしまう、どうしようもなく甘やかされたお嬢様。それが夢奈という女の子の本質だ。

 これだけでも友人として付き合うにしても最悪な類の相手だとわかってもらえると思うが、中でも最悪なのがその執着心と独占欲の強さだった。

 好きなものをとにかく自分の手中に収めていないと気が済まず、他人の手に渡ることをどうしても許せないらしい。


 そのなかでも特に拘りを見せる相手がいるのだが、その対象は言わずもがな、赤星聖也という幼馴染であった。

 なぜかはしらないけど、夢奈は昔から僕にご執心で、事あるごとに一緒にいようと駄々をこねてくることが多々あった。

 他の友達と遊びたいのに、自分とふたりで遊ぶことを強制された回数を挙げたらキリがない。


 ままごととかよりかけっことか鬼ごっこのほうがよっぽどやりたかったのに、それができたことなんて数えるくらいしかないと思う。

 それくらい僕らの力関係は圧倒的に夢奈が強かった。その理由はシンプルなもので、僕が断ると彼女がすぐ泣き出すからだ。


 夢奈は昔からよく泣く子だった。

 だけど、それは涙もろいとか感情が豊かだからだとかじゃ断じてない。

 泣けば許されることと、言うことをきかせることができることを知っていたからだ。性格の幼さとは裏腹に、夢奈はひどく計算高い一面を持っていた。


 僕が一緒に遊んでくれなかったと泣きながら僕の親に報告すれば、当然僕は叱られて、夢奈と遊ぶことを自然と強要させられた。

 夢奈がモノを壊しても大泣きしてアピールすれば、怒られるのはいつだって僕の方。たしなめられる僕を見てなにを勘違いしたのか、「せーくんはユメを守ってくれたんだね!」などと泣いていたことなどケロッと忘れ、嬉しそうに話しかけられたときは、本気で恐怖したことを今でもよく覚えている。


 あの時から、僕は彼女を女の子として見たことはない。得体のしれない化物が、人間の皮を被っているようにしか思えなかったのだ。


 そうして恐怖と理不尽に支配された僕の幼少期は、全て夢奈のために消費された。

 ……いや、正確には違うか。夢奈の束縛今現在も続いている。同じ高校に通っている事実が、その証左にほかならない。


 彼女と離れようと勉強を頑張った中学時代の努力も、夢奈が僕と一緒の高校に行きたいと駄々をこねたことで、全て水の泡と化していた。

 本来なら僕はもっと偏差値の上の進学校に行くつもりだったのに、夢奈と同じランクまで志望校を落とす羽目になったあの時のことを、片時だって忘れたことはない。

 両親の説得という名前の脅しは、僕の中ではトラウマだ。なにが夢奈ちゃんと一緒の学校に行ったほうがいいだよ、そもそもロクに勉強もしなかったやつに、なんで合わせなくちゃいけないんだ。


 それで入った高校で成績がいいことなんて当たり前だ。

 だというのに、親はすごいだとか頑張ってるだなんて褒めてくる。自分たちは間違っていなかったとでも思っているのかもしれないが、僕にとっては不本意なことの連続だ。


 僕のことを、あの人たちはちっとも理解なんてしちゃいないんだ。

 夢奈も親も、周りの環境でさえ全てが糞の集まりにしか思えない。

 日々溜まっていくストレスの吐き出しどころがどこにもなかった。

 僕はどこまでも孤独で、人生の袋小路へと確実に追い詰められている―――


「ちょっと!せーくん聞いてるの!」


「っ…」


 逃避することすら、僕には許されていない。

 夢奈は無駄に勘がいい。僕が心あらずなことを察したようで、涙を流しながら瞳に力を込めるという、中々に器用なことをしていた。

 もっともそれに感心するより、ウンザリという気持ちのほうが遥かに強いわけなんだが。


(いつ終わるんだよ、このやり取り…)


