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第九話 秘密というのは人にわからないから秘密なんです

そういうと僕はアイリさんと少し離れた場所に回った。

アイリさんが再び指さした


「ここです。」

「ここですか?」

「そうです。」

「入口ですか?」

「そうです。」

「何も見当たりませんが…?」

「隠し倉庫の入り口ですから、隠してあります。」

「確かに、出口も隠してありました。」

「出口と違って入口は発見されると開けられてしまう可能性があります。」

「出口は開きそうにありませんでしたけど。」

「入口は鍵で閉めています。」

「普通の出入り口はそうですね。」

「鍵師、あるいは錠前師には開けられてしまいます。」

「そうか、それで入口そのものを隠してるんですね。」

「そうです。」

「出口からは入れたら楽なんですけどね。」

「ではやらせてあげます。」

「ホントですか?」

「構いません。出来っこありませんから。」

「あとで後悔しますよ?」

「しません。行きましょう。」


そういうとアイリさんはこっちをじっと見ている

なんだ?なんだろう照れるな・・・。


「アレン君なら大丈夫でしょう。」

「?何がですか?」

「ついて来てください。」

「アイリさん!ちょっと!」


そしてアイリさんは僕がギリギリ入るくらいの岩山の間を横向きに歩いていく


「アイリさん。」

「何ですか?」

「ここで、いいんですか?」

「いいんです。…ここです。止まってください。」

「はい。」


するとなにかガチャガチャ音がする。

すでに真っ暗闇で何も見えない。

どうやらアイリさんが鍵を開けているようだ。

しかもどうやら、音を聞く限り鍵は一本じゃない。

どんな厳重な扉、いや入口なんだ。

一体何があるんだここは。


「アレン君。」

「はい。」

「見えないですか?」

「…もちろん、見えませんが。」

「何ですかその間は?」

「いや、当たり前に見えないし…。」

「こっちも見えないんですからさっさと返事してください。」

「はい。」


怒られた。


「こっちに三歩進んでください。」

「はい。」

「そうしたらゆっくり左側に手を当ててみてください。」

「はい。」


ん?なにもない?

岩壁がなくなった?

どうなってる?

空洞なのか?


「アレン君。」

「はい。」

「何も無いですか?」

「はい。」

「そのまま左に少しづつ動いてください。」

「はい。」

「二、三歩動いたら止まってください。」

「動きました。」

「ちょっと待ってください。」


僕はその場で立ち止まった。

アイリさんの声は遠くない。

僕も大きな声は出していない

…見えてるのか?

そんなはずない。

そんなことを考えていると…

灯りだ!


「アレン君。お待たせしました。」

「アイリさん!」

「まず、入り口を閉めます。」

「あ、手伝います。」

「これで一安心です。」

「アイリさん。」

「どうしたんですか?」

「見えてたんですか?」

「まさか、見えるはずないです。」

「どうしてあんな真っ暗闇で。」

「カギを開けられたのかって?」

「それと灯りも。」

「何度も来ているからです。」

「何度も?」

「何度もです。」

「だいたい、入口はいるの難しすぎません?」

「あれだと、万が一尾行があっても入れません。」

「確かにそうですけど。」

「万が一鍵を奪われても開けるのは至難の業です。」

「そうですけど。」

「太った人は通れません。」

「そうですね。」

「大きい人も通れません。」

「そうですね。」

「重装備の兵士も通れません。」

「そうですね。」

「秘密を守るのに大いに役に立ちます。」

「何がですか?」

「入りずらい入口です。」

「そうまでして何を守っているんですか?」

「知りたいですか?」

「もういいです。そのくだり。終わりましたから。」

「では先へ進みましょう。」

「やっとですね…」

「何か言いましたか?」

「いいえ。楽しみです。」

「‥結構。」


アイリさんは灯りを灯しながら先へ進んだ


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