2話 依頼を請ける
「受付嬢さん何か簡単な依頼ありませんか?」
レイン達は早速依頼を請ける為に来ていた。
受付嬢はレインが登録した時のミエルだ。
依頼の請け方は主に三種類ある。
ギルド出入口付近のボードに刺さっている依頼書を剥がし受付で受諾してもらうのが通常。自分で選び何しろ早い。
次は指名依頼。依頼を仲介するのがギルドなのだが依頼人やギルドが冒険者を指定する事がある。ただこれは青色以上の冒険者限定なので今のレイン達には関係ない。
最後が受付で依頼を厳選してもらう方法。まだ経験が浅い新人か問題のある冒険者がこれである。
「そうですね、ならピッタリな依頼がありますよ」
差し出した依頼書を食い入るように見るレイン達。
「王都から徒歩で少し行った所に洞窟があるのですが其処の調査です」
「でもそんなに近い洞窟の調査なんてもう終わってるんじゃないの?」
「はい。終わっていますし危険な魔物も居ません」
ミリーシャの疑問にアッサリ答える。
「だからこそこの依頼は新人限定なんです。危険は少なく洞窟での探索の基礎を学ぶ事が出来ます」
「俺はいいと思うぞ、今回の俺達の目的に合ってる」
「そうねこれにしましょうか。スウレカとレインも構わない?」
「はい。大丈夫です」
「俺もだ」
皆、了承してこの依頼を請ける事に決まった。
「パーティーとして依頼を請けるんですよね?ではリーダーの方のギルドカードをお出しください」
言われ四人が顔を見合わせる。
「リーダーか…どうする?」
「私は嫌よ」
「レインさんで宜しいのでは」
「え?俺?カールでいいんじゃないか」
「俺じゃ無理だ。自分で言うのもなんだけどリーダーって柄じゃない」
「今回は言ってみればレインをパーティーに入れるかどうかで依頼を請けるんだからリーダーやっといたら?」
「……………解ったよ」
ここでごねて時間を使ってもしょうがないとレインはギルドカードを差し出す。
「はいではお預かりします」
ミエルは受け取ったギルドカードを手元にある金属製の箱に差し込み数秒で抜く。
「これで依頼を受理しました。頑張って下さいね」
「その箱何ですか?」
ギルドカードを返して貰ったレインはそれが気になり聞いた。
「何でも350年前の賢者クラウスが発明したという魔道具です。詳しい事は私達には知らされませんがこれを使うとギルドカードの情報を管理してくれます」
賢者。
全ての魔法を行使出来る伝説の職業で過去僅か五人しか存在しない。
それぞれの賢者は皆曰く付きで眉唾な話が多い。
その中でもクラウスは現在使われている魔道具の大半の元を作り出した天才と伝えられているが人物像は謎に包まれている。
「何か凄そうですね」
「実際凄いんですよ、今現在でもこの装置を再現するのは不可能らしいです」
「だからたまにクラウス作の魔道具が売り出されると莫大な金額で取引されるのよ」
「詳しいねミリーシャ」
「私の夢はクラウスの魔道具を見つけて大金持ちになることだもの!!」
「はっはっはっ、じゃあ今から大金持ちへの第一歩だな。準備をして今日は……無理か、明日出発でどうだ?」
「準備か………1日で行けますかミエルさん」
「丁度移動で丸1日ですね。道中には宿泊する場所はないので野宿の必要があります」
ミエルの説明に頷くレイン。
王都に来る時には村や町に立ち寄って泊まっていたので経験はないが村で訓練を受けている時に一通り習っている。
「野宿かぁ…………嫌だけど慣れなきゃなぁ。スウレカは大丈夫なの?」
「はい。教会で手伝いをしていた時に巡礼をしていましたので」
「俺はどこでも寝られる」
「あんたにゃ聞いてないわよ」
(いよいよだ)
これから始まる冒険に胸踊らせるレインだった。