 人は自分が間違っていないと確信を持ったとき、どこまでも強気になれる生き物だ。

 そして同時に残酷にもなるし、白痴にもなる。それ以上を考える思考が停止する。

 自分の考えを最上のものとして捉えるから、納得するまで決して止まることはない。

 まるで暴走機関車のようだ。邁進する怒りのエネルギーを受け止めることなど、既に疲れきった僕にできる自信がまるでなかった。


「なんとか言ったらどうなの!だんまりじゃ、なにもわからないよ!」


「……悪かったよ。本当にごめん、夢奈を心配させてしまって、ごめんなさい」


 できることといえば、ただ頭を下げ続けることだけ。反省の姿勢を示し、ただじっと黙って嵐が過ぎ去ることを待つことだけが、僕の知りうるこの場を凌ぐ唯一の手段だった。


(……お前こそ、なんでわからないんだよ。僕がそんなことをするはずがないって、なんで信じてくれないんだよ…!)


 だけど、待っている間というのはどうしても余計なことを考えてしまうらしい。

 あるいはそれは自己逃避の一種なのかもしれないが、詳しい名称なんてどうでも良かった。

 いくらご大層な名前があったところで、僕が考えてることなんて結局今の状況に対する不満でしかないのだから。


「せーくんったらそればっかり!なら、最初からしないで!ユメだけを見てよ!!」


「…………ごめん。もうしないから…」


 こんなやり取りと謝罪を、僕らは一体何度繰り返してきたのだろう。

 夢奈に言いがかりをつけられ、僕が折れて謝るのは一体何度目になるのだろうか。

 数えるのはとうにやめていた。謝って謝って謝り倒して。

 そのたびに他の子なんて見ていないと言ってきたのに、それでも夢奈は僕のことを疑い続ける。他の女の子を見ないでと言ってくる。僕の言うことに耳を傾けてくれたことなんて、一度たりともありはしなかった。


(それってつまり、僕のことを最初から信用なんてしてないってことじゃないか…)


 それとも僕を学習する能力のない鶏とでも思っているのか。

 どちらにせよ、彼氏だと思っている相手に対する扱いではないだろう。


「嘘つき!せーくんの言葉って軽いんだよ!もう何度も何度も言ってるのに、全然約束守ってくれないんだもん!」


 ああ、そりゃそうだよ。軽いに決まってるだろ。悪いなんてこれっぽっちも思ってやしないんだから。


 そもそも僕は夢奈のことを彼女と思ったこともなければ、告白だってしたこともない。

 いつの間にか夢奈のなかでそう決まっていて、ついでに両親達も味方につけてて、気付けばどこにも逃げ場がなくなっていたという、それだけの話だ。


「ごめん、僕馬鹿だから…本当に守ろうって思ってるんだけど、つい…」


 そういう意味では、確かに僕は馬鹿だったのだろう。

 まさかそこまでしてくるだなんて思っておらず、彼女を見くびっていたのは事実だったのだから。


「本当だよ!せーくんの馬鹿!大馬鹿!もう知らない!!」


 だけどなんでだろう。夢奈が謝罪に被せて罵ってくるのは、どうしようもなくカチンときた。


(この、野郎…)


 僕がしたのは卑下であり、これ以上夢奈を怒らせないようにするためにただ下手に出ただけだ。

 だというのにこいつは、それを肯定しやがった。僕より成績がずっと下のお前に馬鹿と言われるのは、物凄く腹が立つ。


 自分のことをプライドが高いタイプだと思っているわけではなかったが、どうやら僕の自尊心はまだ磨り減りきっていなかったらしい。

 心の中に熱が入ったのを実感するのは、いったいいつ以来のことだろう。


「ゆめ…」


「嘘つきなせーくんなんか、死んじゃえばいいんだ!!心の底から謝ってくるまで、もう絶対許さないから!!」


 熱に浮かされた勢いで、なにか一言言ってやろうと思ったのだが、その前に夢奈は駆け出していた。

 目に大粒の涙を溜めたまま、僕を強く睨んで走り去っていく夢奈。

 だが、その足は大して早くもない。運動神経の悪い彼女は後ろ姿ですらわかるくらい、走り様は不格好だ。あれなら僕の足でもすぐに追いつくことだろう。むしろそうして欲しいようにすら思えてくる。


