子供と大人の格差
あれからどのくらい時間が過ぎたんだろう。
晴希がこの場所を去ってから、私はベンチに座り、傘もささず呆然と考えていた。
私は、きっと晴希の気を悪くするようなことを言ったんだ。
だからあんな冷たい態度になったんだよね。
考えても考えても、どうして怒らせてしまったのか理由がわからない。
私が眉間にしわを寄せて、考え込んでいるうちにふっと視界が明るくなる。
「...あ、晴れた。」
さっきまではすごい雨だったのに、晴希のことを考えているとあっという間に時間が過ぎていたようで。
今では、雲の隙間から太陽の光が差し込んでいる。
そういえば、時間を気にしていなかったことに気づいた私は、ぽっけに入っているスマホに目をやると14時と表示されていた。
「え!もう14時?!」
スマホに表示されているその数字に少し驚いたけど、別に用事がない私はすぐ冷静になる。
「家に帰ろう。」
雨に打たれすぎた私の肌は、すごく冷たくなっていて、鳥肌も立っていた。
太陽の光が差し込むのを見ると、自分の状況に頭が追い付いてきて寒いと感じる。
開いたまま転がっている傘を拾って閉じる。
考えることが嫌になり、何も考えずに家の方向に足を向けた。
ガラッと家のドアを開けると、ちょうどおじさんが立っていた。
「あ、ただいま。」
「お前!びしょ濡れじゃないか。何していたんだ。」
帰ってそうそうびしょ濡れの私を見ておじさんは慌てて言った。
私は特に理由を考えてなかったから、何も言わずに下を向くとおじさんは優しい口調で言う。
「まぁ、いい。風呂に入ってあったまりなさい。」
「...うん。」
おじさんは私にそう言うと、お風呂場に行きタオルを持ってきてくれた。
タオルを受け取って軽く体をふき、そのままお風呂に入った。
「はぁ~あったかい。」
冷え切った体にちょうどいい温度のお湯をかけると少しじんじんした。
温かいお風呂に浸かると、何となく落ち着いて、また晴希のことを考え始める。
それでもまだ理由がわからない私は、だんだんイラついてくる。
「ていうか、なんで私があんな態度されないといけないの?意味わからない!」
そういうと自分の肌を強く両手で挟む。
ぱん!と大きな音が風呂場に響き渡る。
そうだよ、だって私何も悪いことしてないもん。
晴希とはまだ出会って少しだから、きっと短気なのを隠していたんだ。
本当の晴希を知らないからこんなに振り回されるんだ。
あんな奴もう知るか!
次の日。
今日はいつも通り学校で、おじさんに挨拶を済ませると登校した。
するといつもと同じ場所でなおこが後ろから話しかける。
「永遠ー、おはよってうわ!あんた何その顔.....。」
「あ...なおこ、おはよう。」
なおこが私お顔を覗き込むと、ぎょっとするような顔をした。
そう、あれから考えることをやめようやめようと思った私だったけど、そんなことは無理で。
ご飯を食べているときも、勉強をしているときも、ベッドに入った時も。
どんな時もずーっと頭で考えてしまい、結局一睡もできなかった。
「永遠、なんかあった?」
「うーん、ねえなおこ、助けて...。」
私はそういうと、私より断然男の人と話したことがあるなおこに、助けを求めた。
あの場所のこと、そこで出会った晴希という男のこと、そしてなぜ、あの日あの人が怒った理由がきになって昨日眠れなかったこと。
自分が思い出せるところまで、できるだけなおこに話す。




