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48 マルセール国

 

「ようこそ、マルセール国へ!」


 降りた港で最初に聞いた言葉だ。


 わたしたちは何事もなくマルセール国の港にたどり着いた。

 ここから少し道を進めば、すぐに首都と呼ばれる通称テイマーの都がある。


 マルセール国は国ではあるが、それほど大きな国ではなく、島に街が一つある程度なのだ。

 もちろん大きさはたくさんの人が訪れられるくらいには大きいけれど。


「人いっぱい。従魔も」


 そう、従魔コンテストという国を挙げての特大イベントのおかげで、小国でありながらも人が多く行きかうとても活気のある国になったのだ。

 そしてテイマーの都といわれるくらい、従魔のための施設が充実している。一体どんなものがあるのかと楽しみにしていたのだ。


「ひとまず、首都の方へ向かおう。宿を押さえないと」


 確かに、従魔コンテストに参加する人も見に来る人も多い。宿もすぐにいっぱいになってしまうだろう。

 わたしは野宿でも平気だけど、レティにそんなことさせたくない。

 わたしたちは人込みに流されるように港を出て、首都へと向かった。



 大きな外壁は港を出た時点で見えており、この首都と港を除けば大きな建物は無いため、防衛の観点からここの外壁はとても頑丈そうだ。まさに圧巻。

 門のところで身分の確認をされるため、入るまでに時間がかかったが、特に問題もなく入ることができた。わたしが大人しくて賢い従魔であるとヴィックさん達が説明していたおかげでもあるけど。


 門をくぐり、中に入ると、人の多さと連れられている従魔の多さが目に入る。獣型の魔物がほとんどだけど、ガッチャガッチャと鎧を着込んだあれも魔物なのだろうか。なにあれさま〇うよろい?

 他にもスライム系やら鳥系やら……種類は様々だ。

 そして連れている人の多くは冒険者だ。どう見ても貴族だろって人とかもいるけど。それから一般人のような人が連れていたりもする。こっちも多種多様だ。

 そしてわたしに集まる視線の多さよ。大丈夫かなこれ。


「シュガーみたいな大きい従魔いないね」

「普通、この大きさなら安全のために檻に入れて別搬入されるのよ」

「そうなの?」


 レティの疑問にルースさんが答える。

 そうなの?

 だから門番がわたしのことを気にしていたのか。従魔なんていっぱいいるだろうにって思ってたけど、大きすぎはやっぱり危険視されるのね。


「その辺にワイバーンとか放し飼いしてたら怖いでしょう?」


 その辺にワイバーンがいたら……確かに怖いわね。


「シュガーを檻に入れるのは可哀想だからな。街中を出歩くときはなるべく小さくなっていた方がいい」


 なるほど、わたしが今自由なのはヴィックさん達が説明してくれたおかげなのね。彼らの善意を無駄にしないためにも、街中では大人しくしていよう。

 わたしたちは四人にお礼を告げ、宿を探し回った。


 街並みはとても綺麗で、馬車が何台も行き来できるように道幅が大きく、地面も塗装されているため歩きやすい。人は多いけど、それでも歩きにくいほどでもない。まあ、周りがわたしを避けている気はしてるけどさ。

 途中、檻に入れられて運ばれている大きい従魔がいた。ああ、こう見ると可哀想だな。改めてヴィックさん達に心の中でお礼を言っておく。



 人が多く来ることを見越してか、宿はたくさんあり、なんとかそれぞれ部屋を確保できた。


「もう従魔コンテストの受付してるみたいだから行こう」

「そうね」


 従魔も泊れる宿でレティとふたり。話し合った結果、受付は元の姿のままの方がいいだろうということで、このままの姿でまた街中を歩くことに。

 ヴィックさん達とは別行動をとり、わたしたちは受付に。ヴィックさんたちは観光を兼ねて情報収集したり冒険者ギルドに行ったりするそうだ。わたしたちも受付が終わったら観光と情報収集に向かおう。


 従魔コンテストの会場は街の中心にある大きなドーム状の建物で行われる。大きさは東京ドームくらいありそう。いや、東京ドームに行ったことないからわからないけど。



 建物の入口には『従魔コンテストの受付はこちら』という案内が出ていたので、それに従い中に入る。


 いくつもある受付には従魔を連れた人達が並んでいる。わたしたちも並び順番を待つ。

 列にいる従魔を観察すると、戦闘向きじゃない従魔も結構多い。そういう従魔を連れているのは貴族だったり一般人っぽい人達だったりする。愛玩用なのかな。

 おそらくそういう人は美しさ部門とかに出るんだろうな。毛並みとか凄く綺麗だもの。わたしも毛並みは綺麗にしてるけど、あそこまでじゃない。わたし、美しさ部門も無理じゃないかな。


 そんなことを思っていたら、ようやくわたしたちの順番がきた。

 受付は綺麗なお姉さんだ。受付嬢はみんな綺麗だね。


「従魔コンテストにようこそ。参加をご希望ですか?」

「うん」

「どの部門に参加しますか?」


 コンテストは美しさ部門、賢さ部門、強さ部門、そして総合部門の四つだ。

 この会場で美しさ部門から順に開催され、数日かけてコンテストが行われる。

 ただ、初日に各部門の予選が行われる。最近は参加数が増えているので予選を行わないとコンテストがかなり長引いてしまうそうだ。


「総合部門」

「はい、では総合部門にエントリーさせていただきます。身分証をご提示ください」


 結局、わたしたちは総合部門に出ることにした。レティが強気っていうのもあるけど、ユニーク個体の魔物に会える可能性も考えてだ。


 レティがギルドカードを見せ、わたしの従魔証を見せ、最後に注意事項について話されて無事にエントリー完了だ。

 レティみたいな子供の参加だと何か言われるかと思ったけど、そこは慣れているのか、特に何も言われなかったな。


「頑張ろうね」

「ええ。鑑定については何とかなりそうね。確実ではないだろうけど」

「うん」


 コンテストの注意事項に『鑑定禁止』というのがあったのだ。これは観客側にも適応されるそうだ。

 鑑定は、されるとぞわぞわしたりするから、人前に出て気が立っている従魔に鑑定をして暴れさせないようにするための措置らしい。

 暴れられたらコンテストどころじゃないからか、観客もやらないようだ。まあ、鑑定スキルを持っている人はそう多くはないだろうけど。

 逆に、それでも鑑定してくるやつは何かしらの下心がある可能性があるってことになる。ユニーク個体の魔物を探してる……とかね。

 鑑定されたら警戒しておきましょう。



「一旦宿に戻って小さくなってから観光に行きましょうか」

「そうだね」


 従魔のための道具とかがたくさんあるらしいけど、どんなのがあるかしら。楽しみだわ。





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