「…………ふひっ」


 だけど、そんなことはしてやらない。

 それは夢奈の思う壺だ。少女漫画でよくある演出。逃げる彼女に追いつく素敵なイケメン彼氏の真似事を、僕にして欲しいんだってことはもうとっくにわかっているんだ。

 いつもの僕なら、あるいは彼女の望み通りそうしたかもしれないが、今の僕は違った。


「もう、そんなことはゴメンだ…」


 心に熱が点っている。恨みという名の、ほの暗い熱が。

 だがこれもきっと、すぐに消えてしまうに違いない。

 家に帰ればどうせ夢奈が両親にこのことを報告するだろうから。

 そうなればまた説教されて、その後夢奈の前で謝らされて、そして心が折られる。


 いつも通りの最悪のルーティンだ。この悪夢のようなループを断ち切る方法は、たったひとつしかない。


「望み通りにしてやるよ、夢奈…」


 嘘つきな彼氏なんて、もういらないんだもんな?

 僕もだ。彼女を語り、束縛の糸で絡め取ろうとしてくる幼馴染なんて、最初からいらなかった。


 この先の人生もずっとお前に支配されて生きていくくらいなら、いっそ―――そんなどうしようもなくドス黒い思念が、僕の全身を支配していく。


「くくっ、くひひひひ……」


 この時、僕はきっと壊れてしまったのだろう。

 あるいはとっくに壊れていたけど、それがたまたま表に出なかっただけかもしれないが、そんなことはもうどうでも良かった。


 僕はひどく歪んだ笑みを浮かべた自分に気づかないまま、ゆっくりとした足取りで彼女の後を追うのだった。











「せーくん!遅いよ!なんでもっと早く追いかけてきてくれなかったの!」


 家に帰ると案の定、夢奈のお説教が待っていた。

 窓越しに僕のことを怒鳴りつけてくる。隣接した家。窓を挟んだ隣部屋に僕らはそれぞれ住んでいるが、それも夢奈が望んだことである。

 僕の部屋は元々押入れに使う予定の間取りの狭い部屋だったから、ひどく小さい。

 精々ベッドと机を置くだけで精一杯だ。それに対し、夢奈の部屋はひどく広く、それがまるで僕と彼女の心の余裕のようにすら思えてしまい、なんだか笑えてきてしまう。


「はは…」


「っ!なに笑ってるのよ!」


 あ、いけない。どうやら口に出てしまったようだ。

 ダメだな、ギリギリまで耐えるつもりだったのに…でも、まぁいいか。

 隠すのはもう限界だ。最期くらい本当の自分をさらけ出したところで、罰は当たらないだろう。


「ああ、ごめん。つい、さ」


「やっぱり全然反省してない…!いいもん、パパ達にこのことは言いつけるから!せーくんのパパやママにも帰ってきたら言うからね!そして今度こそ心を入れ替えてもらうんだから!!」


