37 投げナイフを手に入れた!
遅くなって申し訳ありません。
「レティ。武器は投げナイフでいいの?」
「うん。風魔法と相性イイと思う」
レティは魔法の使い方が器用だ。
最後の方なんてハント・ウィンドで投げナイフを浮かして、エアショットで打ち出すっていうメッチャ格好いい戦い方してた。
さすがに実戦でやったら無駄が多すぎるだろうけど、エアショットで打ち出すとかなりの速さになるから、一考の余地ありだと思う。
「投げナイフを買わないとね」
「うん。でもブーメランも気になる」
「わかる。一緒に見に行ってもいいかもね」
ブーメラン…なんというか、ロマンだと思うのよね!
後日、噂の鍛冶屋に向かった。ブーメランを作れるという鍛冶師がいる鍛冶屋だ。
でも、ブーメランも見たいが投げナイフが優先だ。
ちなみに今日はフェネックサイズ。
鍛冶屋があるのは下流地区だ。まあ利用者の大半は冒険者だろうから、当然かな。
鍛冶屋にたどり着くと、入る前からカンカンカンカンと鉄を打つ音がしている。
「いらっしゃいませ」
中に入ると女性が出迎えてくれる。背は低いが、子どもという雰囲気でもない。
もしかしてドワーフ?
「ドワーフ?」
「そうですよ。初めて見ました?」
「うん」
そういえば、エルフとドワーフって仲悪いとかないのかな。この様子だとないっぽい?
「何をお探しですか?」
「投げナイフ。あとここならブーメランがあるって聞いた」
「投げナイフならありますよ。ブーメランはちょっと…」
女性は困ったような表情で言いづらそうにしている。
あれ? ここの鍛冶師なら作れるって聞いたんだけど。
「今、鍛冶師を呼んで来ますので少々お待ちください」
女性はそう言って奥に引っ込んで行った。
「ブーメラン無いのかな」
「ここならあるって聞いたんだけどね。注文が多すぎて無理とか?」
王都でここしか作れないなら、注文が殺到しててもおかしくない。引き渡しは数か月後とか普通にありそう。そうなると買うのは諦めるしかないかな。
戻って来るまで陳列されている武器を眺める。レティは鑑定しているようだ。
「普通の武器」
「さすがに防犯を考えたら、特殊な魔法効果が付いてる武器を置いておかないでしょうね」
おそらくそういったものは奥にでも置いてあるんだろう。どうやって効果を付与するのかな。やっぱりそういうスキルがあるのかな。
しばらくすると足音が2つ戻って来る。
「お待たせしました」
「ずいぶん小さい客だな」
物理的になのか、幼いという意味なのか。小ささで言えばドワーフの方がレティより小さい。
まあ、現れた鍛冶師は筋肉が凄いけど。髭も生えてるから子どもには見えないね。
「投げナイフとブーメランだな。ブーメランは訳あって今作ってないんだ。悪いな」
「作ってない?」
「正確には作れないんだ。作るための素材が足らない」
「ふーん」
そうなのか。素材さえあれば作ってもらえるかも?
「それで投げナイフだが、鉄くずから作った安い使い捨てのものでいいのか?」
「他にあるの?」
「風魔法が得意な魔法使い向けのナイフがある」
「見たい」
何そのピンポイントでレティ向けなナイフ。是非ほしいわ。
取り出したのは見た目普通のナイフだ。でも、鉄くずナイフに比べたらしっかりした作りのように見える。
「鉄くずのナイフは敵に当たった時に折れないように少し柔らかい分、切れ味が悪い。こっちのナイフは切れ味が良い分、少し重くて遠くまで飛ばない。ただ、風魔法を使えば飛距離を伸ばせるんだ。もちろん普通のナイフに比べたら軽くて切れ味も劣るが」
レティが講習会でやってたように風魔法で飛ばすやつね。
ただ、上手く当てないと折れるときがあるそうだ。そこは要練習だろうな。
「こっちのナイフの方がいい」
「魔法使い向けのナイフだな。何本だ? ちなみに三本で450Gだ」
結構するなあ。できるだけ長く使えるように気を付けないと。
とりあえず9本購入した。あとで外に出て練習しましょう。
「ブーメランっていつなら作れる?」
レティがブーメランについて聞く。そうよね。ほしいわよね。
鍛冶師が顎髭を触りながら答えてくれる。
「そうだな…素材が手に入れば作れるんだが…」
「その素材って?」
「ああ、魔石だ。野良ゴーレムの魔石が必要なんだ」
野良ゴーレム?
「なにそれ」
「知らんか。ゴーレムは基本人工物だ。だが、魔物としてのゴーレムも存在する」
野良ゴーレムは世界中にいて、いつからか、誰が作ったのか、目的も何もわからないが魔石を持ったゴーレムがどこからか発生して徘徊しているらしい。
山奥や洞窟の奥なんかにいたりするみたいだ。
「その魔石があれば作れるの?」
「ああ。それ以外のものはあるからな。ただ、この辺でゴーレムが出てくるのは北の方にある山だけなんだ。冬場にそんなところに討伐に行ってくれる冒険者はいないからな。この時期は仕方ないんだ」
なるほどね。季節柄作れないのか。
それにしてもなんでゴーレムの魔石なのかしら。他のじゃできないのね。
「ゴーレムじゃないとダメなの?」
「ああ、ブーメランを作るにはあれじゃないとダメだ」
ドワーフが作った特殊な技術ってやつかしら。やっぱりドワーフって鍛冶が得意なのね。
「それに、どのゴーレムの魔石かでブーメランの材質が変わる」
木のゴーレムなら木のブーメラン、岩石ゴーレムなら岩石でブーメランを作るのが一番いいらしい。じゃあ鉄製のブーメランならアイアンゴーレムの魔石が必要になると。
「魔石が手に入ったら作ってやろう。まあ、冬が明けたらだろうがな」
「そっか」
うーん、残念。冬が明けたらまたこよう。
鍛冶屋を後にして王都の外に出る。
早速投げナイフを試すためだ。
「アースウォール」
土に壁を作り、的代わりにする。
「じゃあレティ、早速試してみましょう」
「うん。ウィンド・エレメント」
投げナイフに風属性を付与し、投げる。刃が回ることもなく、まっすぐに的に当たる。
そして突き抜けた。
突き抜けた先でもしばらく勢いは衰えず、数メートル先の地面に刺さった。
「おおー」
「すごい」
結構飛ぶなあ。これ、ウィンドカッターとどっちが威力あるんだろう。
「じゃあ、ウィンドカッター」
風の刃が土の壁をものともせずに突き抜ける。
これじゃ脆すぎてわからん。
「岩で試しましょう。あそこの大きなやつにナイフとウィンドカッターを当ててみて」
「わかった」
試した結果。
貫通力はナイフ、幅や切れ味はウィンドカッターかしら。速さはややウィンドカッターが上ね。
ウィンドカッターは岩を真っ二つにしたら消えてしまったので、単純な威力はナイフの方がいいのかな?
「とりあえず、良い武器が手に入ったんじゃないかしら」
「うん」
レティが嬉しそうだ。新しい武器は嬉しいわよね。わたしも尻尾を武器に使えると知ったときは嬉しかったもの。痛いけど。
あとはお金稼いで魔法力が上がる指輪でも手に入れたいわね。
ゲームが面白くて全然こっちに手が付かなったんですごめんなさい。
まだ終わってないからしばらく更新は遅いです。




