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第95話 魔防隊第3回訓練 2

今回の訓練は、かなりレベルが上がってます。

(3月4日です。)

  4頭のワイバーン、決して一団にならず、交互に上下に高度を変えながら、私達を取り囲んでくる。横一線なら、ミニガンの餌食にしてやるのだが、これでは照準を定めるのも難しい、台車の銃架台に据え付けられているが、そのままでは左右150度位しか旋回できない、後方に回り込んだワイバーンは、散弾銃部隊かMP5部隊に頼むしかなかった。


  散弾銃部隊が、連射によりワイパーンを落とそうとする。しかし、いかにタングステンを使用している散弾といえども、地上100m位の位置のワイバーンに対しては、ほとんど無力だった。右上空のワイバーンが急降下をしてくる。速い。散弾銃で弾幕を張るが、ワイバーン、気にも留めずに部隊に肉薄してくる。盾のシールドを上に向けて防ごうとする。ワイバーンの鋭利な爪が、シールドに衝突した。シールドが割れてしまう。ワイバーンも爪を損傷してしまったらしく、再び上空に逃げていく。散弾が後を追っていくが、散弾では、致命的な傷を負わせることはできないようだ。


  すぐに後ろからワイバーンが迫ってくる。盾のシールドが間に合わない。私は、ショートソードを抜き、ワイバーンとの間合いを測る。時速300キロ位で迫ってくるワイバーン、部隊に直撃する瞬間、ショートソードが一閃する。ワイバーンの頭を右から左に切り裂いていく。さすがに、硬いワイバーンの皮も、ヒヒイロカネの刃を防ぐことは出来ないようで、深い傷を負ってしまったようだ。しかし、致命傷ではない。硬い頭蓋骨が邪魔をしていた。


  ワイバーン、地面に着地してしまった。急いで方向転換をしたミニガンが100発の5.56mm弾を3秒で全弾命中させる。肉片となったワイバーン、魔石が転がってきた。でも、重要素材の皮がズタズタだ。勿体ない。


  抜刀隊が、今の攻撃を見ていてヒントを得たようだ。相手の速度が速ければ速いほど、相手に切り込む刃の速度が相対的に上がるのだ。まして達人級の刃だ。鋼鉄さえも切り落としてしまうだろう。ただし、タイミングを少しでも間違えると、ワイバーンの餌食になってしまう。


  左のワイバーンと前方のワイバーンが同時に襲ってくる。風切り音が凄まじい。しかし、散弾銃部隊とMP5部隊の一斉射撃が始まった。弾幕により、正面のワイバーンは、上昇に転じて上空に逃げていく。左方のワイバーンは、弾幕を嫌がっているが、そのまま突っ込んできた。しかし、降下速度がわずかに鈍っている。部隊の傍まで迫ってきた。


  抜刀隊が、素晴らしい速度で日本刀を切り上げる。あ、羽が取れちゃった。ワイバーンは、たまらずに地面に激突してしまった。そこを抜刀隊が迫っていき、首を切り落としてしまった。あれ、日本刀、白く光っているんですが。美玲さんが、抜刀隊の中に魔法適性のある者が1名いたそうだ。美玲さんが、手を握って魔力を流して調べてみたらしいのだ。なんて、呑み込みが早いんだろう。これなら、次々と魔力のある隊員が見つかるだろう。何といっても、男性隊員の方が圧倒的に多いのだから。


  残り2匹だ。このワイバーン達は、階層ボスなので、逃げる訳にも行かない。と言って、攻撃を仕掛ければ餌食になるのが分かっているので、困っているようだ。いつまでも付き合っていられない。私は、100m以上も上空のワイバーンの口の中に『サンダー』を見舞ってやった。あ、やり過ぎたかも。首のなくなったワイバーン2匹が落下してきた。凄まじい衝撃とともにワイバーンが地面に激突した。これで、階層ボスの殲滅が終わった。


