表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/60

25 冬なのに熱い

王都編は長いです。

 

 どうやらこの山にオーガは2体いたようだ。

 新しく現れたオーガは、倒れているオーガを見て


「グオオオオオオ!!」


 雄叫びを上げた。


 もしかして、怒ってる?

 オーガには同族意識があるのかしら。

 …そんな悠長なこと言ってる場合じゃないわね。


「注意力が散漫してたわ…まさか接近されてたのに気が付かないなんて」

「シュガー、さっきのもう一回できる?」

「うーん…」


 どうだろうか。正直もうこのまま眠りたいくらいには疲れているんだけど。

 寝たら死ぬって雪山じゃなくても起きることなのね。


 とりあえず、起き上がり、オーガに向き直る。レティも身構えた。


「シュガー、さっきね、風魔法のレベルが上がったの」

「確かレベル4の風魔法は…」


 レティの話を聞きながらオーガを警戒する。

 あのオーガも太い木の棒を持っている。もう当たりたくない。

 もう大分近い距離まで来ている。


「使えるかしら」

「魔力に余裕はあんまりないんだよね…」

「最後の力振り絞って一撃で仕留めるしか…」


 !!


「なにか近づいて来てる」

「え、まだ増えるの」


 もう逃げた方がまだ生存確立高い気がする。


「レティ乗って…「君たち!! 大丈夫か!!」


 現れたのは四人の冒険者だった。




「こんなところにオーガ?」

「一体死んでるじゃん。この子たちがやったの?」

「満身創痍みたいだし、助けてあげたらどうです?」

「もちろんだ!!!」


 一気に騒がしくなったけど、どうやら味方みたいだ。

 さっきから声が大きいのが剣を持った男性だ。見た目爽やかイケメンですね。スラっとした身体になかなかの筋肉がついているのがわかる。

 残りの三人は女性で、内一人はエルフのようだ。どれもなかなかの美女ですね。


 これがいわゆるハーレムってやつか。


「た、助けてくれるの?」


 レティが尋ねる。まあ、いきなり知らない人が助けてやるって現れたら混乱するよね。


「もちろんだとも! そこで待っていてくれ!」


 なんて熱い人なの。

 そういって男はオーガに剣を向ける。オーガも、彼らの方に武器を構える。

 オーガはちょうどわたし達に背を向ける形だが、それも仕方ないと思う。


 だって、彼らメッチャ強い。


 たぶん、Bランクパーティのレオーネたちより上じゃないかな。

 そんな彼らに背を向ける方が怖いだろう。

 まあ、わたし達が背中から狙うことはないけど。獲物取ったって怒られたらやだし…。強すぎて怖いよ、あの人達。


「はあ!」


 男が突っ込んでいく。それに合わせるようにオーガが木の棒を振り下ろす。

 男はそれを軽くかわし、剣で…武器を持ったオーガの腕を切り落とす。

 そのまま返す刀でオーガの胴体を真っ二つにした。


 ふたりであんなに苦労したオーガが、一瞬だった。




「大丈夫だったかい!?」

「だ、だいじょうぶ」


 レティが困ってる。今までこんな熱血漢に会ったことないから、わたしも困る。


「困ってるでしょ。やめなさいよ」


 なんだか強気そうな女性が止めてくれた。防寒具で身体はあまり見えないが、剣を持っているように見える。剣使いなのかな。


「こいつ暑苦しくて困るでしょ? 悪いやつじゃないけど、鬱陶しいわよね」


 返答に困る!

 この人はあれか、ツンデレとかそういう類の人種かな。そうじゃなきゃ一緒にいないでしょ。


「それより、怪我はありませんか?」


 そう言いながら近づいてきたのはエルフの女性だ。

 正直、わたしエルフにいい感情持ってないのよね。レティは別だけど。ルテラの森での一件からちょっとね。

 だから少し睨んだのは仕方ないと思うのよ。


「そんなに睨まなくても、酷いことなどしませんよ」


 わたしを見ながらそう言った。助けてくれたけど、信用して大丈夫かな。


「てゆーかこのキツネちゃん怪我してるじゃん」


 もう一人の女性がわたしの側にいた。全く気がつかなかった。疲れているせいだと信じたい。

 この人四人の中では一番若そうなのに。


「それは大変だ!! このポーションを使いたまえ!!」


 ちょちょちょ、そのポーションかなり高価なやつでは!?

 ダメでしょう!! お金払えないよ!!

 わたしは必死に拒否した。


「大丈夫だ! 怯える必要はない!! もうオーガは倒したし、僕らは味方だ!!」


 違う、そうじゃない。

 てか、この声の大きさで魔物寄ってこない?

