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本当に大切なもの  作者: 雪雨
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数分していつもの場所にたどり着く。

ベンチの方に行ってもやっぱり、誰もいなかった。


「まぁ、別に。そっちの方が気楽でいいけど!」


そういいながら私は、ベンチに横になる。

目を閉じると、いろいろな音が耳に入ってくる。


少し離れたところから聞こえる車の音

鳥のさえずり

かすかに聞こえる人の声

風になびく木の葉の音


どれもあたしの大好きな音で、すごく落ち着く音。

目を閉じてから少しして落ち着いた私は、考えることをやめて眠ることにした。




家にいるよりもすーっと眠りについた私は夢を見たんだ。

それはすごく居心地のいい夢で。


誰かに優しくなでられて、まだ幼い私はその人に笑いかけていた。

なんだか懐かしいこの感じ。


でも、なぜかその人は涙を流している。

その人に私は、泣いてほしくなくて手を伸ばしてその人の頭をなでたんだ。

泣かないで?って私が笑いかけるとその人も笑ってくれた。







あれから何分経ったんだろう。

私はゆっくりと目を開けると、久しぶりにぐっすり寝たのか、もう日は落ちてあたりはオレンジ色に染まっていた。

近くのスマホに手を伸ばそうと起き上がると、水が垂れた。


「...え、あ。」


私、泣いてる?


泣くなんて久しぶりだ。

お母さんたちが死んでから、私は何があっても泣かないようにしていた。

おじさんにもおばさんにも迷惑をかけないように、ずっと笑ってたんだ。


なんで泣いているんだろう。

そんなことを考えたら、涙なんか止まらなくなってどんどん出てくる。

こんな事初めてだから、自分でもすごく動揺したけど、それでも涙が止まらない。


「うぅ...ぅあ...ひっ....」


拭いても拭いても止まらない涙を何とか止めようとセーターでごしごしと擦る。


昔だったら、泣いてもお母さんがそばにいて「大丈夫」って言ってくれただけですぐに止まったのに。

前だったらどんなに寂しくても、おじさんたちの笑顔を見たら頑張れたのに。


いつもだったら、いつもだったら近くにいてくれるなおこの元気な声に、私も元気をもらえるのに。


「...ひっ...ど...して..。」


家に帰れば、おじさんたちはいつも通り笑ってくれる、学校に行けばなおこが元気よく話してくれる。

夜になれば、おかあさんとお父さんがそばにいてくれる気がする。


十分私は、幸せのはずなのに、どうして。




どうしてこんなにも寂しくて、一人だと感じてしまうんだろう。


どうして、こんなにつらくて苦しいの?


なんで私は、こんなに泣いているんだろう。

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