  暫くは、素材回収だ。ワイバーンの皮は、非常に硬いが、セラミックのナイフで何とか切ることが出来た。肉は使い道がないので放置することにする。次のワイバーンが現れた時に、食べてくれるだろう。しかし、この4匹が同時に襲ってきたら、この部隊だけではきっと30分も持たずに全滅していただろう。対空火器も準備した方が良いようだ。


  もう1階層、下に降りてみたいので、地上の部隊待機場所にゲートを開く。地上の次の部隊と交代だ、次の部隊には、火炎放射器と対空ロケットを準備して貰う。対空ロケットは、赤外線ホーミング方式のFIM-92Hスティンガーだ。ワイバーンと言えども、生体エネルギーがあり、その熱を感知して追尾するシステムに改良しているそうだ。1台の発射機と予備ロケットを搬送する2名が1組となっている。自衛隊って、体力勝負なのが良く分かる。


  火炎放射器は、勿論G対策のためだ。自衛隊では『携帯放射器』と呼んでいる。重さが30キロ以上もある。しかも、自分が炎上しないように耐火服を着ているので、非常に活動しにくそうだった。しかし、対G作戦においては、絶大の効果を発揮するだろう。あれ、でも火魔法を使える魔導士がいれば、必要なかったかもと思ったが、火魔法が使える隊員は、まだ魔力量が極端に少なく、これから訓練を重ねる必要があるそうだ。


  盾と散弾銃部隊を先頭にして、もう1階層下つまり第6階層に降りてみる。そこは、ビーチエリアだった。あ、いけない。水着を準備していなかった。私は、最後部から追従していく。最初の敵は大ヤドカリだ。大きさが2m近くある。私は、美玲さんに絶対に逃がさないようにお願いした。硬い貝の殻は、MP5で撃ち砕いていく。殻がなくなったら、抜刀隊の出番だ。貝殻の外に出ている部分は硬いが、貝殻の中に入っている部分は、柔らかいので、抜刀隊の切り下ろす日本刀の餌食だった。


  とりあえず、1匹だけ、狩ったら、小休憩にする。火炎放射器で焼くと油臭くなるので、私の火魔法でこんがりと焼く。火魔法を使える魔導士にも手伝わせる。ほとんど役に立たないレベルの火魔法だが、使わないと上達しない。


  周囲に、カニやエビの焼いたような良い香りが漂ってくる。タラバガニもヤドカリの仲間だし、沖縄のヤシガニも高級料理だ。これだけ大きいヤドカリだ。かなりの人数で食べても大丈夫だろう。食べきれないと勿体ないので、地上部とゲートで繋いでしまう。さすがに900人は、来なかったが、幹部と次の訓練要員がゲートをくぐってきた。あれ、足りなかったかな。私は、200m位先でうごめいている大ヤドカリを見つけたので、さっそく料理素材をゲットしておいた。異次元クロークに収納して、部隊に戻る。異次元クロークから取り出し、ショートソードで、綺麗に貝殻を二つに割っておいた。後は、火魔法で、おいしく焼くだけだ。結局、全てを食べきれず、皆が小分けにして、お土産にしていた。


  もう、おなかが一杯になってしまったので、本日の訓練は終了にした。魔防隊の隊長が、このビーチエリアと地上部のゲートを繋げたままにしてくれないかと言ってきた。別に構わないけど、このエリアにはクラーケンもいるし、階層ボスは、セイレーンかも知れない。これ以上、奥には行かないという約束で、ゲートをそのままにすることにした。あ、それって魔防隊専用のビーチリゾートが出来たってことになるのかな?


  地上に戻るとき、大ヤドカリをもう1匹狩っておいた。そのまま、異次元クロークに収納しておく。勿論、貝殻はこの場に置きっぱなしだ。今度、父様と一緒に、キャンプに行ったときにでも料理して食べるつもりだ。そのつもりだったのに、帰ってから父様に、そのことを報告しておいたら、とんでもないことになってしまった。安芸首相の別荘で、焼カニ・パーティをすることになってしまったのだ。安芸首相の別荘って、どこにあるの?


