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本当に大切なもの  作者: 雪雨
2/15

テレビの音を下げ、おじさんが私に教えてくれたその法律は耳を疑うような内容だった。


喫煙・飲酒は満25歳を過ぎてから。もし、25歳未満に飲酒または喫煙をさせた場合罰金200万円以下と懲役25年。


普通自動車の運転は満17歳から免許の取得が可能。尚、中型自動車は20歳とする。


殺人・誘拐をした者は理由がどうあれ、死刑と処す。


インターネット、スマートフォン、携帯の保持・拝見できるは満16歳からとする。幼稚園・小学生・中学生に携帯を持たせた親は、どんな理由であれ罰を処する。




おじさんの口からきいた、その法律というのは、すごく衝撃なものだった。

どれもこれも、今の法律と比べたらバカみたいな内容で、冗談なのかと疑うようなものだった。


でも、私が一番衝撃を受けたのは、一番おじさんが悔しそうな顔で言った最後の‘法律’だった。

それは


音楽を聴いた者・歌う者・演奏する者・作る者は、年齢関係なく無期懲役と処する。



「なに、それ。」


私は理解できなかった。

だって音楽なんて、別に罪でも何でもないし、むしろ今まで当たり前のようにあったものだったのに


「なんで、なんで?!」


俯いているおじさんの肩をつかみ、意味もなく問いかける。


「なんでよ!なんで!!」


そんな乱れた私を、近くにいたおばさんは止めてくれた。


「落ち着いて、永遠ちゃん!信弘のぶひろさんは、関係ないわ。」


「....っ!」


その言葉を聞いて私はおじさんの肩を離した。

みんな、下を向いてそのあとは誰も、何も話さなかった。

ただ、部屋に聞こえたのは、おじさんが音を小さくしたテレビの声だった。

テレビの向こうで、笑顔の天皇が私の目に焼き付いて離れなかった。




その日の夜。

私はそのあとも、何も考えることなんてできずに部屋に籠っていた。

ご飯ものどを通らなくて、ただひたすら天井を見ていた。


明かりをつけずに、ベッドに横になっている私を照らしたのは、月の光だった。


私はその光に吸い込まれるように窓に行き空を見上げた。


「うわ、さむ。」


窓を開けると11月だから、少し寒かった。

それでも、空を見ると空いっぱいに広がる星とその中心にいる月が見えた。


「今日は、満月か...。」


月を見ながら、昔を思い出す。


私のお母さんとお父さんは、どっちも音楽に関係する仕事をしていた。

お母さんは有名なピアニストで歌も作っていた。お父さんはバイオリニストで、オーケストラにはよく出ていた。


小さいころから、輝いているお父さんとお母さんが、私は大好きだった。





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