 反省、ね。無理だよ、最初からそんなつもりないのに。入れ替えようにもできないものはできない。

 ただ、怒られるのは嫌だな。もう限界だ。そうなると、親の帰ってこないこのタイミングがやはりベストに違いなかった。


「……なぁ夢奈。前から思ってたんだけどさ」


「なによ!」


 ただ、どうせ最後になるのならと、ちょっぴり気になっていたことを聞いてみることにした。


「その反省って、僕だけがしないとダメなの?夢奈にも悪いところがあったって、そうは思わないの?」


「は?なによいきなり!ユメに悪いところなんてあるわけないじゃん!せーくんが全部悪いんだから!!」


 僕の質問を、夢奈はそう言って切り捨てた。

 元々改心するだなんてこれっぽちも期待してなかったけど。

 それでも考える素振りすら見せなかったことは、僕の心に僅かな刺を突き刺してくる。胸の奥が、チクリと痛んだ。


「……そっか」


 そんな自分を、僕は恥じる。まだ彼女に期待していた自分がいたなんて、僕はどこまで甘いんだろう。だけど、夢奈の本心を聞けて良かったのも事実だった。


「うん、安心した」


 後悔はない。土壇場で怖気づくのが一番怖かったけど、どうやらそんなことはなさそうだ。これならきっと、躊躇うことなく実行に移せることだろう。

 僕は窓へと足を進める。強く強く、噛み締めるように進んでいく。


「安心?なによそれ、せーくんってドMだったの?彼氏がそうだなんて、ユメちょっと引くんだけど…」


 僕の返事に、夢奈は困惑しているようだった。

 まぁ僕の真意を見抜けないのは仕方ないことだけど、かといってこうも見当違いの方向に思考を働かせるあたり、僕らの相性はやはり悪かったと言わざるを得ないだろう。


「そうかもしれないね」


「うわ、肯定した…ねぇせーくん、どうしたの?いつもとなんか、様子が変だよ」


 お、ここに来て気付いたのか。

 自分に都合のいいことしか見えない子だと思ってたけど、少し評価を改めたほうがいいかもしれないな。もっとも、こんな情報あの世に持っていってどれだけ役に立つか不明だけどさ。


「ねぇ夢奈。さっき別れる時、君がなんて言ったか覚えてる?」


 窓際に手をつける。夕方ということもあってか、なんだかやけに冷たく感じた。


「は?なによ、いきなり。そんなの覚えて―――」


「じゃあ教えてあげるよ」



 そして僕はそのまま身を乗り出し―――



「え、せーくん、あぶな―――」



「死んじゃえって、言ったんだよ」



 そのまま下へと落ちていった。



 瞬間、全てがスローモーションのように世界が変わり。



 僕は逆さになりながら、それでも目を見開く夢奈の顔をハッキリと捉えた。



「ははっ……」



 なんだ、いい顔できるじゃんか。



 そんな顔を普段からできるようなら、僕だってもっと―――



 なにか、違ってたかもしれないのに














「おきて、せーくん…ねぇ、起きてよ…」


 揺する。揺する。揺する。

 私は何度だって揺する。物言わず、動かなくなった彼の体を。


 体に、服に、いくら血がつこうが構わない。

 大好きな彼のそれだと思えば、全然汚くなんかない。

 いくら汚れようとも、彼が帰ってきてくれるなら、私はそれだけで―――だけど何度やっても呼びかけても。

 せーくんは答えてくれない。目を開いてはくれなかった。


「起きてよ…ユメが悪かったから。謝るから…」


 ユメ、そんなに悪いことした?そんなになにか、思いつめてたの?

 だけど、本当に心当たりなんてないよ。浮気してたのはせーくんじゃない。そんなに怒られるのが嫌だったの?


「もうパパ達に告げ口なんてしないから…他の子をみても、怒ったりなんかしないから…ユメだけをみて、好きだって言ってくれたら、もうそれだけいいから…」


 私は謝る。とにかく謝る。心当たりのあること全部、とにかく全部を謝った。

 だけど、この時私はあることに気付いた。


「……そういえばユメ。せーくんに好きって言ってもらったこと、なかったよね…」


 恥ずかしがって言わないんだと思ってた。告白だってして欲しかったのに、ちゃんと言われたことがない。


「ねぇ、目を覚ましてよ。そしてユメに、好きって言ってよ…そうしたらユメも好きっていうから。また一緒に学校に行って、そして一緒に帰ろうよ…」


 私はまたせーくんの体を揺する。何度だって揺すり続ける。

 彼から答えを貰うために。彼に好きだって言って欲しいから。


 だけど結局、なにも返ってくることはなくて。

 私はただ、涙を流して呼びかけることしかできなかった。


「ねぇ、起きてよ…起きて…私を好きだって、そう言って…」


 どれだけ抱きしめても、心がとても冷たいままで。


「ねぇ、好きだって言ってよ。私を、愛してるって言ってよ…」


 彼に暖めて欲しかった。好きだって言って欲しかった。


「ねぇ…う、ぇぇぇぇぇ…」


 私はこんなにも、せーくんが大好きなのだから





シンエヴァでメンタルをやられました

近いうちにこの感情を吐き出す話書きます

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― 新着の感想 ―
[良い点] 馬鹿が独り自分を縛って死んだだけ。の咄。ニホンジンだっただけの話
[気になる点] えっと、前置きがあるだけで前に書いた短編と同じ? 正直、面白いとか面白くない以前に、「リメイク?」と感じた。
[良い点] 面白い [気になる点] 昔ほとんど同じような作品を見ましたが、もしかして同じ作者さんですか?復活嬉しいです!
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