  パーティは、今度の水曜日にすることになった。安芸首相の国会日程等から、その日しか空いていないそうだ。


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(3月8日です。)

  今日は、安芸首相主催の焼カニパーティだ。水曜日なので、授業があったが、未央ちゃん、アリスちゃんと一緒に欠席届をだしておいた。今日は、最高危機管理対策会議メンバーの殆どが参加するそうだ。開催場所は、葉山の丘の上にある広いお屋敷の庭だ。このお屋敷は、安芸首相の叔父様の別宅だったらしい。その叔父様って、戦後間もない日本の首相をしていた人で、いつも葉巻を加えていた有名な人らしいが、当然、私には、まったく分からない人だった。


  メンバーの閣僚の方々も、奥様を連れて来ているし、安芸首相の綺麗な奥様もいた。私達も家族全員とアリスちゃん、アオちゃんを連れて来ている。アオちゃんは、例の水干姿なので、物凄く目立っていた。私は、学校の制服を着て、眼帯をしているので、誰か分からないはずだ。未央ちゃんや、アリスちゃんは、テレビでよく見る大臣が一杯いるので、とても興奮していた。


  私は、中庭に大ヤドカリのハサミと足2本を出してあげた。重さは1本50キロ位あるので、カニに例えると何匹分になるのだろう。安芸首相専属のシェフが、のこぎりで丁寧に解体している。焼いても煮ても美味しいヤドカリだった。どうやら、魔物の味は、非常に濃厚で、普通のカニやエビとは比較にならないほど美味しいらしい。あ、それならオークは豚肉、ケンタロウスは牛肉の味なのだろうか。でも食べる気はしない。


  パーティが始まった。安芸首相の挨拶の後は、フリーだったので、まずはケーキの盛り合わせの所に走っていく。綺麗なケーキが一杯だった。すぐに、チョコケーキを見つけることが出来た。お皿に2個取って、さっそく食べ始める。何、これ?バカうまなんですけど。直ぐに2個食べ終わってから、チョコムースの乗ったフルーツタルトを食べてみた。これも、とっても美味しい。ケーキの食べ比べをしていると、カニの焼ける美味しそうな匂いがしてきた。でも、私は、先週の土曜日に食べたので、そんなに食べたいとは思わない。


  ケーキの次は、フルーツの盛り合わせの所に行く。何といってもメロン、それにオレンジジュースだ。オレンジジュースは、本物のオレンジ100%ジュースだった。とても美味しい。そうやってバクバク食べていると、父様が寄ってきて、アリスちゃんが歌うので、伴奏をしてくれないかと言ってきた。え、ピアノ、どこにもないんですけど。あ、特設ステージの上に、変な機械が置いてある。あれって、確か電子楽器のピアノだったような気がする。コンサートなんかで、ステージの上に置いてあるのを何度も見たことがあった。でも、弾いたことなんてないんですけど。でも、仕方がないので、アリスちゃんと一緒にステージの上に上がる。機械の前に立つと、傍にいた男の人が、色々とスイッチを操作していた。『弾いてみてくれ。』と、言われたので、恐る恐る弾いてみたら、なんとピアノの音がでてきた、微妙に違うけど、かなりピアノの音に近い。この機械は立ったまま、弾くようだ。


  前奏を弾き始める。ビートルズナンバーから、『レット・イット・ビー』だ。アリスちゃんの澄んだ歌声が庭に響き渡る。皆さん、食べたり飲んだりしている手を止めて聞き入っている。歌い終わると、お定まりのアンコールの拍手だ。次の曲は、カーベンターズの『イエスタデイ・ワンス・モア』だ。アリスちゃんの、最も得意な曲だ。ここにいるおじさん達が学生時代にはやった曲なのだろう。一緒に歌い始める人もいた。


  こうなったら、もう止まらない。結局、この日はカーペンターズばかり、8曲もメドレーをしてしまった。

日本人は、カニが大好きです。

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