 レティはわたしの意図に気がついたのか、男を止めようとする。


「そ、そんな高価なの、お金払えない」

「なんだ、そんなことか! 別に構わんぞ!」

「良くないわよ! ちょっと落ち着きなさい!」


 バシンと男の頭を叩くツンデレ女性。

 ああもう、なんだか疲れた。

 早く帰って寝たい。


「皆さん落ち着いて。キツネさん、動けますか?」


 エルフの女性が聞いてくる。

 うーん。まあ動くことはできそうだ。なので頷く。


「頭のいいキツネさんですね。すでに治療の後のようですし、ひとまずオーガを片付けてしまいましょう」


 そうだね。そうしてほしい。魔物放置しとくと臭いで魔物が寄ってくるらしいから。




 オーガの解体を終えたレティと男。

 オーガの解体の仕方を教えてもらいながらだったので、なかなか綺麗に無駄なく素材をゲットできたのではないだろうか。


「そういえば、自己紹介がまだだったな! 僕はヴィック!」

「あたしはルース」

「ウチはクレアだよー」

「私はセレーナです」


 熱血漢がヴィック、ツンデレさんがルース、いつの間にか隣にいた若い女性がクレア、エルフがセレーナね。

 なんかもう、色々濃いなあ。


「レティシア。この子はシュガー」


 レティも挨拶をする。レティの顔にも疲労感が見えている。


「あんたたちはこの山に何しに来たのよ」


 ルースさんが尋ねてくるので、今回の依頼内容と、大まかな経緯を説明した。


「調査に来たのに元凶と戦うはめになったと。運がないのね」


 なかなかズバズバ物を言う人だな。別にいいけど。

 とりあえず、依頼は終わったし、山を下りたいな。

 そういえば、この人達何しにここに来たの?


「あなたたちはなんでここに来たの?」


 レティも気になっていたようで、尋ねてくれる。


「この山を越えたところに街があるのですよ。そこから迂回せずにこの山を通って王都へ行く予定なのです」

「迂回すると時間かかるもんねー」

「ここの魔物は弱いのばっかだしね。まあ、オーガがいるとは思ってなかったけど」



 この山を東に越えると街がある。この山の南は海が広がっているので、必然的に迂回路は北側からになる。この山は魔物がいるため、一般人が通ることは難しい。しかも道があるわけでもないから、馬車はとてもじゃないが無理。

 そして北からこの山を迂回して南下するのが一般人の最短距離だったんだけど、数年前から通るのが難しくなった。

 その南下する街道は、ルテラの森の東側を通ることになるのだが、ここ数年前から森が広がってきているのだ。

 この前オークを狩った林は、ルテラの森が広がった結果できたものらしい。

 何故そんないきなり森が拡大した上に、木々の成長が早いのかというと。

 どうやら、森を拡大しているのはトレント系の魔物のようで、ルテラの森に住むテリトリー持ちの強い魔物のようだ。

 一度、迂回路を確保しようと木々の伐採と森から出てきていた魔物の討伐が大々的に行われたそうだが、そのトレント系の魔物による攻撃で大量の死傷者が出たそうだ。

 その後街道の確保を断念、そして急速に木々が広がり、見事にその街道は林に飲まれたそうだ。

 なので、ここ最近はこの山を北に迂回、そのままルテラの森の北側を迂回してセラの街まで行き、そこから南下して王都にくるのが一番遠く、一番安全なルートになった。そして最短距離がこの山を越えること。

 まあ、林を通るだけなら別に何もされないそうだが。数本伐採したって問題ないそうだ。魔物はいるけど。おそらく大体的にやったから怒ったのだろうといわれている。


 この国はルテラの森を中心に、周囲に街がいくつかあるようなところだ。あの森が広がると困るだろうなあ。



「ひとまず山を下りよう! ここでは休むに休めまい!」

「そうですね。そうしましょう」

「さんせー」

「あんたらも行くわよ。その怪我で襲われたら困るでしょ」



 わたしも賛成。レティも異存ないわね。良い人達みたいだから、それが一番安全だ。

 それにしても、ルースさん…あれがツンデレか。





 全員で山を下る。レティは背中に乗っていない。わたしの怪我を心配してくれたのだろう。

 まあ、そこまで無理をする必要は今はないからね。

 道中出てくる魔物を前を歩く四人が難なく片付けていく。


「そういや、その従魔の種族って何? 見たことないんだけど」


 ルースさんが振り返って聞いてくる。ベテラン冒険者っぽいけど、それでも見たことないんだ。


「おそらくですが、ヴァイスフックスではないでしょうか。本で見たことしかありませんが」

「うん」

「どんな魔物なの~?」

「確か、一年中雪で覆われているような寒い場所に生息する、賢くて警戒心の強い魔物だと」

「確かに賢そうだな! 僕たちの話を理解しているようだし!」


 このねっけ…ヴィックさん、別に脳筋ってわけじゃないのか。意外と鋭かったりするのかも。

 相変わらず声は大きいけど。


「でも、ここまで大きいとは知りませんでした」


 ユニーク個体だからなあ。わたしが通常サイズかはわからないよ?


「そんなのどうやって従魔にしたの?」

「友達になったの」


 レティが答える。まあ、嘘じゃないっていうか、真実だけど。意味不明よね。


「ふーん…まあ、ちゃんと言うこと聞いてるみたいだし、別にいいか」


 いいんだ…。まあ突っ込まれても困るんだけど。

 別にこの人達になら喋れること話しても大丈夫かなって思うけどね。



 ようやく山を下りたころには、日が暮れてしまった。

 走れば帰れなくないが、怪我をしているわたしに無理をさせようとするレティじゃない。

 この辺りで野宿かな。念のため準備はしてきたから問題ない。


「ヴィック~ウチ疲れた」

「確かに山越えは疲れましたね」

「そうね。仕方ないけど野宿しかないわね」

「うむ! 野宿しよう! レティシアとシュガーもいいかい!?」

「うん」


 この人達は今日中に山を越えてきたのか。すごいな。一緒に野宿するなら助かるね。



この四人好きです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